ふわちゃんと私の母から考える、これからのテレビ
「昔のテレビでハヤってた人のものまねとか、わかんねーって思ってて!
再放送してくれたらいいのにって思ってました!コロナを機に見れるものもあって嬉しい!」
そう答えるのは、最近注目が集まるふわちゃんである。
AvexのCMをみてから、この子天才なんだと思っている。
この言葉を聞いたとき、同時に私の母の一言を思い出した。
「最近の若者、タレント性のある子をテレビで見ないよね~!
昔みたいなスター性のある子ははいないの?ママも知ってるようなさ!」
私の母が言っているスターとは、さんまさんやたけしさんや
志村けんさんのような、家族みんなが一緒に見たコンテンツの花形を
想像しているのだと思う。
その意味でいうと、確かに私の世代でそういった人は、
いないかもしれない。
でも違うよ、母さん。母さんがみているのは、
実はとっても”高齢者”に向けられたコンテンツなんだ。
若者にタレント性が決してないんじゃない。
むしろ各所で発信しまくっている。
一方で、若者側であるふわちゃんが「何の真似かわかんない!」と言った背景にも、この”テレビ高齢化”が根強いことを、暗に示していると思う。
というのも、仕事柄でWEB広告に携わっているので、
こういった話題はリアルタイムでよく聞く。
特にデジタルの領域にかかわっている人ならば
耳にタコができるほど聞いている話になるが、
2019年度の統計調査にて、ついにデジタル広告費がテレビ広告費を上回った。
別に業界に身を置こうが置かまいが、
結局ふ~んそっかという情報ではあるもの、
やっぱり大きな変化だと思う。
特に日本はキー局5曲がコンテンツ制作をして発信し続け、
そのマスメディアの力はやっぱり絶大な環境にある。
(マスメディアの影響を受ける1つとして、日替わりのゴシップネタでうんざりし始めている人もいるのではないだろうか。。。)
その中で、テレビ広告費用をデジタル広告費用が上回ったというのは、
やっぱりお金の動き方として、変化が生まれているのは事実だろう。
サブスク増加とコロナという状況があいまった結果、
動画コンテンツをみる「デバイスとしてのテレビ」が
今最中注目されていて、視聴率が上がっているなんていわれている。
でもその視聴率内容を見てみると、ワイドニュースやNHK連続ドラマが上位ランクインをしているのも事実で、なんとなくやっぱりテレビのコンテンツ注目性は下がってしまっているのが現状な気がする。
NHKで視聴率が上がったとて、CMを出すことができるキー局への還元はない。(別にNHK嫌いとかではない)
広告収益にはつながらないので、ビジネスモデルとしては、やはり変化するのだろうという印象だ。
こういった環境の中、デジタルという「個」が発信できる場所が広がり、
世代が分断され、ターゲットが分断され
属性を特定できるデータが世に満ちているとき、
果たして世代を通してウケるコンテンツ発信を目指すのは、ナンセンスなのだろうか?
世代を問わず広めることができるテレビも、明確なターゲットに向けて、
特に視聴率をとるためにも、高齢層に向けたコンテンツ作りが活発になってしまうのだろうか?
Youtubeを始めるにしても、インスタグラムを発信するにしても、
若者という立場からSNSでの発信をする考えると、
今現在は明確なターゲットに向けて発信するのが、妥当だとは思う。
「個」として発信できるからこそ、自由だし、「個」の影響力を直接的に反映できることは間違いない。
顕著な例が、芸能人のYoutube進出だと思うが、コロナ禍であまりに芸能人チャンネルが増えだして、ちょっと違和感すら感じてきた。
それだけ、芸能界というのは縛りがあり、作りこまれた世界だったからこそ、こういった自由な流れがうまれているのかなあと、
その闇の深さを察してしまう。
でもだからこそ、だからこそテレビには、
わっと世代をこえるような、やっぱりテレビのコンテンツ力は違うとうならせるような、そんな瞬間を目指してほしいと、一視聴者ながら期待してしまうのだ。
実質、私自身がテレビ離れをしてしまっているとはいえ、
Youtubeで見直すコンテンツは、テレビが作っているものだったりもする。
やっぱりテレビの編集力や企画力は、ちょろっと挑戦した個人では打ち勝てないのだ。
そこをもっと強みにして、テレビ内でも、デジタルを横断しても、世界をワクワクさせて欲しい。
別にテレビコンテンツ制作者でもなんでもなく、ただ思ったことを書いているだけで、無責任だなあと思うが、今一度’テレビらしさ’を輝かせてほしい。
少なくとも、私は母と、「あ~~~あれね!あれよね!」という会話を
心の底から楽しみたいと感じた。
最近注目しているのは、ネット黎明期・テレビ全盛期のコンテンツって
なんであんなに共通話題として、世代も性別も超えて話せたのかという点である。
めちゃイケやら学校へ行こうやら、そのあたりがバラエティでいうと世代で、ドラマでいうとごくせんと金八先生(八乙女君が麻薬やっちゃうやつ)
とかなのだが、今見返しても、色褪せずに面白い。
いい意味で、デジタル高齢化、テレビ若年化、
コンテンツ全体が世代間を超えるよな、そんあものがあったらと改めて思うのである。
私も何かものづくりをするなら、そんな観点から発信できたらなとそんなことをひそかに思っている。