近況。
五月の初めに、と或る理由で入院することになった。原因はお粗末すぎて記したくないが、要するに転倒して膝の皿を割ったのだ。膝の皿は膝蓋骨と謂う。そんなことは如何でもいい。
ごたごたしたことがあったものの、無事に手術をし、退院することが出来た。
帰宅したが、ひと月半も会わずにいた猫は完全に心を閉ざし、最初は歓迎してくれていたのに些細なことが切っ掛けで攻撃をしてき、わたしは顔を庇うのがやっとの有様であった。
引っ掻かれ、噛みつかれた左腕は、いまだに腫れ上がっている。
元々不安定な性格の猫なので、入院中も心配し、不安であった。それが思った以上に的中したのだ。彼女は今、精神病患者の様相を呈している。
現在、寝室に行けないわたしは台所にバスタオルを敷いて眠っている。無料ならばずっと入院していたかったとすら思う。
入院生活が退屈なのは判り切っていたので、『とびだせどうぶつの森』を装填したニンテンドー3DSを荷物に詰めていった。とは謂え、四年半もやっているのでそれほど熱中している訳ではない。日課を熟すだけの、むしろやらねばならない仕事に近い。
これは『どうぶつの森』が現実世界の時間と同期している為であると思われる。好きな時に好きなように操作出来れば、もっと違う楽しみ方が出来ると思う。取り敢えずわたしは、このゲームを既に「やらなければならないこと」として捉えているのだ。
しかし、この入院時期に奇跡が起こった。
わたしはふたりのえびると謂う人物を操作しているのだが、二代目の美術品があとひとつ、というところで揃わない。胡散臭い行商のつねきちが持ってくるのは的外れなものばかりだ。
ところが或る日、初代えびるが住民のシベリアに絵画を買ってくれと持ち掛けられた。いつもならそんな戯言に乗るわたしではないが、恰度それはえびる二世の博物館になかった代物だったのである。
此処はひとつ大博打に乗ってみようではないかと、思い切って買い上げてみた。その上、値段を吹っ掛けていたにも関わらず「おまえのその心意気に、こいつはタダにしてやるぜ」と難有いお言葉。ますます怪しい。
しかし、これが大当たりだったのだ。
なので初代も二代目も、これでオールコンプリート(花の交配以外)した。完璧主義ではないので、これ以上このゲームをやる意味はない。
が、やりつづけているわたしは、只の阿呆なのだろう。
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