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生成AI時代に人間の行きつく先は座禅

座禅と生成AIの話をします。


知識の圧縮

「2025年に起きるのは知能の大変革」という動画を見ました ([newspick])。知能の大変革は2023年にも2024年にも起こりましたが、また今年も起こるだろうというのは誰も異議のないところです。
確かに生成AIが考えるようになると知識の力や思考の力で生成AIを凌駕するというのはほとんどの人にとって難しくなりそうです。そうするとそれ以外のところで勝負することになります。面白かったのは楠木建氏の自分にとって深く意味のあることを考えるべきという話です。
結局、意味のないことをどんなに深く早く考えても意味が生まれるわけではありません。楠木氏は朝に座禅をするという話を紹介しています。何もしないが普通の人は無になり切れないので呼吸に集中するそうです。最も重要だけれども意識していない呼吸に集中することによって、本当に大事なことに思い至るそうです。

価値観と目的設定

外部からの刺激に対して反応するだけのリアクティブな人生を送っていると何が根幹なのかを見失いがちです。外界の刺激を断って呼吸に集中する座禅はプロアクティブな人生を送る上で重要な開眼の機会です。
価値観と目的設定はプロンプトエンジニアリングの中でも重要な要素です。何が価値で何が目的かによって生成AIの出力は大きく変わります。
「あなたは○○〇の世界的エキスパートです」というのが私の好きなプロンプトの始まりです。そんなことを書いてどんな意味があるのですかと講演で聞かれたこともあります。定量的には説明できませんが、おまじないとして頻繁に書いています。
膨大な情報によって人間は本質を見失いがちです。
生成AIによって情報を絞ることは可能になりました。しかし、絞ったうえでも本質を見失うほどの情報が世界にあふれています。
量で勝負することはできません。
理想は何であり、その理想に向かうための最善のガイドラインは何なのか、を外界の干渉を断って考えるのが重要になったのかと思うと感慨深いです。
生成AIは膨大な知識と高度な推論能力を持ち、ほとんどの知的作業ができます。何でもできるからこそ、その中から何を選び取るかが重要になっていくのだと思います。

内省の重要性

プロンプトエンジニアリングで目的は誰か、結果の受け手である自分は何か、出力の結果の形式がどうあるべきか、よい例は何か、ということは実は自省を必要とする難しい課題だと思っています。
自分が本当に欲しいものは何か、自分にとって本当に重要なものは何かを考えることになります。
簡単な問答の中に自分の本質を見直す契機があります。また、生成AIの回答は一期一会的な側面もあります。
生成AIに向き合うことがある部分では自分に向き合うことにもなります。

むすび

生成AIの進展がやがて人間を哲学や精神世界に向かわせるというのが新鮮でした。一番重要なことは何か、重要なことを判断する基準は何かを、折に触れて考えてみたいと思います。
生成AIに目的を書かせたらどうなるか、とか、目的を書かせるプロンプトを出力させたらどうなるか、とか考えると煩悩は尽きないです。
GPT-4oで画像を描かせる場合などは生成AI側でプロンプトを変換してより高品質な画像を生成するようにしています。そういう意味ではプロンプトで内省するというのは過渡期なのかも知れません。
プロンプトが深い内省につながるのが本質なのか、単なる過渡期なのか興味深いです。

参考文献

  • [newspick] 「2025年に起きるのは知能の大変革」一番必要な情報圧縮スキルとは?今学ぶべき事について徹底議論 (落合陽一、楠木建、宮田裕章、湯上響花)TheUPDATE https://www.youtube.com/watch?v=Ko9sPaZCvwA NewsPicks 14m55s 2025年



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