「優しい」の定義。

「あいおいちゃんは優しいね。」

そんなことないよ、と言えば必ずと言っていいほど「あるよ~！」とかえってくる。

──優しいってなんなんだろう。

関わりが切れないように、人が欲しかった物を買い与えるのが優しさ？顔色を伺いながら接するのが優しさ？

多分、どちらも違うと私は思う。

とある友人は、人に対してずばずばと物を言うような性格で、時折それが自分を苦しめてしまうこともあるけど、間違いを気づかせてくれる。

多分、彼女の考える優しさが“そういうこと”なんじゃないかな、と思う。

私は幼い頃から「自分がされて嫌なことは人にしないようにしなさい」と言われて育ってきた。

多分、多くの人が1度は言われたことがあるだろう。

私はそれを今でもなるべく守ろうと心掛けている。

それでも、価値観の違いからか、上手くいかないことはあるんだけれど。そうなってしまったらもはや誤解を解くことしかできない。

きっと、人にはそれぞれ“優しさの定義"みたいなものがあって、それを心に留めて生きているんじゃないだろうか。

だからと言って、軽率に優しいと言っていいものなのかは分からない。けれど、優しいね、と言われて複雑に思う中でも、嬉しいという感情は少なからずある訳で。

私は心から優しい人間になれるんだろうか。

そんな不安や焦りに塗れた、ドロドロな毎日でも、優しさを探して生きていく。