自分の頭で考える
先日アメリカの大学(College)で予定していた全ての単位を履修し終え、編入学の出願をしていた大学(University of California, 以下UC)のいくつかから合格通知を頂いたのですが卒業を目指さず、この度帰国することになりました。
※中には満額の給付型奨学金を提示してくれた大学もありました
帰国を決めた理由は後ほど簡単に説明します。
ということで、先日僕のTwitterアカウントで言ったように留学生活の2年間を振り返りたいと思います。おまけで苦手な英語をどのように克服したかについても簡単に書きたいと思います。(需要がありそうなら僕が行った勉強法を後日詳しくまとめます)
留学を決意した理由
ここでは決意という言葉を使っていますが、留学そのものは決意するほど大きなことではありませんでした。
『行ってきまーす』
僕にとって留学は、例えば買い物に行くために家を出る時と同じテンションでこのセリフが言えるくらいのことでした。
留学を決めた理由をあえて挙げるとすれば、好奇心を満たすため。
ひょんなことからアメリカの教育に興味を持ち、アメリカの大学で教育を受けてみたいと思ったので留学をしてみることにしました。
細かい目標は留学後に決めました。
準備期間
留学を決めたことを親に話すと母親がまず初めに放った言葉は『そのお金どっから出るの?』でした。
まあそうだよな。というのが当時の僕の感想です。
要するにお金がないと言われたのですが、それが留学を諦める理由にはならないと思ったので、すぐにバイトを探しました。
5つのバイトを同時に掛け持ち、睡眠時間は1日あたり計3時間という生活を約2年間続けました。初めの1ヶ月は体力的にかなりきつかったですが、慣れてしまえば大したことはなかったです。
※英語の勉強や留学に関する諸手続きはバイト時の休憩時間やお風呂の中などを使いました。
職種は以下の通りです。
明確な理由があってこれらの職種を選んだのですがここでは割愛します。
アルバイト生活中に意識していたことが2つあります
・楽しむ方法を見つける
・自由時間を必ず作る
例えばコンビニのバイトでは、どうしたら不機嫌そうに話かけてくるお客さんと仲良くなれるのか、何度も来るお客さんが買うコーヒーの種類や値段、来店の時間帯などを覚えたり、レジ打ちから袋詰めまでの速さを追求したりと、とにかく仕事を楽しみました。
深夜1時から始まる新聞配達では、アクセルを踏み始めるタイミングやブレーキを使うタイミングを微妙に変えながら配達を終えるまでの時間を毎日計測しました。工夫して年間たった10日しか休みがない新聞配達を楽しみました。
他のバイトも同様に楽しむ方法をいつも考えていました。どうやら僕はやるならその状況を楽しまなければ人生損だと考えてしまう性格なようです。
多い時は週に120時間以上働いたのですが、それでも自由時間は必ず作りました。ここで言う自由時間とは何も考えない時間です。必ず1人きりになってぼーっとする時間を作りました。今思うと睡眠を取ることよりも大事だったと思います。
何も考えない時間を作ったおかげなのか、スケジュールは割とパンパンでしたが精神的に余裕があれば時間に追われている感覚はありませんでした。
心の余裕があれば予期せぬトラブルが起きても冷静に対処することができると思っています。
バイトである程度の資金を貯めることができたので2016年の夏、アメリカに渡りました。
留学中に僕が貫いたこと
節約
先にも述べましたが、僕にはお金がなかったので徹底的に節約しました。
基本的には自炊生活で、お昼はお弁当を作って大学に持って行きました。3食同じメニューです。これを何ヶ月も続けました。見栄えが悪いので写真は貼りませんが丼に米を盛り、肉とキャベツを乗せたものです。
Uberという大変便利なものがありますが滅多に使うことはなく移動手段も基本的には徒歩にしました。
大学生なので飲み会等もあるわけですが、お店に行くとビール1杯800円前後するので行きたいとは思えず、外食の誘いもほとんど断りました。
大学生にありがちな恋愛の話や愚痴大会は僕にとって優先順位が限りなく低いと思ったのも誘いを断った大きな理由の1つです。
ただし、今回を逃すと2度とこのような人には会えないかもしれないと直感的に感じた人とは“自分のために食事付き講演会を開いてくれてる”と思って積極的に食事に出かけました。1500円で講演会が聞けて人脈も広がるなら安いものです。
要は自分への投資だと判断したものには惜しまずお金を使いました。
留学によってお金の使い所を深く考えることができたのは大きな収穫でした。
人の目を気にしない
留学前にある人から『目の前にある選択肢の内どれがお前にとって最も必要なものなのか考えろ。そして他人の目を気にして何かを決断するな。』と言われました。
もともと人の目を気にしない性格でしたがこの言葉が胸に響いたのを覚えています。
言い換えれば不要なプライドを捨てるということです
これをやったら周りの人にどう思われるかな?
こう考えるよりも、この選択は自分がこれから歩むレールを作るために必要な部品となるのかと考えました。
時間をうまく使う
英語が苦手な僕にとってはアメリカの大学で要求される課題と予習復習が膨大な量であり、時間の使い方を工夫しなければ全てを満足できるクオリティでこなすことは困難でした。噂通りアメリカの大学生はめちゃくちゃ勉強します。
勉強に割く時間がもっと欲しいと思ったので、机に座る時間を極端に短くしてみました。座って課題について考える時間がもったいなく感じたからです。例えば、エッセイなどの書く系の課題は頭の中である程度完成させます。そして机に座っている時は頭の中にある下書きを形にするだけという感じです。
日本と違ってアメリカでは知識は前提で、その知識に基づいて自分の意見を述べる課題がほとんどだったので、課題の問題さえ頭に入れば机に座る必要はありませんでした。問題へのアプローチの仕方を考えるだけでもいいです。座らなければ絶対にできない作業以外はわざわざ座る必要がないと考え、座る時間を徹底的に短縮しました。
考える時間は主に食事中、通学中、シャワーの時間で十分にとることができます。
『〇〇したい』と言わない
留学前から僕は『〇〇したい』と言う言葉を使わないようにしていました。僕の場合はですが『〜したい』と言っても大抵の場合はしません。だから『〇〇する』と言い切りました。そしてそれを自分の周りの人間に宣言しました。達成した後は頼まれてもないのに結果を報告しました。
目標は自分の周りに言うべきです。そして結果を隠さず公表します。公言することによって気が引き締まり、自分で自分にプレッシャーを与えることができるからです。
失敗から学ぶ
経験上、物事は成功よりも失敗からの方が多くを学べると確信しています。
一概には言えませんが、成功例に共通点を見出すことは難しいですが失敗例からは比較的容易に共通点を見出すことができます。
なので、人の失敗談には真剣に耳を傾けました。そしてそれらの中に潜む共通点を探して自分はそれらを避けるようにしました。
僕たち人間は学ぶ力を持っています。何度も同じ失敗をしないようにすることはそんなに難しいことではないと思っています。
今すぐやる
何においてもこれが最も大事なことであると思います。何かのきっかけに出会ったら僕は必ずその場で手をつけます。『明日からやるぞ!』と言う人が多いようですが、きっとやらない人がほとんどなのではないでしょうか。思い立ったら即行動するのがいいです。
決断のスピードは何においても求められることだと思うのですが何より初動は大事だと感じています。
ちなみに僕は新しく始めたことも周りの人間に言いました。
そうすることで自分がそれに手をつけたことを再認識できるからです。
たまに「少しそれについて勉強してから始める」と言う人がいますが、そんなこと言わず先に始めてしまえばいいと思います。やったら嫌でも勉強しなければならない状況になると思うので。
僕は、目の前の世界がよく見えないからこそ挑戦するのだと思っています。
分からないから楽しくて、分からないから挑戦したくなるのが人間なのではないでしょうか。
“今すぐやる”を実践すると何かを経験する頻度が多くなります。経験しなければ分からないことはやはり多いと思いますし、実際に何かをやってみるとそれまで知らなかった何かに気が付ける機会を与えてくれます。
後悔していること
留学生活はあっという間に終わってしまうわけですが、中身がぎっしり詰まった2年間になりました。
留学を終えて、後悔していることについて考えてみましたが後悔は何もありません。
反省点はいくつかありますが、後悔は全くありません。
自分の頭で考えて、自分の意思で何かを決めて行動した2年間は最高に楽しかったです。
なぜ帰国するのか
当初の目的はUCを卒業することだったのですが、それをすることなく今月末に帰国します。
その理由は大きく二つ。
・お金がない
・先が見えてしまっている
情けないですが僕にお金がないことは言うまでもありません。
先が見えてしまうというのは、主に大学生活のことです。この先も授業を聞いて課題をこなし、テストを受ける。先が見えてしまっている生活をしても刺激はないと判断しました。これが満額の奨学金を辞退した理由です。
このまま日本に帰ると最終学歴が高卒になるのでそれを反対する人もいましたが、僕にとって学歴はほぼ無意味なものです。
さらに学歴を失うことよりもこれから歩むレールが既に見えてしまっていることの方が嫌だと感じました。
ということで帰国後は新しいことに挑戦しようと思います。
かなり簡単に振り返りましたが、僕が留学中に考えていたことは上で述べたようなことです。
長くなりましたがここまで読んでくださった方、ほんとうにありがとうございました。
以下は英語での大学生活がどのようなもので、弱点であった英語をどのように克服したかについて簡単に書いています。
興味のある方は是非読んでみて下さい。
苦手な英語での授業をどう克服したのか
アメリカで学ぶためには英語は必要不可欠だけど、語学学校に行くお金はないしこのまま行ってしまえ!と、勢いでアメリカにやってきた僕は案の定凄まじい劣等感を味わうことになりました。
留学生活が始まった頃の僕が流暢に話せた英語は
“Hi, my name is Hikaru. I'm from Japan. Nice to meet you.”
この程度でした。冗談でもないし盛ってもいません。
読むことに関してはには多少の自信があったのですが…。
※恥ずかしい話ですが留学前に受けたTOEFL iBTのSpeakingテストでは会話が不得意すぎてほぼ無言で終えました。
こんな状態だったので英語での授業は文字通り地獄です。教授が言っていることはもちろん、周りの学生が言っていることも分からず、あまりにも聞き取れなさすぎて “これは本当に英語なのか?” と思う日さえありました。
最初の学期に履修した物理の授業では毎週40問の記述式問題演習(各50〜100 語)、80ページほどのリーディング(アリみたいな大きさの文字で書かれた教科書)が課題だったのですが教授の指示を正確に聞き取れなかった僕は指定外のものを全て含む200問を毎週解きました。
心が折れそうになることは何度もあったのですが、当時の僕は “分からない” という状況が1番怖かったので予習の約80ページは完璧に理解できるまで徹底的に読み込み、教科書中の内容であれば何を聞かれてもすぐに答えれるように努力しました。
経済的理由により授業を再履修する(定期テストやエッセイなどで思ったような点数が取れなかった場合、編入を目指している生徒はその授業を次回以降の学期で再履修することがよくある)という選択肢がなかった僕にとって、1発で確実にAを取ることは絶対条件だったので『英語が難しい』なんて言い訳を言っている暇がなかったというのが勉強を根気強く続けることができた理由です。
さて、それではここからは僕が実践した英語の勉強法について簡単に触れたいと思います。
Reading(読むこと)
膨大な量の英語を読む際に僕が絶対にしなかったのはGoogle翻訳を使わないということです。非常に便利な機能ですが、英語の力を向上させたいのであれば使うべきではないです。英語を英語として理解できるようにならなければ上達は難しいように思えるからです。
断言しますが読む量を増やせば比較的短期間で読めるようになります。
僕が思うに、英単語を覚えることができないと言っている人の多くは英単語を単体で覚えようとする傾向があります。さらに読む量が少なすぎます。
有効な学習法は文章中で何度も同じ英単語に出会うことです
ざっくり言うと上記のようなイメージで学習を進めると英単語の意味がぽんぽん頭に入ります。ポイントは1〜3それぞれの間をできるだけ短くすることです。この間隔が開いてしまうと記憶がなかなか定着しません。
何度も記憶の引き出しを開けて使えば『この知識は取り出しやすいところに置いてとこう』と脳が判断してくれるので、脳にそう思わせる学習法を採用すればいいわけです。
Writing(書くこと)
読むことに慣れた僕が次にぶち当たった壁が“書くこと”です。
アメリカの大学ではとにかく英語を書くことを学生に要求します。Essay(小論文)やResearch Paper (研究論文)と呼ばれるものをほとんどのクラスで要求されるのですが、これらの出来が成績に直結すると言っても過言ではないので90点以上が何としても必要でした。
ということでとにかく出される課題に全力で取り組みました。
ここで意識したことがあるのですが、それは“これまでに1度も使ったことのない表現を必ず使うこと”です。単語でもいいし、文法でもいいので“今回がこの表現を使うの初めて”という経験を毎回の課題で必ずするようにしました。そして次回の課題でもう一度その表現を使います。
当たり前のことを言いますが、もうすでに書き方を知っている英語は明日以降も同じように書けます。
同じことを何度やってもそれ以上の英語力がつくことはありません。
課題の多くは課題文を読んでそれについての意見をまとめるというものだったのですが、課題文の中には初めて見る単語や言い回しがでてきます。それを自分のエッセイの中で使ってみるということを実践しました。
それと、多くの人がやりがちな日本語でアウトラインを作ったり下書きをするのはやめましょう。時間がもったいないです。
“これを書きたいんだけど英語でなんて書けばいいのか分からない!”
こう思ったらその時に調べるといいです。(次回書くエッセイでその表現を必ず使いましょう)
インプットも大事なのですがアウトプットほど大事なものはありません。経験上、ある能力を獲得する際には自分の手を動かすことが最も効率的な方法であると言えます。
添削をしてくれる人がいればなお良しです。
そうこうしているうちに気がついたらかなりの量を短時間かつそこそこのクオリティで書けるようになっていました。
1番嬉しかったのは1番レベルの高い英語の授業で僕の書いた英語が他の生徒に見本として紹介された時です。
以下はそのエッセイのイントロダクションです。
英語が苦手だった僕でもこの授業を101%の成績で終えることができました。
言い忘れましたが、Readingと同様に書く時にもGoogle翻訳は使いませんでした。
留学年数が長いのにいつまでたっても読めないし書けないと言っている人に共通しているのはGoogle翻訳を使用している点です。
ListningとSpeaking(聞くこと、話すこと)
これにはかなり悩まされました。何をやっても能力が伸びているという実感を得ることができなかったからです。
その理由は簡単で、それぞれを別々に伸ばそうとしたからでした。
自分が発音できる言葉は聞けると聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?きっとそれは正しいです。
僕がやった勉強法は、英語を聞いている時にそれをボソボソ真似することです。たいていの場合、真似できないのは知らない単語(つまり発音したことのない単語)でした。
この勉強法をやっているうちに教授の言ったことを頭の中でもう一度再生できるようになりました(分かりにくい説明ですみません)。
聞いた英語がしばらく頭に残るようになれば、かなりリスニングは上達している証拠だと思います。
かなり簡単に説明しましたがもし英語学習やアメリカ留学についてもっと聞きたいことなどがあれば答えられる範囲内で答えたいと思うのでTwitterのDM等から質問お願いします。
ご精読ありがとうございました。
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