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NVIDIAのGPUが意外に安い

NVIDIAのAIデータセンター向けGPUの市場競争力が強力です。そのためいろいろな数字が業界をかけめくっています。どれもあくまで推測ですが、意外にH100が安いのかもしれないと思ったので書き留めておきます。


業界の現状

2023年はデータセンター市場が急拡大しました。その先鋒はNVIDIAです。データセンター向けGPUでは市場シェア98%ともいわれています。市場が3倍に成長する中でシェアを1.7倍に延ばしました。そのあおりをくったのがIntelで最近15000人のレイオフを発表しました[automaton-media]。AI半導体ブームといっても好調なのはNVIDIAだけのようです。

NVIDIA GPUの単価

最新のNVIDIA GPU H100は2023年にはイーロン・マスクが「麻薬よりも入手困難」というほど需要が供給を上回りました。
NVIDIAの発表によれば2023年のデータセンター向け売り上げは476億ドルです。ほとんどすべてGPUの売り上げとみて差支えないと思います。NVIDIAの決算は2023年2月ー2024年1月ですので、1ヶ月分2024年が入っています。データセンター売り上げは2024年2-4月期に前年比5倍に伸びています。2023年1月の売り上げは2024年1月の売り上げに比べればゼロみたいなものなので1ヶ月分くらいは売り上げが底上げされていると思います。すると2023年は暦年でいうと440億ドルくらいになります。
昨年のデータセンター向けGPU出荷は推定によると376万台だそうです [hpc-wire]。データセンター向けGPUはほとんどH100だと思いますが、中国向けに型落ちも出していると思います。中国向けが3割とすると、残りはH100で263万台になります。H100以外が価格半分と推定して、H100の売り上げは476億ドルの85%ですから、405億ドルです。
これを263万台で割ると1.54万ドルです。円ドル相場は変動していますが、2023年の平均は141.56円 ([murc]) ですから218万円です。
日経報道によるとH100の国内価格は544万円です [nikkei]。円安もありますが、結構、乖離しています。

意外に安い理由

SIGRAPH2024でJensen HuangとMark Zukerbergが対談したときに、JensenがZukerbergが60万台のH100を買ったといっています([nvdia2)]。全部が2023年でもないかもしれませんが相当な比率です。
AIセンター向けGPUを買いまくっているのはMeta, Google, Microsoft, Amazonです。彼らは10万台単位で買うのでさすがにボリュームディスカウントが効いているのだと思います。NVIDIAのほうも原価の5倍で売っていますから、半額でも大儲けです。さらに巨大IT企業がAIを進化させればますますGPUが売れるので悪い話ではありません。
ちなみに新世代のBlackwell B200は1枚1100万円といわれています([gazlog])。B100が2枚はいっていることを考えると日本価格でいえばHopperと同じ価格で性能が5倍 ([itmedia])ということでこちらもお値打ち品です。

むすび

生成AI向け機能の強化をしたH100の大成功はNVIDIAを世界の寵児にのぼりつめさせました。Blackwellはさらに10倍強力なGPUファミリーであり、ネットワークを統合したDGXシステムは圧倒的なAIデータセンターソリューションです。Blackwellがまともに出てくればHopperですらこれだけ蹴散らされている半導体他社はひとたまりもありません。流石に製造工程の不具合が見つかってBlackwellは出荷が遅れているようです([xenospectrum]。今後の展開に目が離せません。

参考文献

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