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コンサルティングビジネスの変質
生成AI時代のコンサルティングビジネスの変質についてお話します。
博士レベルのo1をどう使うか
OpenAIが2024年12月にo1-previewをo1にアップグレードしました。博士レベルの思考推論ができるという触れ込みです。実際に数学の問題を解かせたりした動画もありますが、普通の人間のレベルではそもそも正しく思考しているかどうか判断できないレベルです ([KEITO])。
o1のpro modeを使うには月200ドルのChartGPT Proに加入する必要があります。月200ドルは普通の個人向けサブスクリプションサービスとしては高額なので使えるかどうかについては議論があります。
網羅的に深く考えてくれるので自分が専門外のことについて深く考えてもらうのには役に立ちます ([remotework-kenkyujo])。誰にとっても大部分のことは専門外なので、それにコンサルタントを雇うよりはコストパフォーマンスがいいということになります。
コンサルティングビジネスの変質
逆に言うとコンサルティングビジネスが成立するこかということになります。
コンサルティングビジネスは次の3つに分岐していくことになります:
マル秘の情報があるなどの理由により絶対に生成AIへの入力をしないことを前提とする顧客へのサービス
直接の依頼の裏に明文化されたくない陰の依頼があり、それを忖度してほしいとうい顧客へのサービス
生成AIとのゲートウェイをする
2年前に、プロンプトエンジニアリングが出たときに、生成AIが賢くなればプロンプトエンジニアリングもなくなるだろうという意見がありました。長期的には正解ですが、今のところはそのようなことにはなっていません。
それは次の2つの理由によります:
プロンプトエンジニアリングのベースを作っているインコンテクスト学習(in-context learning) は非常にデリケートなものであり、わずかな変化で大きな出力の違いを生む([stanford])
自分の目的を理解しそれを客観的に記述するスキルを獲得するのは難しい
むすび
プロンプトエンジニアリングが普及すればまずコンサルティングビジネスが影響を受けることになります。
ページ数だけを稼いだり、目を引くスライドを作るためのスライドテンプレートポートフォリオをもっているだけでは、顧客側が出力を生成AIにかけて要約するとすぐぼろが出てしまいます。
大学生の就職ランキングで上位にいるようなコンサルティング企業は上顧客を抱えています。社内事情も含めてコンサルティング企業の立ち位置はエコシステムの中に入っています。
中小企業のコンサルティングがまっさきに先細りすると予想します。ただし、今までコンサルティングを依頼してこなかった規模の企業が、生成AIの仲介をするだけのコンサルティングサービスを依頼する低価格市場は一定程度新しく起こると思います。
OpenAIのCFOが人間を代替できるなら月2000米ドルの生成AIサービスでもコストパフォーマンスでは優位になると発言して話題になっていました。普通のコンサルタントを月2000米ドル(日本円30万円)で雇うのは難しいので、フルタイムなら十分競合になるということです。
参考文献
[KEITO] 月額3万円のChatGPT o1 pro modeを解説 〜 課金すべきなのか検証結果と感想を共有 https://www.youtube.com/watch?v=69z34dOZ-QY KEITO【AI&WEB ch】27m48s 2024年
[remotework-kenkyujo]【必見】o1ってビジネスで実際使えるの?という方に。結論、「ソリューションセレクター」として、どんな仕事でも最強に使えます! https://www.youtube.com/watch?v=pAkZouQ2Olc リモートワーク研究所 42m32s 2024年
[stanford] Stanford Webinar - Large Language Models Get the Hype, but Compound Systems Are the Future of AI https://www.youtube.com/watch?v=vRTcE19M-KE Stanford online 2024年 58m05s