イマここに生きる!オーガニックオーダーの旅、暦のお話 〈冬至 初候『及東生(なつかれくさしょうず)』〉
2020年12月21日~25日
七十二候 第64候 冬至 初候『及東生(なつかれくさしょうず)』
※2020年12月30日改訂しました。
「乃東」(なつかれくさ)とはなんのことでしょうか。
馴染みがない言葉ですが、これは「靫草」(うつぼぐさ)のことだという説と、ジュウニヒトエという説の二説あるようです。
説明を読んでいくと、どうも後者のほうかなという氣がします。
ウツボグサは夏至のころに枯れないそうで、冬至の頃に芽を出さないとのこと。
ウツボグサの花期は7~8月で、花が終わった晩夏に枯れるそうです。
乃東とは正しくはジュウニヒトエ(十二単 Ajuga nipponensis)のことという説が濃厚かな?と思いました。
ジュウニヒトエとは、4~5月のはじめごろ、伝統衣装の十二単のようにいく層にも重なった白い花を咲かせる野草です。
春の山野を飾るその名花が、冬至の頃にひっそりと芽を出すという、可憐な候ということでした。
一方、よく言われるウツボ草説については、下草は冬枯れ、眠ったかのように見える野の下、靫草だけが芽を出し始める時、ということだそうです。
シソ科の多年草である靫草は、日当たりのよい山野の草地に見られる植物です。
花の形が矢を入れる「靫」(うつぼ)に似ていることから、「うつぼぐさ」と名付けられました。
6〜8月頃に紫色の花をつけます。雰囲気は、同じシソ科だからか、ラヴェンダーに少しだけ似ている氣がします。
季節の節目を教えるもの
夏至の頃、第28候に「乃東枯」(なつかれくさかるる)というものがありました。これは夏に向けて植物がいきいきと生い茂っていくときに、靫草だけが枯れていく様子を表現しています。
初めてこの候を見たときは、これから育っていくほうを書けば良いのに、なぜ枯れる草に着眼したのかな?と不思議に思いました。七十二候の一年の動きをこうしてみてきた今では納得です。
七十二候は、季節の移ろい、節目を教えるものを詩句にまとめています。そういう観点からみると、生い茂っていく多種の植物より、数は多くはなくても特徴のはっきりしたものに目印の役割を担わせているのかも知れないですね。
冬至の習わし
冬至には様々な風習があって、柚子湯に入ったり、カボチャを食べたりというのは取り組みやすさからも今でも親しまれている風習なのではないかなと思います。
私も前々から地産の無農薬無化学肥料の柚子を揃え、これも地産の数種のカボチャを少しづつ用意し、『やるぞやるぞ』と思っていましたが、なんだか他にその時の体調に適切に思えるものがあって、後日愉しむことにしてしまいました。
最近のお風呂は専らビワの葉湯。
金柑の葉や、ヨモギなども入れてみようと思いますが、ビワの葉だけでもとても満足で、ヴァリエーションを試していません。
柚子もあまりに良い柚子なので、ビワの葉もあることだし、お風呂に入れるのはやめて、柚子カードにしたい氣が勝ちました。
サロンから少し離れたお山のほうで、乳製品の郷があり、そちらの製品は本当においしいなと思います。これで地産の柚子やレモンでフルーツカードを作れば、自分にとって最高のものができあがるに違いないとわくわくしてしまうのです。
冬至はどんな時?
日の出が最も遅く、日没が最も早く、故に昼が最も短い日。
よく言われるのはこういうことですね。
太陽が最も南から登る日と形容されることもあります。
古来より日本では『陰極まりて陽となる』日だとも伝えられてきました。
気候を言えばここから更に寒さが増していくのですが、日が長くなっていくのは希望となって人の心にも影響すると言われています。
「冬至の頃は消化力も上がるので、おおいに活動的になって良い」という考えももあるようですが、日本、特に近年の日本には当てはまるのかな?と少々疑問を持っています。また、ここで言う「活動的」が自分が思い描くそれと合致でぃているのかどうかも問うた方が良さそうです。
わたしの体感やご相談者様の体調、お話を総じて考えてみても、真夏真冬と言われる時期は体力を温存し、醸成しつつ、慎重に行動するほうが時に望ましいのではないかなと思うのです。(運動しなくて良いとは言っていませんよ)
例えば、ここ数日、強い寒気により寒さが強まっていますが、東京近郊では晴れが続いています。
日中もでかけやすい日差しで、景色も見やすく、色々と行動しなければという氣になりがちですが、心身は強い冷えと乾燥で、意外と疲労しているかもしれません。
特に近年、乾燥が強くなっている傾向があり、用心するに越したことはありません。
これは出歩くなということではなく、服装や体調に合わせた柔軟なスケジュールが必要という意味です。
どんなケアが考えられる?
強い乾燥時には、水分の補給だけではなく、質の良い、そのときにあった油分のケアが鍵となってきます。油分も水分も、何からどのように摂取するのかで体感は全然違ってくるものです。
どちらも内外両方からケアすることが望ましいので、その時の自分に合ったオイルでトリートメントしたあと、ゆっくり薬草のお風呂に入って温まり、よく休む(難しいときは逆でも。しないよりは良いのです)。
食事でも、水分と油分のバランスが合ったメニューに調理して、じっくりと頂くことも大切です。飲み物も、より良い状態に導いてくれるものは色々あります。
そして感謝は最高のスパイスであり、優良な消化剤になります。
もしこんなふうにできないなというときは、何が不足しているのか、何が過剰になっているのか、自分に問うてみることをおすすめしています。
自分でやりにくいなというときは、専門の方に依頼するのも有益な手です。ひとりでは『こうしかない!』と思えることも、対話していくと可能性の糸口をつかみやすいものです。
少し前にも触れましたが、わたしは、陰陽は裏と表を観じる『装置』のような概念だと捉えています。陰だから悪いとか、陽だからハッピーのりのりなのかと言えばそうではありません。(←そもそもこれは、古来よりそういわれています)
陰陽二極とはいえ、それだけではなく、もっと奥深く、滋味深いものだと感じ、観じていくと、世界は豊かに開いていくようです。そんなふうにしていると、計らずとも物事の様々な恩恵がおのずとやってきてくれるようで、嬉しさの花が開きます。
ですから、冬至の『陰極まりて陽となる』という言葉も、早合点してはきっともったいないことなのではと思います。
この時期、『眠い』『からだが重く動かない』と自責したり、悩む方がいらっしゃいます。
消化器系の不調を感じる方も増えてきます。
晴れが続いて雨の予報が遠ければ『お出かけ日和』と言われたり、早くたくさん活動することを暗に求められたりしがちですが、実際は本人にとって、何が陰で何が陽かなど、簡単にはわからないものなのです。
なんとなくの流れや風習のようなものに惑わされず、かといってぶつからず、いなすように機運にライドして、季節の恵みを受け取りつつご自愛なさってくださいね。
食事に取り入れて季節の養生食
柚子湯で親しまれる柚子の実ですが、中身も皮も心身を養生してくれるものがいくつも含まれているようです。
昔から、『捨てるところがない』と言われますね。
和食でも、和え物や、お吸い物の香気に使われたり、鍋物の付けダレにアクセントで登場したり、柚子胡椒として大活躍したり、冬の食事を華やかにしてくれる立役者です。
わたしは白菜の浅漬けに入れるのがとっても好きで、家族にも大好評、簡単ですし、おすすめの一品です。
ご近所の方が作ってくださった美味しい白菜と柚子で付けた浅漬けは、ごはんのおかわりが止まらない一品です。
良い柚子と白菜が市場に並び始めると、このスーパーコンビに今度は何になってもらおうかと心が躍ります。
計測できる栄養素も大切ですが、こういう胸躍るような感覚を味わわせてもらえることが一番の養生で、養生食となるんじゃないかな?とふと思いました。
ときめくご飯、最高の元氣のもと♪かもしれませんね。
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『透明な栄養』をテーマに有形無形の造形活動をしています。ホリスティック~全体観~という捉え方を活動の基盤にしています。この捉え方は、いのちの息苦しさが紐解かれたり、改善される可能性をかんじます。noteでは日々の思考研究も兼ねて、この考えをもとに書いたものをシェアしています。