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AIバブルは崩壊しない
はじめに
AI半導体株の上昇がAIバブルともいわれています。NVIDIAはいまや地球上で最も価値のある株式会社ともいわれ、相場全体の上げ下げを左右するまでに至っています。
最近はAI半導体関連株の上昇をネットバブルになぞらえる動きもあるようです。
AIバブルは崩壊しない
儲かっているという現実
個人的にはバブルは当分、崩壊しないと思います。ネットバブルとの違いは本当に儲かっているからです。NVIDIAの売り上げはいまや巨大IT企業に支えられています。AIの悪夢にとりつかれた巨大IT企業はいずれも高収益で膨大な手元資金を持っています。彼らが自前の言語モデルなんていらない、GPTを使えばいい、といった瞬間にバブルははじけます。でも、そうならないでしょう。
AI半導体を支えるAIデータセンタ
AI半導体を要求しているのはAIデータセンタです。AIデータセンタが必要なのは生成AIの学習のためです。学習の終わったあと推論をするために大量のGPUが必要なわけではないです。
OpenAIはGPTはGeneral Pre-trained Transformerです。このPre-trainedは事前学習で事前に大量の学習が必要です。この事前学習でGPTに追いつき追い越すために学習を加速しているわけです。GPTにかなわないと思えば学習する必要はありません。超えられる少数がはっきりすれば他は学習をあきらめるのが合理的な行動です。
AI半導体バブルを駆動する巨大IT企業の自意識
上場企業である以上、潤沢な手元資金を何かに使って増やさなければならないという意識とプレッシャーと戦わなければなりません。もし、資金を自社株買いに使わないとしたら、生成AI以外の投資先は考えられません。そして、自社株買いに使うということは自分たちからイノベータの席を下りることになります。
Gemini UltraがGPT-4をうちまかしたスコアは、MMLUの90.0対86.4はまだしも、推論のBig-Bench-Hardは83.6対83.1です。この0.05に金をかける意味がないと認めない限り、巨大IT企業の乱費は続くと思います。
お金持ちを顧客にするのがビジネスの本道
NVIDIAは世界で一番お金持ちの企業を顧客にするB2B企業になっています。これは儲かるビジネスの本道です。
おわりに
AI半導体戦争を戦う意味はあまりないと個人的には思います。しかし、AI半導体戦争がすぐには終わる景色はありません。そこには経済合理性を超えた自意識の問題があると思います。
参考文献
Goldman's Trading Desk Calls Nvidia 'Most Important Stock' on Earth
https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-02-21/goldman-s-rubner-says-nvidia-is-most-important-stock-on-earth 2024年