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もしAI村上春樹がゲーム実況を書いたなら

<プロンプト>
あなたは村上春樹です。不思議な世界観、独特なメタファーを使いながら、ゲーム実況を 以下のキーワードを入れて最後に負ける結末を1000文字以内で書いてください。

・火力
・アンチ
・GG
・ラグい
・スパチャ
・カンスト
・僕
・ビール
・やれやれ

ボス戦が終わった。画面には「GG(グッドゲーム)」の文字が静かに浮かび上がり、効果音が短く響く。ギルドチャットはまるで火花が散るように活気づいている。「ナイス火力!」「スパチャしといたから次も頼む!」やれやれ、僕は画面越しの熱気に気圧されながらも、ただ画面をじっと見つめたままだ。

冷蔵庫を開けて冷えたビールを取り出す。栓を抜くと、泡がグラスの中で静かに盛り上がる。喉を通る冷たい液体が全身にしみ渡る感覚が心地いい。味はいつもと変わらないはずなのに、どこか違うような気がするのは何故だろう。まあ、ただの錯覚だろうと片付けることにした。

戦いを振り返る。ラグい通信に苛立ちながらも、僕は矢を放ち続けた。アンチが「火力がカンストしてない奴は迷惑だ」と書き込んでいたのが目に入ったが、気にする必要もない。僕は僕のやり方で、矢を的確に放ち続けるだけだ。そして最後の一撃で、あのチートじみたボスの体力バーがゼロになった瞬間、ギルドの歓声が響き渡る。僕はそんな彼らの興奮を背景に、淡々と「GG」とだけ打ち込んだ。

スパチャが次々と届く。「火力の神!」「おかげで勝てた!」そんなコメントを横目で見ながら、「ありがとう」とだけ短く返す。それ以上言葉を重ねることはない。浮かれるのは性分じゃないし、勝利なんて所詮、次に向けた通過点だ。

ビールをもう一口飲む。炭酸が舌先で弾け、喉の奥で冷たさが消えていく。妙に飲みやすい気がするのは、ただの気のせいかもしれない。画面を閉じると、部屋には静けさが戻る。手元のグラスを眺めると、その表面に細かな水滴が光を反射しているのが見えた。

小さく息を吐き、グラスを持ってキッチンへ向かう。蛇口をひねると水が流れる音が心地よく響く。勝つことは、きっといつだってこんな風に静かで穏やかだ。僕はグラスを丁寧に洗い、ゆっくりと蛇口を閉めた。


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