暮らしの中にある宇宙ー季節編ーのあとがき
さてもの文庫本制作も二度目になりました。前回の執筆陣と、新たにぺこたぺちか氏を迎えた上でこうして再び本を制作することができて嬉しかったです。一冊目のときにはヒイヒイと言いながら編集作業をしていたので、今回は余裕を持って頑張ろうと思っていたのですが、結論から言えば、前作よりもはるかに大変な編集作業になりました。原因はいくつかあるのですが、一つは僕の見積りがとてつもなく甘いことです。このぐらいの時間があればこのぐらいの作業ができる、という見積もりがあまりにも適当で、その結果、文庫本作りだけではなく様々なスケジュールに影響が出てました。夏休みの宿題を最後の日に慌ててやるどころか、そもそも手をつけずにしらばっくれて提出してこなかった人間はこのような成長します。みんな夏休みの宿題はちゃんとやろうね。年明けから今日に至るまで、本当にすみませんでした。各位へ。
収録されている文章についてですが、前回よりも皆さん小慣れたのか、意欲的な作品が多かったと思います。前作ではエッセイ、及び自分の身の回りのこと(そしてその延長)が多かったと思いますが、今作では、現実という舞台から少し離れた、あるいは文章の形態を広く解釈するような作品が見受けられました。一方で、身近な世界を書くような文章(ルポ記事のようなものまで!)もあり、すごくバリエーションが豊かになったと思います。そのあたりも踏まえながら読み比べてみると面白いかもしれませんね。
自分の話になりますが、僕も少し挑戦をしようと思いまして、多少仕掛けを含んだ文章を2本書きました。その結果、作品として面白くなったかどうかの判断は、読者の皆様にお任せしようと思いますが、自省してみればもう少し上手く文章を書けたと思っています。若干、主題が行方不明になってしまい、また前述の仕掛けについても決してドラスティックなものではなかったため、結果としてある種の退屈さが蔓延る文章になってしまいました。ただ「退屈さ」というものは僕の書く文章の主題の一つであるため、結果論的にまとまりができたような気がします。ただやっぱり、もう少し上手く書くことができたのではないかという後悔もあるので、次回に活かしていきたいです。
そういった思いが残ったからというのもありますが、近頃は文章の練習として怪談をちょこちょこと書いています。ホラーというジャンルは読者を明確に想定した上で、肝心の「怖さ」の部分を伝えなければならなく、書き始めてすぐに漫然で冗長な僕の文章とは相性が悪いと気付きました。だからこそ練習になるのではと信じながら言葉を綴っているのですが、果たして上手く書けてるのか分からず、片っ端から友人に送りつけて感想を貰っています。(怪談を送りつけられる方はいい迷惑であろう)
さておき、今作は前作よりも多くの方に手に取っていただけました。正直に言うと、イラスト本でもなくCDでもなく、全くの畑違いの分野で、コミティアなどでも購入して頂けるとは思っていなかったので、在庫がなくなるほど多くの方の元に届いたとすれば感無量です。とはいえ、まだまだやってみたいことは多いので、この文庫本制作は続けていこうと思っています。とりあえず直近では秋頃のイベントで頒布できるように準備を進めていきたいです。そこで、という訳でもないんですが、もしこの文章を読んでいる方で執筆側に興味のある方がおられましたら、あひるひつじの方までお声かけ頂けると嬉しいです。