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【ウエツフミ】アマテラス天岩戸開き全訳【神代文字併記】天照大御神新宮へ移る〜古書から日本の歴史を学ぶ〜
※この文章はYouTubeで無料で視聴できます
今回はウエツフミの天ノ岩戸開き全訳をご紹介させて頂きます、よろしくお願い致します。
今回参考にさせて頂いた書籍はこちらです、吾郷清彦氏著書古史精伝ウエツフミ全訳(Ⅰ)という書物です。
このウエツフミ全訳は幸松葉枝尺(さきまつはえさか)氏によるウエツフミ写本と内藤平四郎筆写本を底本しています。
それでは早速読み上げます。
【四つづり四の一】
ここに豊田畑津(とよたなつ)神達は各々が作った田畑津物(たなつもの)を天照大御神に献上した。
※田畑津物=穀物
すなわちオオケツヒコノ尊夫妻の御子、イナヨリヒコノ尊夫妻は稲万束(よろずつか)を献上し、
タマシリノヲノ尊夫妻は陸稲万束を献上し
アカタマヒコノ尊夫妻は赤米万束を献上し
タマシキノヲノ尊夫妻は栗万束を献上し
アマタリノヲノ尊夫妻は青黍万束を献上し
サナミモリノヲノ尊夫妻は黄黍万束を献上し
オオウヰヒコノ尊夫妻は稗万束を献上し
ミトワケタラシヒコノ尊夫妻は堅実(かどみ)万束を献上し
ツキシロノヲノ尊夫妻・ツキクミノヲノ尊夫妻・ツキテキノヲノ尊夫妻は
種々の豆類万束を献上しミタチワカヲノ尊夫妻はマソヒ実万束を献上し、
シノヨリノヲノ尊夫妻は細実(ささみ)万束を献上し
ツモリカドシロヒコノ尊夫妻は麦万束を献上し
ナナイクトモノヲノ尊夫妻・ヨロヅナトリノヲノ尊夫妻・ヨロヅイワツナトリヲノ尊夫妻・タキカタリノヲノ尊夫妻は甘菜・辛菜・忌菜・沼藻(ヌヰモ)など万束を献上し
アマツワタハタヒコノ尊夫妻は千万(ちも)の魚類・海草大小を山のように献上した。
このように捧げ物を求め供えて
アマツオオコトクニノコトヌシ−クシマチアメノコヤネノ尊
女神コトノマチヒメノ尊
アメノイミクシ クニノイミクシ−アキツキサナギ フトタマノヲノ尊
女神アメノクシタマヒメノ尊
その四柱神は協議の上、諸事を定め、占事準備をした
すなわち天ノ香具山の真雄樫(まさおかし)の上津枝を採り、その内部をくり抜き、また朱桜(はばか)を採りその皮を焼いて
太占に占ったところ、その卜占(みうら)は企画通りに現れた。
ここにアメノコヤネノ尊夫妻は天ノ香具山の五百枝(いほえ)真榊(まさかき)を根ごと引き抜いて上ツ枝にアマノアカルタマノ尊がすり磨いたヤサカノマカカ玉を取りつけ、中ツ枝にアマツマウラノ尊が造ったヤタカカミを取りつけ、
下ツ枝にアマノヒワシノ尊が作った木綿(ゆふ)を取りつけて垂らした。
これら種々のものをアメノフトタマノ尊夫妻は
太御幣(ふとみてぐら)として取りもち、アメノコヤネノ尊は
太祝詞言(ふとのりとごと)をねぎ申して、神祝(かむほ)ぎにことほいで祝った。
ここに常世の長鳴鳥(ながなきどり)を集めて、代わる代わる長鳴をさせた。
そしてアメノタチカラヲノ尊は岩屋の脇に隠れて立った。
タコリヒメノ尊・タキツヒメノ尊・サヨリヒメノ尊
ミケツヒメノ尊・コトノマチヒメノ尊・クシタマヒメノ尊
ナキサワメノ尊・アメノイヅノメノ尊・タナバタヒメノ尊・ミツハノメノ尊
ハヤアキツヒメノ尊・カヤヌヒメノ尊・ワカサナメノ尊・ナツノメノ尊
アキヒメノ尊・チヨリヒメノ尊
以上十六柱の媛神達
そのほか多くの女神達は金銀で造った千花の冠をのせ、大御袖垂(おおみそしで)の袍(イクヰ)に紅色の長袴をはき、手には高玉の緒も長く、五百筒(いほつ)の玉を飾り、岩屋戸の左右に居並んだ。
次に八十八柱の天津高位の大御神達は御首に真煌玉(まこうだま)をちりばめた黄金造りの冠をのせ
左右の袖に環(たまき)を通してゆったりとした袍(イクヰ)をお召しになり、八雲の御袴をおはきになり、御手には大玉の高玉をお持ちになり岩屋戸の左側の新段に静かに着座された。
次に八百柱の天津神達は御頭に、おもまにの冠をのせ、太袖垂(ふとそしで)の紅の袍(イクヰ)を着け、千草袴を腰より垂らし、手には高玉をお持ちになり、岩屋戸の真向かいの原に並び、歌をうたって、種々の楽器を吹奏しその音色を天地に響かせた。
アメノウズメノ尊は神遊びの長となり、舞い踊りの媛神たちを率いて天ノ香具山の天ノヒカゲを鬘(かずら)とし、天ノ正木を髪挿(かんざし)として差し、
八手蔓(やてかずら)を襷(たすき)とし、笹の葉を手草として結び、手にはサナギを付けた矛を持ち、舞姫八人は左手にチマキの矛を持ち、右手に五十鈴を持ち、岩屋戸の前に槽(おけ)を伏せて、これを踏み轟かし、神懸かり状態となって舞い踊った。
そして舞い踊るたびに
一二三四五六七八九十百千万十々百百千々千々万々
ひとふたみーよーいつむゆななやーここのたーり
と歌い、また、これを交互に歌い
※ 「交互に歌い」の意味は、アメノウズメノ尊がまず歌い、次に八人の舞姫がこれに続いて歌う事
また
あな にやし あな うれし
あな たうと あな おもて しろ
と歌い、胸乳を掻き出し、裳紐(もひそ)を秀処(ほと)の辺りまで下げ垂らし、腰を振って踊り騒いだ。
この騒ぎは高天ノ原まで伝わり、八百万の神達も共に手を拍って大いに笑い興した。
この時天ノ堅紫(かたし)をたくさん積み重ね、これに火をつけて庭燎(にわび)を焚き、諸神は歌に合わせて笛を吹き、ほらを鳴らし、鼓を打ち、琴を弾き、合拍手を敲き、析鈴(さくすず)を振り鳴らした。
よってこれらの音は大変清く美しく轟き渡った。
そこで天照大御神は不思議に思し召され、アメノコヤネノ尊が広き篤(あつ)き称え言を奏上するのをお聞きになって、御扉内より、「この頃諸神達が種々と奏上するようであるが、このように麗(うるわ)しい称え言を聞いた事がない」と仰せられて、天ノ岩戸を細目に開けて、
「私がここに隠れて以来、天ノ原は自ら暗く、豊地ガ原の中ツ国も同様に、また外ツ界(とつよ)の万国の内もまたみな暗いと云って、諸神達は大いに歎(なげ)いているのにアメノウズメは何うしてそのように陽気に八人の舞姫を連れて舞い遊ぶのですか」と仰せられた。
この時アメノウズメノ尊は、「日ノ神にまさって、尊い神様がおられますので笑って遊ぶのです」と答えた。
このように申している間に、アメノフトタマノ尊は例の御鏡を差し出して御覧に入れた。これを御覧になった天照大御神はいよいよ怪しいと思い召されて少し戸よりお出ましになり、御身をさし延べて御覧になった。
その時岩屋の脇に隠れて立っていたアマノタチカラヲノ尊はその岩戸を引き開け奉って、うやうやしく担ぎ出し奉った。アメノコヤネノ尊とアメノフトタマノ尊は早速しめ縄を大御神の御後辺(みあとべ)に引き渡して「これより内には御入りになりませんように」と申し上げた。
この時アメノフトタマノ尊が余り急いで御鏡を岩屋の中に入れたので、この御鏡は戸に触れて少し傷 がついた。
このようにして天照大御神を新宮におうつし申し上げたのである。そしてアメノコヤネノ尊とアメノフトタマノ尊は日の御網を掛けめぐらし、十四柱の媛神達とオオミヤノメノ尊は大御神の御前に
はべり奉った。またアマノイワトワケノ尊は御門(みかど)を守護し、アメノフトタマノ尊は大殿祝(おおとのほがい)をなし
御門祭を行った。
かくて天照大御神が天ノ岩屋からお出ましになったので、天ノ原も天ガ下も自ら明るくなり照り輝いた。
よって八百万の神達が相見たところ、各々の顔を明(さや)かに弁別する事が出来た。
※ 弁別(わいだめ)=区別
そこで八百万の神達は心も浮々と手足を伸ばして
アワレ アナ オモテシロ アナ タヌシ アナ サヤケ オケ
[空は晴れた、ああ面白い。ああ楽しい。ああいい気分だ。弥栄]
と歌い舞った。
以上がウエツフミの天の岩戸開き全訳でした。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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