生成AIの岐路:B2CとB2B
B2CとB2Bのどちらに向かうのでしょうかというお話をします。
B2Cの生成AI
ユーザが使う生成AIです。個人向けのチャットボットや検索、スマホ、個人向けのAI PCなどです。
あまりピンとくるものがなく、AI PCなども売れていない印象です。
OpenAIは検索を将来の収益の柱のひとつにあげています。Perplexityをライバルと名指ししています。
OpenAIはChatGPTにSearchGPTを組み込んでリリースしました。確かに便利ですが、BingもGeminiもすでにウェブ検索機能を組み込んでいました。それでもそれほど流行りませんでした。チャットボットよりユーザは検索品質に厳しいようです。
B2Bでも品質は厳しい要求がありますが、適用領域を絞ったりガードレールするのがB2Cより容易です。
B2CはChatGPTのように最初にバズって大流行しないと難しいと思います。
今週はMistralもウェブ検索付きチャットに参入したようです。競争の中で新しい方向が見えてくるかもしれません。
B2Bの生成AI
企業向けの生成AIはチーム用チャットボットやカスタマサービスボット、ソフトウェア開発生成AI、画像や映像やゲームの自動生成、ワークフローを実現する生成AIエージェントなどがあります。NVIDIAのJensen HuangがこれからはAIエージェントの時代だと熱く語っています ([nvidia])。
現状ではAIエージェントを動かすには人間とは異なる権限体系を作ったり、権限が誤用されないように監視したり、会社としてのアラインメントを実現したり、行き過ぎたアクションをとらないようにガードレールしたりと大変な手間とコストがかかります。
現在の会社組織は人間が働くことを前提にしているので、それを生成AIに合わせるのは容易ではないと思います。生成AIにあわせて会社を作り替えるのは目標管理や人事考課やチームビルディングも含め10年単位の仕事です。
自動化となると100回も1000回も推論してワークフローを実行します。99.9%以上の精度が求められます。
いったん、権限管理やガードレールの問題が解決すると、そもそも従業員自体の必要性が薄くなるので、従業員に生成AIエージェントを使わせるというシナリオの未来があまり見えません。
むすび
昔、エージェントがはやったのは1980年代でした。AppleもGeneral Magicというエージェントの会社を作りました。その頃のエージェントは妻の誕生日に忘れずに花束を買うというようなユースケースでした。とても人間の補佐をするようなものとは思えません。
40年たって、エージェントは強力になって帰ってきています。
価値創造という点ではB2Bに軍配があがるのかなと思います。実用化は自動化に耐えられるほど生成AIの精度があがるかどうかにかかっています。
参考文献
[nvidia] Jensen Huang Special Address from NVIDIA AI Summit Japan https://www.youtube.com/watch?v=x8O6ChAWBxs 1h26m50s NVIDIA