イマドキのソシャゲは共感共有のUIが必要だと思っている話
今話題になっているヒプノシスマイクのソシャゲ(ソーシャルゲーム)がリリースされたのですが、ファンの間でちょっとした騒ぎになっているようです。どうしてこんな騒ぎが起きてしまうのか、解決策はあるのか書いていきます。
ヒプノシスマイクって?
☑ 3人で1チームでラップバトルを行う
☑ 本筋の勝敗はCDに添付された投票紙で投票を行って決定する
☑ ヒップホップ界で有名なアーティストが楽曲を手掛けるなど話題性
声優が曲を売り出すコンテンツは特段珍しくもありませんが、ラップ・ヒップホップという分野が目新しく、本格的にアーティストに依頼して楽曲制作をしている点が良質なコンテンツとして評価されています。
YouTubeに重きを置いた戦略で若年層から火が着き、メディアミックス展開も行い、破竹の勢いで成長し続けている超ホットなコンテンツです。
何が起こったのか
☑ ヒプマイのゲームがリリースされた
☑ 公式サイトの注意書きでゲームのスクショが投稿禁止と解釈された
☑ ゲームのスクショ投稿禁止を一部のユーザーが呼びかけた
ねとらぼさんが早速記事にされていたので、引用させていただきます。
このように非常に初心者の入り口としてよくできていると思われるこのゲームですが、残念な話題もあります。公式サイトの注意書きにある一文(※)から「SNSへの画像投稿が禁止なのではないか」という話題になっています。SNSでの画像転載について、公式で「ここまではOKだけどここからはNG」と線引きをするのは大変難しいのはよく分かりますが、「こんなゲームだからやって!」という話をするときにスクリーンショットなしでみんなで盛り上がるには限界があると思います。皆が不安がらずにコンテンツを楽しめる雰囲気を運営に醸成していただければと、コンテンツの入り口に立った人間としては思います。
話題となっている注意書きはこちら。
SNSや動画サイトへ投稿をしてもいいですか
非営利かつ私的利用の範囲を除き、当ゲームの動画・楽曲・画像(スクリーンショット)等の転載はお控えください。
ゲーム内の画像や動画を使用しない投稿につきましては、問題ございませんので是非ご投稿ください。
規約自体は妥当かと思いますが、ユーザーへのQ&Aとしてはかなり守りに入っている状態です。この非営利かつ私的利用の範囲が分からず、総じてSNSへの投稿は危険と見なされたのではないでしょうか。
騒動の背景
☑ 著作権法の難しさ
☑ 法改正に伴って、状況が複雑化している
☑ 失敗を恐れる世代と前歴がつく恐怖
著作権法の目的自体はシンプルですが、いざ実際に自分たちの生活に適用するとかなり曖昧で分かりづらい部分が多いです。また日本では基本的には親告罪ベースであることから、作者や会社によって線引きが違うケースがあります。一体その作品や商品・コンテンツはどういうスタンスなのか、ユーザー側で忖度することが求められている状態です。
また、法改正によって違法行為にはスクショも含まれました。
改正案は、権利者の許可無くネットに上げられたコンテンツのダウンロードの規制対象を、現行の音楽と映像だけでなく、漫画や写真、論文、コンピュータープログラムなどすべてに拡大する内容。著作権侵害物だと知りながらダウンロードしたり、スクリーンショット(スクショ)したりする行為が対象で、反復・継続して違反した場合は悪質なケースとして、刑事罰も設けた。著作権者の告訴が条件で、有罪になると2年以下の懲役か200万円以下の罰金、またはその両方が科される。
対象は海賊版サイトとなっていますが、真面目な人にとって安易にスクショを拡散すると犯罪者になるかもしれない恐怖というのは結構なものです。
ヒプマイの規約、その後
なんと、4月に入ってからお問い合わせの文言が変更され、SNSへのスクショアップロードがOKと明示されました。
SNSや動画サイトへ投稿をしてもいいですか
非営利かつ私的利用の範囲を除き、当ゲームの動画・楽曲・画像(スクリーンショット)等の転載はお控えください。
ただし、私的利用においてSNSへの投稿は、問題ございません。
画像の加工や、ネタばれ、本ゲームのイメージを損なうご利用はおやめください。
第三者の権利を侵害しないようご注意ください。
これで騒動は一旦幕引きとなるわけですが、一度ついてしまったイメージを払拭できるのは、いつになるのでしょうか。スクショキャンペーンなど展開してもいいのではないかと思います。
ソシャゲはSNSで共有するまでがUX
☑ ソーシャルとつくものは、共有行為も価値のひとつ
☑ SNSで流行っていないものに手を出す人は少ない
ユーザーは共有のしやすさにも価値を置いてます。スクショ+感想というのは、最も手軽で簡単な共有方法のひとつなので、委縮してSNSで話題に出すことも出来ないのというのは致命的です。
若年層をターゲットにしたコンテンツが、SNSで流行っていないということは面白くないと認識されます。一旦インストールしたものの、一度も起動されずにアンインストールされることも多いです。流行っていないと見なされたソシャゲは新規ユーザーも獲得できず、あっという間に忘れ去られます。
グレーゾーンを無加工のグレーにしておいた方が運用側としては楽な事この上ないでしょうが、ソシャゲというコンテンツで、この背景を鑑みずに何の策も取らないのは愚行としか思えません。
スクショ機能をUIで提供するメリット
☑ スクショを撮って良いですよ、という公式の意思表示が出来る
☑ スクショボタンを用意することで、スクショからSNS投稿へのシームレスな導線が出来る
☑ SNSで拡散しやすいUIにすることで、ユーザー自身が広告してくれる
どれだけ頑張っても、公式とユーザーの間には越えられない壁や溝がある認識が必要です。そのコミュニケーションをUIだって担っていることを忘れないでほしい。ボタンひとつで公式の意図を伝えられるなら、コミュニケーションコストとしてとても安いはず。
広告を打っても目的の層に刺すのは難しいんですよね。どうしてもマス過ぎて。自分のいる層にどんな表現が届くのか、ユーザー自身が一番わかっているはず。だから、ユーザー自身が広告してくれれば、エンゲージメント率も高くなる。
そのためにはスクショをとってからSNSに上げるためのシームレスな導線が必要。
スクショボタンを用意しない
1.スクショをとる
2.SNSを開く
3.画像を選ぶ
4.投稿する
スクショボタンを用意した
1.スクショをとる
2.投稿する
この差はすごく大きいです。手間が半分になることで、脊髄反射ぐらいの勢いで拡散することが出来ます。SNSで拡散することが公式の意図だって伝わりやすいし、ユーザーは堂々とSNSでスクショを上げることが出来ます。
まとめ
☑ スクショボタンは気持ちよく拡散・共有するためのUI
☑ ソシャゲは拡散・共有も含めてUX
☑ どれだけ広告を流しても、ユーザーの楽しんでる共有ツイには勝てない
☑ コンテンツとして、どれだけ楽しいコミュニティを築けるかが鍵
広告はどれだけ頑張っても、友達がこれ面白いよっていう力には勝てない。だからユーザーにコンテンツを楽しんでもらった時、罪悪感なくSNSで共有できるということは、とても大事なことです。
ファンがファンを呼ぶ構図って、健全なコミュニティには絶対欠かせないと思うし、コンテンツが長く続いていくうえで大事なことです。
厳密にはソシャゲではないけれど、スクショボタンによって共有・交流・拡散のUXを取り入れているアプリの例はこちらです。
共感や共有というものが重要視される女性向けコンテンツとして、とてもいいUIだと思います。
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