GPT-4o発表に見るOpenAIとNVIDIAの蜜月
OpenAIの新しいフラッグシップモデルGPT-4oが発表されました。今回はOpenAIとNVIDIAの蜜月をお話しします。
GPT-4oの性能向上
5月13日のOpenAIの製品発表はGPT-5ではなく、検索でもない、と事前に公表されていました。GPT-4oは視聴覚で現実世界を把握する新モデルです。GPT-4turboより精度は改善しています。今回は無料ユーザにも開放されます。
GPT-4oの驚くべき性能はそのリアルタイム性です(参考文献[OpenAI])。
GPT-4は音声をテキストにし、テキストに対して回答し、回答を音声にするのに5.4秒かかっていました。GPT-4oはこの作業を一括して行い、平均0.33秒で応答します。この速度なら人間の応答速度に対応できます。16倍強の性能向上です。
NVIDIA Blackwellの性能向上
NVIDIAのCEO Jensen HuangはGPUは過去10年間で100万倍の性能向上を達成し、今後10年間でさらに100万倍の性能向上を目指すと言っています (参考文献 [Stanford_YouTube] )。NVIDIAのGPUはだいたい2年で1世代進むので10年で5世代です。5世代で100万倍ということは16の5乗が1048576なので、1世代あたり16倍ということです。NVIDIAは最新のGPU Blackwellアーキテクチャを出荷し始めたばかりです。初号機はJensen Huangが自らOpenAIに納入しました。
16倍の性能のGPUがあれば必ず実世界AIが16倍になるわけではありません。しかし有力な援軍であったことは間違いありません。
どの会社でも最新GPUは最新生成AIの開発に使いたいものです。OpenAIには新規開発のみならず新製品の実行環境として十分な数のBlackwell GPUが納入されているのだと思います。
OpenAIとNVIDIAの蜜月
OpenAIはGPT-4oの製品発表の最後にJensenとNVIDIAチームに謝意を表しています。個人的にJensen Huangに感謝しています(参考文献 [OpenAI_YouTube]。Jensen HuangはNVIDIAの創業者であり、会社の歴史の中でただ一人のCEOです。NVIDIAでJensen Huangに逆らえる人はいないと想像できます。
NVIDIAがどの企業に最新チップを納入するかは生成AIの未来を決めると言われています。優秀なAI人材はNVIDIAの最新チップが入手できない会社には就職しないからです。
今回の製品発表でNVIDIAは今でもOpenAIの応援団であるとわかります。
Jensen HuangがOpenAIを応援するには2つの要素があります。
GPUをゲーム描画用のホビーユースのチップからAIデータセンターの基幹商品に成長させてくれたOpenAIへの恩義
OpenAIの成功がますますAIブームを盛り上げ、自社GPUへの需要をさらに拡大してくれるという実利
いずれをとるにせよ、NVIDIAには損のない話です。
10万台のHopper GPUより1万台のBlackwell GPUのほうが価値があります。NVIDIA GPUのキングメーカーとしての位置はまだまだ続きそうです。
むすび
NVIDIA GPUを制するものが世界を制すると言われる昨今、OpenAIはGoogle I/O 2024の前日にGPT-4oを発表しました。Blackwell世代においてもNVIDIAはOpenAI推しだと理解してよさそうです。
参考文献
[OpenAI] GPT-4o
https://openai.com/index/hello-gpt-4o/ 2024年[OpenAI_YouTube] Introducing GPT-4o https://www.youtube.com/watch?v=DQacCB9tDaw 2024年
[ai300lab] キングメーカーNVIDIAの指名は2025年もOpenAI https://note.com/ai300lab/n/naf5d4be3e3a8 2024年
[Stanford_YouTube] Keynote by NVIDIA CEO Jensen Huang at 2024 SIEPR Economic Summit https://www.youtube.com/watch?v=cEg8cOx7UZk Stanford Institute for Economic Policy Research 2024年 55m20s