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OpenAIのコンピタンス

OpenAIの強さは謎というお話をします。


生成AIをリードし続けるOpenAI

OpenAIはエッジが効いています:

  • ChatGPTのアクティブ週間ユーザは2億人

  • チャットボットアリーナでは常に1位

  • OpenAI o1で高度な推論能力でもリード

  • 動画のSora、画像のDALL-E 3、音声のVoice Modeでもリード

  • GPT-4o miniはコストでも優位

  • GPTsで生成AIアプリストアでもリード

GoogleやAmazonのほうがAIエンジニアが多いのに不思議です。
タレント揃いという点ではGoogle も負けていません。しかも、最近は創業以来のメンバは続々とOpenAIを辞めています。

OpenAIのコンピタンス

  • Transformerへの先見性

  • 計算資源投入への先見性

  • 言語モデル学習後の報酬モデルや推論モデルの構築能力

  • 最高の人材を引き付けるネームバリュー

OpenAIが最近の資金調達ラウンドで投資家にライバルだから投資しないようにと釘を刺したのはAnthoropic, Safe SuperIntelligence, PerplexityといずれもOpenAIのOB企業です。Elon MuskのxAIも喧嘩別れした創業仲間とも言えます。MetaやGoogleのOBが作ったCleadを除けば、5社のうち4社がOpenAIのOBが作った会社です。
OpenAIのコンピタンスの源泉は何なのかが興味があります。
Eric Shmidtがどこかで、「生成AIブームが起こったときに、今後、OSSを使って他の新興企業が次々と追い付いてくると予想して他のAI新興企業に投資をしたが、最近、その予想に自信がなくなった」、と言っていました。OpenAIには何か他社が追い付けない秘密のソースがあるようです。
圧縮には人々の理解を超えた力があるとIlya Sutsukeverは言っています。
純粋にたくさんNVIDIA GPUを持っていて投入できるというのもあります。生成AIの生成は確率的なものもあり、何度か繰り返して初めて正解が出る場合もあります。この繰り返しを可能にする計算機資源を持っているかどうかは基盤モデルの精度評価には重要です。ただし、資源だけならMetaもGoogleも持っているので、一貫して差がつく理由に興味があります。
今月どこかでOpenAIの年間計算コスト(モデル開発の人件費除く)が30億ドルという推計を見ました。どこで見たのか探しても見つけられせません。いずれにせよ推計にすぎないのですが、本当だとすればすごい投資です。

オオカミ少年からの脱却

GPT開発当初からOpenAIはすごいものを開発してしまいました、と言っていましたが、なかなかリリースしないのでオオカミ少年と化していました。
もともとAI界のスーパースターが金儲け度外視で安全なAIを目指すということで注目されていました。その才能集結は折り紙付きでした。
OpenAIが脚光をあびたのはGPT-3.5搭載のChatGPTからです。
それ以後は一貫して余裕をもって他社をリードしてきています。
やはり単なる言語モデルをこえて、報酬を設定して人間フィードバックによる強化学習をしたり、推論学習をしてリフレクション(内省)によって推論精度をあげたり、のところにコンピタンスがあるのかと思っています。

むすび

安全なAIをめぐってどんどん初期の人材は抜けています。
人材が胆の生成AIとしては不安な旅路ですが、2024年もOpenAI無双のまま過ぎていきました。
とはいえ、ChatGPTによって集められるユーザ挙動情報も非常に貴重です。
興味深い戦場は3つです:

  • 基盤モデル自体の精度

  • エージェントなどの応用

  • GPT Storeなどのエコシステム

そういえばGPT Storeのレベニューシェアリングの話は最近聞かないですが、どうなったのでしょうか。
誤答や偽画像はGoogleでは許されないがOpenAIなら許されるという時代もOpenAIが時価総額1500億ドルといわれる今、通用しなくなっていくと思います。
Gemini-2, Claude 3.5 Opus, そして GPT-4.5のリリースが噂されていますが、噂通りにならないのが生成AIの世界ですので興味は尽きません。

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