見出し画像

2023年1月 NY旅行 観劇記録

年末年始にBroadwayで見たお芝居6作品の感想を書いていきます✍️

【Some Like it Hot】

Some Like it Hot
Some Like it Hot

好みだけで言うと一番好きだった作品。とにかくタップが華やかで、見ていて楽しいドタバタコメディー。1959年の映画の舞台化。50年代、60年代とかの作品が結構好みなので、この作品も好みどストライクでした。

楽団のお話なので、演奏員の人たちが舞台に組まれたセットの上にいて、お話の世界の一部になっているという演出が素敵でした。トランペットの方とかは舞台上で演奏していて、打楽器の方などはオーケストラピットで演奏していました。(離れた場所で演奏するの、演奏しづらそう…😅)演奏員の方たちが舞台のセットにいるので、場面によっては、役者さんがそのバンドマンたちに絡んでいるところもあり、とても良かったです。

あとはセリフのテンポが良い!コメディはセリフのテンポが命だと思うんです。役者さんたちの技術と台本の力の両方あってのことだと思いますが、全体的にセリフのテンポ感が良く、最高に心地よかったです!

一番観ていてワクワクしたのは、2幕終盤のみんな逃げ回っている追いかけっこの場面!全てタップで繰り広げられるので、エンターテイメントとして最高に楽しい場面ですね。早着替えのオンパレードに加えて複雑な動線だったので、やる側はとても大変そうですが…。笑

華やかで楽しい作品ですが、アイデンティティや居場所について少し考えさせられるようなお話なのもまた良いですね。これは日本でもやりそう〜!

【1776】


1776


1776 キャストボード

ハミルトンと同じ時代が舞台の作品。世界史苦手だし、アメリカの歴史そんなにわからないし…とあまり期待していなかったのですが、なんだかんだ一番楽しめた作品。英語も一番聞き取れたし、一番ジョークも笑えた(笑)現代の作品だと英語がくだけていたり、訛りが強かったり、ジョークも文化がわからないとさっぱりだったりしますが、この作品は英語が聞き取りやすく、またジョークも全体的に人間らしい普遍的なものが多かったので、一番楽しめたのかなと思っています。

個人的にはハミルトンより好き!音楽はハミルトンの方が圧倒的に良いのですが、本としては1776がすごく好き!
一番はキャラクター描写が良いなと思いました。ものすごい数の登場人物ですが、全然混乱しないんですよね。それぞれの登場人物がキャラ立っているし、どの人物も人間らしくて親しみを覚えるのが良かった。歴史上の偉人たちも多数いるわけですが、みんなとても人間らしくて、「遠い昔の話」「歴史のお勉強」というような感じがなく、全然違う時代の話だけど身近にいそうな感じがありました。大河ドラマ/歴史ドラマではなく、ヒューマンドラマという感じ。

トマス・ジェファーソンの奥さんのソロ曲、s音やt音が強い気がしたのですが、わざとロングトーンがsやtなどの子音で切れるように最後にsやtが来る言葉を選んでるんだろうか…。浮世離れしたちょっぴり鼻につく感じのキャラクターなので、演技をする中で自然と子音が強調されていただけかもしれないけれど、台本を書く時点でそれを狙って書いているような気がしなくもなかった…。

【The Collaboration】


The Collaboration


The Collaboration 幕間
The Collaboration 幕間

アンディ・ウォーホルとジャン=ミシェル・バスキアが作品を共に作った時の話。アートのスタイルも性格や考え方も正反対に見える2人。2人とも深い悩みや葛藤を抱え苦しんでいるという共通点があって、徐々に心開いていく。アートとは何か、アートで何を表現するか、アーティストとしてどう生きていくかなど、一言で説明しきれない、深く、重厚な作品でした。

役者さんの演技も凄まじく、3列目という近さで観られたことを本当に感謝しています。ウォーホルとバスキア、2人とも、文字通り、命を懸けて、命を削って、全身全霊で生きていている様子が生々しく鮮明に描かれている作品。理解しきれていないところも正直ありますが、とにかくすごいものを観たという感覚でした。

あと、アートにはその人の生き様、人柄、考えがそのまま作品にも滲み出るなぁというのも思います。意図していても意図していなくても滲み出る。様々なジャンルの作品に触れるとさらに強く感じますが、技術はあくまでもツールでしかなく、評価されているアーティストは皆生き様も考え方も素敵だなぁと。

【Kimberly Akimbo】


Kimberly Akimbo 開演前
Kimberly Akimbo 劇場

現地での評判がとても良かったから観に行った作品。お話の展開はとても面白くて本が良いと評価されているのは納得!曲も楽しくて良かった。(アナグラムの歌が、楽しくてなんだかほっこりするので好きでした)

ただ、笑いのツボが日本とは違うなということも強く感じました。高校生が中心の現代のお話であること、ちょっと一風変わったキャラクターたちが出てくることなど、全体的にDear Evan Hansen と似たところがありますが、この作品はDear Evan Hansenよりも日本でウケにくい気がします…。

主人公が病気だからというより主人公の周りの登場人物の描き方が…。どの登場人物も良く言えば「個性的」ですが、それを「変わっている/浮いている」のを強調してネタにしている感じがして、私はあまり笑えなかった。特に叔母さんが私は受け入れ難かったですね。倫理的/道徳的にどうなんだよ…って思っていました😅

終始、これを日本で上演するとしたら?日本語に訳すとしたら?ということを考えていました。日本で上演するとしたら笑いのツボが違うからすごく変わる気がするけど、どう変わるんだろうか…。おそらくですが、日本だともっとしっとりうるっとする感じの側面が強まるのかなぁ…

あとアナグラムの歌、すごく好きだったけど、これどうやって訳詞するんだろう(笑)
アナグラムとして成立しなきゃいけない上に、お話にも絡むから、並び替えてできた単語の意味を変えられないのがかなり難しそう。

【A Strange Loop】

A Strange Loop
Rush Ticketで購入したら、最前列センターの見切れ席でした

これは1776の真逆で一番英語やジョークが聞き取れなかった/理解できなかった作品。

セリフのテンポが早いし、black, queerの要素はわからない単語が多かったし、文化面での理解も追いつかず、感覚的にピンと来ないことも多々あり、周りが笑っていても1人置いてけぼりくらってしまうことが少なくなかったです。

ただ脚本家を目指す主人公の葛藤や苦悩は、痛いほどわかるため、細かいところはほとんど理解できていないにも関わらず気がついたら号泣。特に、将来への不安、親への気持ちなどがすごく共感できてしまってたまらなかった。最前列センターで泣いていたので多分役者さんからも見えているんですよね…😅ジョークが理解できて面白いって思っていたところも、主人公に感情移入しすぎてしまい、悲しい気持ちが勝ってしまってむしろ泣けてしまったところもありました。

前述した通り、この作品の真髄は全く理解しきれていないと思います。でも、こんなに複雑で繊細な脳内の思考をミュージカルという形に昇華させているのはすごいなと思いました。

【Almost Famous】

Almost Famous
Almost Famous

バンドマンたちの舞台裏の様子を描いた作品ですが、ライターが主人公なのが面白いなと。照明と音響が印象的で、舞台裏とバンドライブが、照明と音響の力で切り替わるのが素敵でした。バンドライブの場面の照明と音響は、自分もライブに参加しているかのような没入感があって良かった!

映画面白いよとすすめてもらったので、映画も観てみたいですね。授業で劇評の書き方の勉強をした時にこの作品の劇評を読んでいたので、実際に観劇できてそれも楽しかったです。


いいなと思ったら応援しよう!