夜の街灯と懐古厨
辺り一体の街灯がLEDになった。
気づいたら一気に変わっていたのである。
それ自体は良い。
明るくて照らす範囲が広がった。
だから防犯にも良いし、夜道の不安も減るだろう。
出力消費量が少ない分、電気代、つまり自治体のコストも下がるだろう。
しかし、おかげで星がほとんど見えなくなった。
いや、正直なところ、星が見えない理由のどれぐらいの割合が街灯のせいなのかは分からない。
でもどうも街灯がまだネオン灯だったときとは空の見え方が違う気がするのだ。
うまく街灯の間から空を見上げても、かなり明るい星以外は見つけられない。
例えばオリオン座もメインの形がギリギリ見える程度だ。
北斗七星は私が暮らす辺りの環境では見えなかった。
子供に星座でも教えようかと外を見ても、星が見えない。
街灯が明るくなって防犯に良いのはいいが、情操教育とか宇宙や星に関する興味へのいざないとか、なんだか昔の良かったものをなくしたような寂しい気もした。
そもそもLEDの白い煌々とした光は、なんとも味気ない。
ネオンのオレンジ色はエモい(無理すんな)雰囲気があってとても良かったのだが…
文明や科学が進むと、何かを同時に失ってしまうこともある、というそんなおセンチな気持ちになった。
しかしこれはこれで、現代っ子には「懐古厨」って言われるんだろうか。