生成AIとAIは違う
WWDC2024基調講演が終わりました。たいした発表はありませんでした。これを契機に生成AIとAIは違うというお話をします。
WWDC 2024
AppleのWWDC2024基調講演が終わりました。Apple Intelligenceが発表され、ChatGPTとの統合も出ました。全般的に生成AIにとっては特にこれといったニュースはない印象です。
生成AIとAIの関係
一般的には生成AIとAIの関係は以下の通りです:
AI (人工知能):人間のような知的作業を行うソフトウェア
ML(機械学習):AIの一部。AIの機能を学習することによって実現する
DL (深層学習):MLの一部。MLの機能を多層のニューラルネットワークで実現する
生成AI:DLの一部。DLにおいて大規模なデータを学習し基盤モデルからデータを生成する
生成AIが本当にDLの一部なら生成DLと呼べばいいと思いますが、そうはなっていません。
生成AIとAIは違う
生成AIとAIはそもそも考え方が違うと思います。もっと正確に言えば、生成AIとそれ以前のAIは考え方が違います。
言ってみれば:
AI = 電話
生成AI = アプリの載ったスマホ
みたいなものです。真空管とトランジスタとか、日本語ワープロとPCとかと対比してもいいかもしれません。
生成AIは世界のデータを圧縮してトークンで表します。トークンはもとの世界に戻すことができます。トークンを生成すれば世界の一部が再現できます。このような再現能力を持ったAIが生成AIです。
再現能力をプログラミングするのがプロンプトです。
生成AIは圧縮した意味に基づいて学習した空間において世界を再現する能力があります。世界をシミュレーションする能力といってもいいかもしれません。この能力に基づいて脚本でも小説でもレポートでもプログラミングでもできるのが生成AIです。
そのかわり、生成の種のところはプロンプトエンジニアリングする必要があります。変な生成をすればハルシネーション(誤り)と呼ばれます。
ユーザがプログラムできるAI、それが生成AIだと思います。プロンプトエンジニアリングで種の作り方、出た答えの吟味の仕方を磨いていくことが重要です。
むすび
生成AIとAIは違うというお話をしました。2024年後半は次の3つが鍵だと思います。
推論する生成AI
実世界をリアルタイムで理解する生成AI
エージェント生成AI
どのような展開になるのか楽しみです。
WWDC2024を見る限り、あまりコンシューマ向けの新しいサービスとかは出なそうです。本丸はビジネス改革だと思っています。
参考文献
[ai300lab] 羅針盤マインドセット https://note.com/ai300lab/n/n42a5ff5d8bf8 2024年
[CNET] Apple WWDC 2024: Everything Revealed in 12 Minutes https://www.youtube.com/watch?v=cErKv-cqSn8 CNET 12m07s 2024年