見出し画像

インター校の宿題【算数で学ぶ建築設計デザイン】

以前も少し触れたけれど、インター校の授業や宿題の面白い点は、複数の教科をまたいだ勉強が沢山あることだと思う。

小4の息子が算数の宿題のプリントを持って帰ってきたので見せてもらった。課題を読むと:「You are an architect and have been asked to design a house for the Bluth Family.  Design a house!」(あなたは建築設計家で、ブルースファミリーから家をデザインしてほしいと依頼されました。家をデザインしましょう!)

最近学校で、面積の出し方を学んでいるのは知っていた。少し前の算数宿題は、面積の出し方を説明するポスター作りだった。正方形、長方形、円や三角。色々な形の面積をどう出すか、それを知らない人に向けてのポスター作り。問題を解くのではなく、面積の出し方を説明するのが課題。一口にポスターといっても、内容を吟味し、構成やレイアウトを考え、フォントサイズも考える。ある意味グラフィックデザインの世界である

そして今回は、家のフロアデザインだ。ブルースファミリーの要望は様々だ。バスルームは2つ。お父さんは20平米のガレージが欲しいと言っている。お母さんは映画などを見れるメディアルームが22平米いると言っているし、子供達のベッドルームは別々。10平米のゲームルームも欲しいと書かれてある。そしてその家族の希望の下には方眼紙があり、そこにフロアデザインを考えて提出。という宿題だ。

ここから色々なデザイン思考が始まる。

必要な部屋(ずいぶん大きな家だ)
●バスルーム1:9平米
●バスルーム2:4平米
●キッチン:15平米
●ガレージ:20平米
●マスターベッドルーム:20平米
●メディアルーム:22平米
●ラウンジ:24平米
●ダイニングルーム15平米
●ベッドルーム1:9平米
●ベッドルーム2:9平米
●ゲームルーム:10平米

考えたこと:
●平米数の計算:20平米といっても色々な形が考えられる。縦4Mx横5Mでも20平米。縦2Mx横10Mでも20平米。別にきれいな長方形の形である必要もないので、でこぼこしてもいいことになる。
●レイアウトデザイン:ガレージは外から入りやすい方がいい。ダイニングとキッチンは続いている方がいい。お客さんが来た時にシャワーから上がっても見られずに部屋に戻りたい。お客さんが使うトイレと家族が使うトイレはどこがいいか。ゲーム室は二人のそれぞれの子供部屋の近くにしたい。そしてそもそも部屋だけ並べても行き来が出来ないので廊下が必要だということに気づく。ドアもつけなくてはならないけど、どこにどちら向きに付ける方がいいんだ?

描いては消し、描いては消し、方眼紙がどんどん真っ黒になっていった。(別の方眼紙を下書きにあげればよかったのだけれど。)どこかをいじるとどこかが帳尻合わなくなる。レイアウトを変更したい別のアイデアが出てくると、またやり直し。普段息子は使っているパソコンもあるしいiPadもあるから、そこでやった方がキレイに描けてプランしやすかったかもしれないけれど、でも息子は紙と鉛筆で続けたがった。描いては消し、描いては消す。1時間経ち、2時間経つ。それを見ていて、紙と鉛筆でプランするというごく当たり前のことは、実は楽しいことなのだと言うのが見えてくる。uとっくに夕ご飯の時間だけれど、納得いくまでやらせてあげようと思ったら、勝手に付け加えたパントリー(食料倉庫)を含めて、結局3時間かかって完成した。

算数の単純な計算は、普段学校の先生が教えてくれたゲームで、クラスの仲間と競争している。でもそれは宿題ではなくて、何かの合間に息抜きでやる。誰が1位になったとか、抜いたとか抜かされたとか、クラス中のメンバーと競争しているので面白い。(ちなみに算数のクラスは、レベル別に分かれているので、自分のクラスは自分のレベルに近い。)

一方でこういった1週間に1度もらう問題はプリント1枚だけ。でもその一つの課題をじっくり考え、調べたり、家族と話し合ったり、やり直してみたりして取り組む。その成果物は、また先生に見せたり、授業で友達と見せ合ったりしてシェアしあう。一人一人の提出物の内容は異なってくる。なぜなら、最低限の「面積の出し方」が分かっていることに加え、そこに自分で「考えて・調べて、創る、描く・書く」というプロセスが入る限り、正解も不正解も出てこずに、ユニークな成果物になって出てくる。お互いの成果物を見せ合うと、へえそういう考え方もあるんだという発見や、そういう考え方もあったのか!という驚きなど、新たな感がえや刺激をもらったり与えたりする。

横で見ていて、大人である私がやりたいくらいの宿題だった。そしてもう一つ、紙と鉛筆を使ってアイデアやデザインを考える作業は、はやり「面白い」のだ。