一般財団法人 みらいこども財団 代表理事 “谷山晶栄”さん
貧困や機会差別をなくし、多くの人が今より少し優しくなり、自分の5%の時間を持ち寄り社会貢献を行う。支援する人と支援される人が、共に成長できる支援を実践されている「谷山晶栄さん」にお話を伺いました。
≪谷山晶栄さんのプロフィール≫
出身地:大阪市
活動地域:関西 関東
経歴:現在、株式会社シセイの代表取締役として多くの社会を良くするプロジェクトを推進。社員が数名の小さな会社でも、5%の時間を社会貢献に使い継続することで、今までに児童養護施設の子供達約500名、一般の参加者も500名以上が参加するイベントに成長。毎月30回以上の施設訪問で子供たちとボランティアの若者が、心の絆を作る場を提供。現在活動領域を関西から関東に拡大推進中。
現在の職業および活動:株式会社シセイ 代表取締役
一般財団法人 みらいこども財団 代表理事
座右の銘:「至誠」
「日本は課題先進国 あらたなモデルを作りたい」
Q:どのような夢やビジョンをもっていますか?
谷山さん(以下、谷山) 2035年の目標があります。それは世界中にみらいこども財団ができていることです。全ての人を巻き込んでやりきりたいと思っています。直近の目標では、東京で活動を開始します。東京の第1回目の説明会で、80名のボランティアが集まりました。若い人たち、サラリーマンの方たちの考え方が確実に変わってきているのを感じます。彼らと一緒に社会の価値観を変えようと思っています。また日本という国をもっとよくしたいです。このままでは20代~30代の若者一人が老人4人~5人を支えないといけません。それはおかしいし、私たち世代がなんとかしなければならないと思います。いろいろと避けられない状態が未来に起こるかもしれませんが、最後は人の気持ちであり、相互扶助しかありません。週末2時間のボランティアすることが当たり前になれば、社会が変わっていくと思います。1億人が週2回のボランティアすれば、助け合いで社会が創られると思います。
日本は課題先進国なので日本でモデルを作りたいと思いますし、日本にその役割があると思っています。お金も大事ですが、多くの若者がお金だけじゃ幸せにならないとわかっています。お金は大事だが心の方にシフトする、バランスできればと思っています。
Q:その夢に向けてどんな目標や計画を立てていますか?
谷山 将来の貧困や機会差別を無くすための第一歩として虐待で苦しみながら児童養護施設で暮らす子供たちの支援を行っています。目指すのは私たちが支援する子供たちに喜んでもらうことではなく支援した子供たちが、施設を出て、働いて、家族を持ち、少し余裕が出たときに過去の自分と同じような境遇の子供をみつけたときに私たちがしたと同じような支援をしてくれること、そのように恩送りをしてくれることが、私達のゴールです。
主な活動は下記のとおりです。
・関西圏の80の児童養護施設に定期的に訪問するしくみを構築しています。
・児童養護施設との訪問・交渉
・ボランティアクルーの募集・活動の支援
・子供たちへの教育・就業の支援
「うちは5%の時間を使ってええことしよう」
Q:事業をはじめるきっかけを教えてください
谷山 経営の学びの場で「全従業員の物心両面の幸福を追求」について考える中で、物(ブツ)は頑張って働けばなんとかなるが、心の幸せはどうやって得ることができるのか?ということで悩みました。経営者の役割とは仕事を通じて人間的成長できるきっかけをつくることが大事だと思い、フィロソフィー教育や他社の事例を真似して行いました。いい子には育っているが、人として人格が高まっているか?というと「足りない」と感じていました。あるとき、「仕事だけしていては無理だ」と確信しました。海外の企業は仕事の5%の時間を使って、好きなことをすると聞いたので、「うちは5%の時間を使って、ええことしよう」と社内に提案しました。まず、「いいことをして人間的成長につながればいい」と、最初は週2時間金曜日に全員で会社の周りのゴミ拾いをはじめた。もちろん、強制です(笑)。最初は皆、めんどくさいと感じていましたが、それを続けていくと、周りの人からありがとうと言われるようになりました。そして社員が周りの人から感謝された時の笑顔は、普段見たことのないものでした。仕事だけしていても、そうした笑顔は作れない。そして仕事じゃなくても、仕事にこだわらず、人に喜んでもらう機会が大事だと確信しました。
「80万円を社会に喜んでもらうためにどう使ったらいいだろう?」
谷山 そんな中、2011年震災があり、いてもたってもいられなくなり、料飲協会にかけあって、募金箱を作り、各飲食店に置いてもらうように働きかけました。そして、それを被災地に寄付しました。
そうした料飲協会との関係が出来た中で、経営の勉強会の懇親の場に冷蔵庫を置かせてもらい、アルコールを販売代理するきっかけを頂きました。経営の勉強会の懇親会の場では一人500円で飲み放題。その中で年間80万くらい利益がでました。その利益は全部勉強会を通じて寄付しました。しかし、3年目に寄付は諸事情があり、勉強会事務局から辞めるように言われました。そのときにその利益を社員にボーナス等で分配することも可能でした。「80万円を社会によろこんでもらうためにどう使ったらいいだろう?」と社員に問いかけました。すると社員のある女性が児童虐待の問題に触れ、そのこども達に使わないかと提案してくれました。その時からそのこども達にできることをしようという活動がはじまりました。
最初80万円で物品をプレゼントしていましたが、みんな同じものだからあまりこどもたちが喜ばないと知りました。何かお困りごとのないかと聞くと、そしたら「USJに連れて行って欲しい」と言われ、招待することになりました。社員と経営社仲間と5、60人になりました。けれどもいざとなって、怖かったのを覚えています。虐待を受けた子と一日遊べるか不安でした。実際に小学校2、3年のこどもと遊びました。その中でアザのついたこどもや円形脱毛のこどもが、手を握ってくれました。こどもたちと手をつないで遊園地を回ったときに、元気でたくましく生きている姿を見せてもらいました。そのときに自分のことが恥ずかしく感じました。自分の良心に目を背けていたことに気づきました。そしてもっとこどもたちのために足を踏み出そうと気づかせてもらえました。
「こどもは被害者です」
谷山 経営者は社会課題を解決しなければならないと経営の学びの場で知りました。児童虐待の問題は、周りの大人が問題に目を向けないと解決しないと気づきました。毎年利益としてでている80万円を使って、新しい養護施設に訪問してボランティアを増やしています。こどもと手を握って、仲間を一人一人増やしていきました。僕が変われたから、誰でも変われると思いました。ボランティアを募集すると、学生ボランティアが集まりました。現在、毎月30回以上の施設訪問で子供たちとボランティアの若者の心のキズナを作っています。毎月の継続訪問が必要な理由は、児童養護施設に入る8割は児童虐待になります。親の精神状態が治れば家に帰れますが、ほとんど帰れません。心の傷は簡単には癒えません。18歳になって卒業したこども達は、7割が水商売の道に向かいます。実際就職の選択肢が少ないのです。
子供は被害者です。親から暴力を受けて、学ぶ機会を奪われて、卒業してもなんの支援もない。人との信頼関係を築けないと、自己肯定感を持てません。だからこそ、児童養護施設にいる中で様々な良心のある大人と触れ、自己肯定感、自尊心を回復する場が必要だと思います。
Q:どんな認識の変化が今の事業につながっていますか?
谷山 親父が20代で亡くなりました。そのときはショックで、周りの人たちに助けられたのを覚えています。その時を境にに周りに恩返ししないといけないなと思って、変化したように思います。正義感のようなものが出てきて、京セラの稲盛和夫さんの本と出会うようになりました。親父の分まで人生を生きないと!と思うようになりました。「人生とはなにか?」はじめて、USJにこどもたちを連れて行き、こどもが私の手を握りかえしてくれたときに、あのとき、親父が「命を大事にせーよ!」と言ってくれたように感じました。
Q:同志社大学院では何を研究されていますか?
谷山 ボランティアマネジメントです。会社の経営よりも、ボランティアのマネジメントが難しいと感じています。かっこいいボランティア像ができたらいいと思っています。ボランティアが社会の中でどれだけ永続的に持続できるか。いいことをしているだけではだめで、社会の変革の渦にしていけるかが大事だと思っています。活動そのものが人を育てることになっている。土台になってる。人が元気になる活動にしていきたいです。人の本来性が発揮され、相互教育され、日本全体がリバースされていく。社会全体の課題が解決していく場になっていければよいなと思います。
Q:今のお仕事は楽しいですか?
谷山 本当に楽しいです。毎週土曜日事務所を開放しています。思いを共有してる人が集まってくるのは気持ちいい。株式会社シセイの業務と未来こども財団の双方を兼務しながら行っています。仕事が楽しめることを心から感謝しています。
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株式会社シセイのHPはこちらです
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谷山昌栄さんのFBはこちらです
https://www.facebook.com/masahide.taniyama
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【編集後記】
記者を担当した井上です。谷山さんとのインタビューを通じて、志に生きることの美しさとともに躍動感を感じさせていただきました。そして、2035年には日本のみならず、世界中の人々に、支援する人と支援される人が、共に成長できる支援の場が実現しているイメージができました。支援を必要とするこどもと、支援を提供する大人が出会う場を創造しつづける谷山さんのご活躍を陰ながら応援していきたいと思います。
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この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。
https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36
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