
【徹底解説】Rerankモデルとは?
最近はDifyなどのノーコードツールでもRAGを用いたアプリケーションが簡単に作成することができるようになってきました。
その中で、出力精度に悩まされることも少なくありません。
そして、RAGの精度向上に欠かせない技術が今回紹介する「Rerank(リランク)」です。
簡単に解説するとRerankとは「検索結果を再評価し適切な順位に並び替える技術」です。
もう少し詳しく解説していきます。
Rerankモデルとは?
Rerankモデルとは、クエリとドキュメントのペアを入力として受け取り、関連度を表すスコアを出力するモデルです。
このスコアに基づいてドキュメントを並べ替えることで、クエリに関連性の高いドキュメントを上位に表示することができます。
Rerankモデルの主な目的は、検索エンジンのような情報検索システムにおいて、より正確でユーザーの意図に沿った検索結果を出力することです。
Rerankモデルの例
rerank-v3.5(cohere)
https://docs.cohere.com/v2/docs/rerank-2BGE Reranker
https://huggingface.co/BAAI/bge-reranker-v2-m3
Embedding(埋め込み)の限界
Rerankモデルの重要性を理解するためには、まずEmbeddingの限界について理解する必要があります。
Embeddingとは、テキストをベクトルに変換する技術であり、ベクトル間の類似度を計算することで、テキスト間の意味的な関連性を評価することができます。
詳しくは以下の記事で解説してます。
しかし、埋め込みには、以下のような限界があります。
ニュアンスのある意味関係や文脈の理解が難しい
埋め込みは、単語やフレーズの意味をベクトルで表現しますが、文脈やニュアンスを十分に捉えきれない場合があります。一般化能力の不足
特定のデータセットで学習された埋め込みモデルは、未知のデータセットに対しては精度が低下する可能性があります。
これらの限界を克服するために、Rerankモデルが用いられます。
Rerankモデルの仕組み
Rerankモデルは、一般的に2段階の検索システムで使用されます。
1段階目
Embeddingモデルとベクトルデータベースを用いて、クエリに関連する可能性のあるドキュメントを検索します。具体的には、以下の手順で行います。
ドキュメントをEmbeddingモデルを用いてベクトルに変換し、ベクトルデータベースに格納します。
クエリをEmbeddingモデルを用いてベクトルに変換します。
クエリベクトルとベクトルデータベースに格納されているドキュメントベクトルとの類似度を計算し、類似度の高いドキュメントを上位k件取得します。
2段階目
Rerankモデルを用いて、1段階目で取得したドキュメントを並べ替えます。Rerankモデルは、クエリとドキュメントの意味的な関連性を考慮することで、より適切な順序でドキュメントを並べ替えます。
Rerankモデルの種類によって、エンコードの方法や相互作用の計算方法が異なります。
Rerankモデルのメリットとデメリット
Rerankモデルのメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
検索精度の向上
クエリとドキュメントの意味的な関連性を考慮することで、検索精度を向上させることができる。曖昧なクエリの処理
複数の意味を持つクエリに対しても、文脈を理解することで適切な結果を返すことができる。多様な出力
結果リストが特定の分野に偏らないようにし、さまざまなジャンルやカテゴリの結果を均等に提示することが可能です。
デメリット
計算コストの増加
複雑なモデルを使用するため、計算コストが高くなる場合がある。レイテンシの増加
処理に時間がかかるため、リアルタイム性が求められるアプリケーションでは問題となる可能性がある。
Rerankモデルの応用例
Rerankモデルは、様々な情報検索システムに応用されています。
具体的な使用例としては、以下のようなものがあります。
企業内検索
社内文書やナレッジベースなど、大量のドキュメントから目的の情報を検索する際に、Rerankモデルを用いることで、より関連性の高いドキュメントを上位に表示することができます。チャットボット
チャットボットとの会話の中で、ユーザーの質問に答えるために必要な情報を検索する際に、Rerankモデルを用いることで、より適切な回答を生成することができます。学術文献検索
膨大な数の学術論文の中から、特定の研究テーマに関連する論文を検索する際に、Rerankモデルを用いることで、より効率的に論文を探索することができます。
まとめ
今回はRerankモデルについて解説しました!
Rerankモデルを適切に選択・実装・評価することで、ユーザーに最適な検索結果を提供することができます。
この機会にRerankモデルについての理解を深めましょう。
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