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道端にお金が落ちている黎明期

イノベーションが起こる時には道端に金が落ちているものです。


変化が速くて目が眩む

技術革新の黎明期には技術とその効果を見定めることが難しいです。
技術の進化にも目が眩みます。一方、サービスの中には技術だけでは解決できないこともあります。顧客の理解や安心などは一瞬では作り出すことができません。これらは少し時間がたって見えないところで解消するのですが、そのタイミングを見極めるのが難しいです。

事例

インターネットの黎明期

インターネットの黎明期にはホームページを作るだけで儲けることができました。何も知らない予算をたっぷり持っている大企業の広報部門が1億円でホームページ制作を依頼するなんてこともありました。
モバイルインターネットの黎明期にガラケー向けにコンテンツ変換するというのもありました。

SNS APIの黎明期

FacebookがサードパーティーAPIを公開したときにもFacebookアプリは流行りました。日本ではモバゲーやグリーが流行ったころです。友達つながりでアプリを広めるというのは人間関係をインターネットに埋め込む強力な方法でさまざまなスタートアップがこれを踏み台に大きくなりました。

生成AI

生成AIはインターネットやモバイルインターネットやSNS APIの公開より大きな技術革新です。どこに金が落ちているのでしょうか。
今回も技術革新は早い、ユーザや組織の受け入れには時間がかかる、というイノベーションの典型的なパターンです。

お金が落ちている例:ソフトウェア開発編

ボットが自動的にカスタマーサービスする、というのは、企業内情報を与えてそれに対する正答率が80%くらいでは人間を代替するのにはほど遠いです。
直近、道端にお金が落ちている例として考えられるのは、ソフトウェア開発です。COBOLなんかいいのではないでしょうか。銀行システムはいまでもCOBOLですが、COBOLプログラマは少ないので単価が高いです。若いプログラマにCOBOLを教えるのは大変ですが、生成AIでプログラムするなら知識なんていりません。試しにChatGPTにCOBOLでデータベースアクセスやREST-APIによるウェブプログラミングの例を出してもらいました。それらしいものが出てきます。
ソフトウェア工程のうち、仕様管理、基本設計、詳細設計、コーディング、単体テストまでは従来の3割以下の工数で実現することができると思います。結合試験と総合試験を全体の25%としても、前半75%を3割で実現できれば、従来の半分以下の価格になるはずです。
これを阻んでいるのは、自社ソフトに関する情報を生成AIに入れてはだめと制限している顧客側の事情です。APIでたたく分には問題ないと思いますが、顧客の了承がないといかんともしがたいです。

ウルトラC解決策:OSS化

ウルトラCの解決策としては受注したソフトを一部OSS(オープンソースソフトウェア)化してしまうことです。
次の部分をブラックボックス化します:

  • アクセス制御共通関数

  • スケーラビリティ共通関数

  • 監視共通関数

これ以外の部分が8割としてこれをOSS化します。OSSはソースコード公開なので、この部分を生成AIで作ります。残り2割は企業の秘密にするべき部分なので従来工程で作ります。8割が半分の工数でつくれるので全体の工数はもとの6割でできます。

むすび

あるSIerの開発本部長さんに生成AIになったのだから開発費を半分とかにできないのですかと聞いたら、顧客がいいと言っているので当面は今の価格でいいです、ということでした。
技術は進みますが、顧客側の都合で道端に落ちているお金を拾えないということもままあります。
ChatGPTとかGitHub Copilotとか出て久しいですし、Claude 3.5 Sonnetのコーディング能力も相当なレベルに達しています。それでも生成AIで少人数で大量にソフトウェア開発するというスタートアップはでてきません。技術だけではビジネスができないという一例です。


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