恋と退屈。

2006/09/30(土) 05:13:56


銀杏BOYZの峯田くんは
これまた自分たちで悪戦苦闘しながら自分の本を作った。
それが昨日やっと発売になった。
発売できないかもしれないくらいの危機にさらされながらも
極限まで妥協しないためにも闘って闘って
やっと出来上がったという本。
まったくはずかしくなった。
本を作るのが本業でない彼がそんな思いまでして作り上げた本。
私たちこそが、誰もがそういう思いで仕事をしてなくちゃいけない。
ちょっと反省した。
反省してほしい人もたくさんいる。

でもね、ひとつだけうれしかったことがある。
それはね、何年か前のこと。
はじめて自分だけで本をまるごと1冊作ったことがある。
大切な友達の初めての画集だった。
友達は大胆にも好きなようにやっていい」と
何枚かの入れたい絵を教えてくれただけで
絵や写真のセレクトから全部わたしにゆだねてくれたんだ。
だからその本人と私と編集の人と喧嘩しながらも案外と楽しんで、だけど
本気で一生懸命に作った。
編集のK氏もわたしたちふたりにいじめられながらも
でも、予算のこととかみんながギャラを減らしたりとか
いろいろ調整して、いい紙を使えるようにしてくれたりしてくれた。
表紙カバーも思い通りにしてくれた。
でもね、ほんとのほんとはね
帯をトレペかカラーフィルムにしたかったんだ。
だけど「もう勘弁してください」ってことになった。
それこそ自費出版じゃないんだから、ってことだ。
売れるかどうかもわからない小さな本。
販売価格もね、ほんとはもっと安くしたかったんだもんね。
だけど、かなり望みは叶えてもらったと思う。
楽しかったな~。
やってたときはただただやってたけどさ
あとになって思い返すと
ほんとあの本を作れてよかったなって思う。

そう、そして話は脱線しそうになったけどね
なんと、その峯田くんの本「恋と退屈」の装丁がほんとによかったのだ。
それはほんとびっくりなんだけど
わたしがやりたかったまさにそれだったのだ。
教科書にかぶせるような透明のビニールカバー。
それに帯がトレペなんだよ。
わたしだってこうやって表紙の女の子の顔を透かせたかった。
いつも鞄の中に入れてられますように
どこへでも持ち歩けるように。
大きさもちょうどいい。
なんていうか、わたしはこのビニールカバ-が好きなんだと思う。
もしもしもしだよ、
峯田くんの本を私が作ることになっていたとしたら
私はまちがいなくまたもやビニールカバーにしたと思うよ。
なんちって。
調子いい話、って思われたら悲しいけど。
それがほんとにうれしかったのだ。

あーあ。
また本を作りたいな。
できれば気心がしれた、というか
それは馴れ合うということではなく
まったく同じ気持ちで作ることに立ち向かえるような
そういうメンバーで本を作ってみたい。
一生にそうそうできることじゃないのだろうけど。
だからこそ、本を作りたいなあと思った。

納期優先とかいって
デザインデータを勝手にいじったり
色校の色が変なのを時間のないせいにしたり
そんな印刷屋とはできれば仕事をしたくない。
なおしたいかもしれませんが、納期が遅れるんだったら
それは出来ません、なんて言い放つクライアントとも
ほんとうは仕事をしたくありません。
なんていうかさ
誰かひとり、意識が違うだけで
その流れは澱んでしまうんだ。

退屈なときにやっていたこと。
そういうことこそが、
いざって時に役に立つのだ。
いまはひとりで仕事をしてると
退屈がときどき怖くなってしまう。
だけど、それをおそれちゃいかん。
悩むなら悩めばいい。
その時間は、いつかどこかに
導いてくれるのだろうよ。

アーメン!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?