【AI解説】人工知能は「人類の夢」を実現させるための“秘密の道具”?!


はじめに

人工知能がすごい勢いで進化しています。

このわずか数年で、人間が行っている様々なことを人工知能に代替することが可能になってきました。例えば AIエージェントが様々な場所で受付などの案内をしてくれたり、携帯アプリでまるで恋人のように会話を楽しんだり、 自分に必要な情報を教えてくれたり、身の回りの案内をしてくれたり、さらには、勉強を見てくれたりといったことまで AI(人工知能)がやってくれるようになりました。

人工知能のここ数年の技術の進化により、コンピュータが人間でいう「目」や「耳」の機能を持ったと同じような状態へと進化しました。これにより、コンピュータが現実の世界を認識する事が可能になってきています。その精度は人間の認識精度を超えるものと言われています。

さらに、自然言語処理の分野(言葉の理解)でも、画像認識(目)、音声認識(耳)と比べて精度が低い状態が続いていましたが、2018年後半にBERT など次々と新しい技術が誕生して、自然言語処理の分野でも人間の認識精度に近づいている状態です。このような AI技術の進化により、ますます AIエージェントの認識能力が向上して私たちの生活を便利なものにしてくれるでしょう。

さらに驚くべきことに、人工知能が人間の「手」の能力をも持とうとしています。アメリカの AI研究機関が5指を巧みに動かすことができるハンドロボット(Dactyl)を発表しました。この動画が公開されてますのでぜひ見てもらいたいのですが、そう遠くない未来にロボットが人間の手や指の細かな動きまで代替される可能性を示しています。まさに AI(人工知能)が驚くべき進化を遂げています。

いや、でも、 AI(人工知能)がすごく進化しているのはわかったけど、そもそも AIのことをほとんど知らないという方もいるでしょう。


そして AIってどういう背景で生まれた言葉なのか? そこで今回は 「AIってなんの略」ってところからわかりやすく説明していきます。さらに、 AIって言葉が生まれる背景、どのように進化してきたのかなど、さらには、私たちは人工知能とどのようにかかわっていけばいいかということまでお伝えしていきます。


AI(人工知能)という言葉が生まれた背景

チューリングマシーンというコンピュータの原型ともいえるのを考えられたのが1936年。
世界初といわれる電子コンピューター「エニアック」が誕生したのが1946年。

そういった、コンピュータの先駆けがある中で、人工知能という言葉が初めて用いられたのは1956年だと言われています。この年にアメリカで天才数学者や科学者らが一同に集まり、1か月以上にもわたってコンピュータの進化と課題について話し合いが行われました。この会議を主催したジョン・マッカーシーによって AI ( artificial intelligence 人工知能)という言葉が使われました。

端的に言うと「AI」はArtificial(人工) intelligence(知能)の略です。
「Artificial」(人工)つまり、人の手によって作られた intelligence(知能)ということです。


知能( intelligence)というのは、「論理的に考える」「計画を立てる」「問題を解決する能力 」あるいは、「ある出来事に対して最適な解決方法を導き出す能力」といった説明ができるでしょう。そういったものを、人の手で行うのではなく機械が行う。これが文字から直接的に説明する人工知能の意味です。


ですので、 「AIってなんの略」と尋ねられればその答えは、「Artificial intelligence」ということになります。その頭文字をとって「 AI」です。


人工知能の「知能」とは具体的にどういう意味か

知能とは何かを料理に例えて説明してみます。料理をするにはいろいろな知能が必要になります。例えば、「どのような料理を作れば喜んでもらえるか」、「どんな材料を使うか」、「安く作るにはどうすればよいか」、「健康で栄養価の高い料理を作るにはどうすればよいか」など、人はこのようないろいろなことを考えて(知能を使って)料理をつくっています。高い知能があればあるほど、最適な解、料理でいえばおいしくて、自分の好みの合う料理に近くなります。このように、知能とはある問題に対して最適に解決する能力のことです。

このような知能を必要とすることはこれまで人間が行わなければなりませんでした。しかし、近年は AIが賢くなり、その一部を機械が代替することが可能になってきました。


将来的には、個人個人の好みに合った料理を機械が膨大なデータを駆使して、最適な状態で提供することが可能になるかもしれません。しかも、その一連の作業は人間の手を一切必要としなくなるかもしれません。


AI(人工知能)という言葉が初めて使われた「ダートマス会議」とは

ここで上記に挙げました会議の話に戻りますが、この会議では本当にすごい人たちが集まってコンピュータで今後どのようなことができるか深い話し合いが行われました。この会議は「ダートマス会議」といいます。この会議では人工知能について次のような課題について話し合われました。

1、コンピューターの自動化
2、日常言語を用いたコンピュータープログラミング
3、ニューラルネットワーク
4、計算規模の理論
5、自己改善
6、抽象化
7、乱雑さと創造性

あらかじめ定められた課題だけしか扱うことができない機械を超えて人間のように柔軟に状況に対応することが人工知能に求められた課題 。難しい言葉がならんでいますが、ようするに、人間のような知能をどうすれば機械が持つことができるか、技術的に実現できるかということを真剣に考えられたということ。

ここで話し合われた内容は現在の人工知能の技術のほとんどすべてに通じるような深い議論がなされ、やがて、人間の能力を超えるような知能を人工的につくることができるのではないかと真剣に話し合われました。ここで AI「Artificial(人工) intelligence(知能)」という言葉が初めて使われたと言われいますし、世界初と言われる AI プログラミングも発表されました。

人工知能の「歴史」を簡単に振り返る

その後に第一次 AIブームが起きます。しかし、このころは、計算機の能力もそれほど高くなく、ボードゲームやパズルなどおもちゃのような問題しか解くことができす、人間の知能のようなものとは程遠く、ブームは下火になります。

第二次 AI ブームはコンピューターに「知識」を与えることで賢くなるのではないかということでまたブームが起こります。しかしコンピューターにひたすら知識を与えても 人間界のよう複雑な問題(状況に応じてどのフレームを選択すればよいか)ということが、コンピュータでは難しく、いくらコンピュータに知識を与えても人間のような知能を持つことができませんでした。
先に説明した会議に出席していたジョン・マッカーシーやマービン・ミンスキーらによってフレーム問題として指摘されるなどして再び冬の時代になります。

しかし、その後もあきらめずに人工知能を研究した人たちによって再び人工知能ブームが起きます。それまで、すでに研究されつくしたといっていい人工知能研究の中で「機械学習」に光があたります。それは、それまで理論はありましたが、コンピュータの計算能力が足りないために実現できなかったものが徐々に計算能力が高まってきて、実用に足りうるものになってきました。第3次aiブームが起きる背景にはこのような要因があります。


「機械学習」が現在の AI(人工知能)の主流

機械学習に関しては、先に説明した会議に出席していたアーサー・サミュエルによって、1959年に次のように定義されています。

「明示的にプログラムしなくても学習する能力をコンピューターに与える研究分野」

60年ほど前から定義されていた理論が、コンピュータの計算能力向上などによって、今ようやく花を開こうとしています。

人工知能研究はダ―トマス会議以降、いろいろな研究がされてきました。その研究は今も続いていて、それは変わらず研究されています。しかし、現在は機械学習の分野で特に「深層学習」(ディープラーニング)が急激に精度が高まっています。この分野だけ、他の人工知能研究に比べて飛躍的に進化しています。(ほかの研究分野が今後進化する可能性もあります)


人工知能はどのように向き合えばいいのか

人工知能は偉大なる先人たちによって様々な構想がされてきました。ダートマス会議に出席していた天才らはもちろんそうですが、その他、小説、映画、アニメなどの作品の影響も小さくありません。そういった様々な分野の方々によってコンピューターやロボットの発達によってどのような未来になるか考えられてきました。


アメリカでは 映画「2001年宇宙の旅」の「 HAL」や「ターミネーター」の「スカイネット」など AIが人類に反乱を起こすディストピアを描く作品が多いですね。「her」なんていう AIの彼女「サマンサ」に恋をする映画もありました。ちなみに「2001年宇宙の旅」では、先に説明した会議に出席したマービン・ミンスキー氏がアドバイザーとし参加しています。

日本では「鉄腕アトム」や「ドラえもん」のように身近で親しみやすい AIロボットが描かれるのが多いのが特徴です。他にも比較的新しいものでは「新世紀エヴァンゲリオン」「攻殻機動隊 」など影響力の大きい作品も少なからずあります。

これらのような作品は私たち人類の未来を想像させたり、夢を与えてくれることもしばしばあります。鉄腕アトムに憧れて科学者や技術者を目指した人も多くいると聞きます。

このような創造性豊かな作品によって将来はこんなものが現れると私たちの可能性や夢を見てきた歴史でもあります。

ドラえもんは特に日本人に親しみやすアニメとして知られています。 

ドラえもんの四次元ポケットから繰り出される「秘密の道具」は 子供の頃、毎回夢中になって、 ワクワクして見たものでした。そんな中で、ドラえもんの秘密の道具が現在次々と実現されているという認識を持ったことがあるでしょうか?ネットで調べると、「ドラえもんですでに実現された秘密の道具35選」という記事があります。 

これを見ると、昔はSFや夢の中のようなことも、現在は次々に実現されていることがわかります。最近の人工知能のニュースを見ていると、ドラえもんの道具のようなものが毎日のように実現されているような感じです。

人工知能を作るということは、
人が構想を考える

AI技術者がそれを実現させるために適切なアルゴリズムを用いて実装する

実現する

このような流れになるかとおもいますが、現在私たちはこの「構想力」も「技術力」も十分ではありません。これまで、日本人は詰め込み教育が中心で構想力のようなものを育む訓練はあまりされてきませんでした。しかし、プログラミング教育が2020年から始まるなど徐々に変わり始めてます。これからは構想力や技術力が重要な時代になることは間違いありません。

少し前に、ロボットは東大に入れるかをテーマに「東ロボくんプロジェクト」なんてものがありました。それがあるなら、一部ではあるようですが「ドラえもん、秘密の道具実現プロジェクト」なんてものを大々的に行うなんてことを考えてもいいと思います。
そこで大目標こそ実現できなくとも、その開発過程の中で他のことが実現される可能性もあります。これまでの発明にもそのようなプロジェクトの過程で、付随的に発明されたものが多くあります。

このように、人が夢のような構想を抱き、人工知能によってその夢を実現させるということが可能な時代になっています。どのような構想を抱くか、その構想を実現させるためにはどのような技術が必要なのか、また、今ある技術でどのようなことができるか。ということを考えることが、今後非常に重要になるでしょう。

まとめ


人工知能という言葉は一般的に「ダートマス会議」で初めて使われたといわれ、出席した天才数学者や認知科学者らによってさまざまな人工知能の構想が話し合われました。

AI(Artificial Intelligence)という言葉をつくったジョン・マッカーシーは人工知能は世の中に広がり出せばすぐに誰も人工知能と呼ばなくなると語りました。まさにその通りで、近年人工知能は世の中にあふれ、存在しているのがあたりまえになり、使うのもあたりまえになり、 AIと認識せずに AIが存在しているような状態です。

数年後には「気が付いたら AI社会になってるね。」という感じになると思います。現在は完全にIT社会になっていますが、20年前には「IT社会なんて本当に来るの」とほとんどの人が言っていました。 AI社会も知らず知らずに訪れるでしょう。 

余談になりますが、ドラえもんの最終回(同人誌による)は、 ドラえもんが動かなくなってしまい、のび太はそのドラえもんを修理するために、猛勉強し、博士になり、世界で最も権威のある技術者までのぼりつめ、やがて、ドラえもんを修理し、蘇らせるという内容になっています。(原作者による作品ではない)
人は時に自分の夢を実現させるために途方もない努力をするものです。

AIほど今現在 チャンスなものはありません。人工知能を使わない手はありません。しかし、一番有利なのは人工知能を使う人ではありません。人工知能を開発する側です。

進化が止まらない人工知能。人工知能はまさに”人類の夢を実現させるための(秘密の)道具”といえるかもしれません。皆さんも人工知能を使って(又は開発して)自分の夢を実現させましょう。


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