土用のこと。~暦のお話~
土用ってなんだろう?
土用は夏の丑の日で有名ですが、この日だけではありません。
土用とは雑節のひとつで、1日だけではなく期間を総称します。
雑節というのは、一年間を24等分にした暦である24節気以外に作られた、いわば『二十四節気-番外編-』。
これがあることによって、季節をより正確に捉えられるように、日本の風土により密接した節目に作られています。
土用は、年間春夏秋冬の各4回
土用は、年間春夏秋冬の各4回あり、立春、立夏、立秋、立冬の直前から、それぞれ18日間程あります。
ちなみに2020年の土用は、
冬土用……1月18日㈯~2月3日㈪
春土用……4月16日㈭~5月4日㈪
夏土曜……7月19日㈰~8月6日㈭
秋土用……10月20日㈫~11月6日㈮
となります。
土用はどんなとき?
一年に四回もある土用。
いったい何を表しているのでしょうか。
そもそも土用は、古代中国から伝わる『五行思想』から取られています。
五行思想(ごぎょうしそう)とは、
万物の在り立ちを五つの要素から捉えようとした思想です。
五行思想は、木、火、土、金、水の五つの要素の関係性で世界の動きと関係性を捉えていきます。
これはそれぞれ実際の木や金属という意味合いより、象徴として使われていることが多いです。
それぞれに司るものがあり、これを一覧表にしたのが『五行色対表』です。
色彩や身体の構造部位、食物もここで分類されています。
あらゆるものが、五行にわけられているのです。
季節もここにあてはまり、
春➢木
夏➢火
秋➢金
冬➢水
と割り当てられています。
そう、土がまだ出てきていませんね。
これが今回テーマにしている土用です。
土用➢土
となります。
つまり、土用も季節の一つと捉えられているわけです。
土用の特徴
一年に四回もある季節というと、一般的な春夏秋冬の概念だけを元にするなら『?』となってしまうかも知れません。
先ほどの、年間でどの時期に充てられているかを見て頂けると一目瞭然、土用は《季節の変わり目》となります。
つまり、決まった気候の頃ということではなく、『移ろっていく期間』という特殊な状況に名前がつけられているのです。
昔は「土公神」という神様が土中にいらっしゃる季節として、土を触らないように様々な風習がありました。
土公神様は様々な場所におられると言われる神様ですが、土用中は土の中で静かになさっていると考えられていたそうです。
土用中は、『大きな決め事をしないように』言われていたり、行ってはいけない方位もありました。
他に、井戸を掘る、増改築、地鎮祭等も避けられていたようです。
現代においては
現代においては、
“普段よりも丁寧に、生活のマネージメントをしていく時期”と捉えたらわかりやすいのでないでしょうか。
環境の変化は人間に限らず、多かれ少なかれ生き物にとって負担です。
季節が移ろいゆく期間は、毎日の変化が大きく、安定に欠きます。ですから疲れやすく、よって判断も下しにくいとして、それらを踏まえ、大きな決め事や移動にも気をつけなさいということを言っているのかも知れません。暦に表して、気を付けて安寧に暮らしなさいということを、人々に伝えていこうと考えられたのかも知れませんね。
教訓として踏まえ、より丁寧に暮らしていくと、より身の周りの素晴らしさに気が付くように感じます。
次なる季節に備えて、心身や身の周りを整え、行為を以て新たな時をお迎えできるお祝いとしたいものだなと思います。
20201021
『透明な栄養』をテーマに有形無形の造形活動をしています。ホリスティック~全体観~という捉え方を活動の基盤にしています。この捉え方は、いのちの息苦しさが紐解かれたり、改善される可能性をかんじます。noteでは日々の思考研究も兼ねて、この考えをもとに書いたものをシェアしています。