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綺麗事抜きの公営競技指南 オートレース編その1

 さて、皆様はオートレースと聞いて何を思い浮かべるでしょうか?川口市に住んでいればまた違うのかもしれませんが、多くの人は森君の事しか思い浮かばないはずです。

 事実公営競技の中で最もマイナーなのは否めません。何しろ全国にレース場がたったの5場しかないのです。

 しかし、それでも存続してきたのも事実であります。熱心なファンが非常に多いのです。最も速く、最もエキサイティングなレースを展開するのが他ならぬオートレースなのです。

 今回はそんなミステリアスなオートレースの魅力と、基本的なフォーマットについて説明させていただきます。

 競馬以外の公営競技の中では最も競馬に近いのがオートレースです。むしろ競馬しかやらない人には一番わかりやすいとも思います。

オートレースのフォーマット

 基本的に8人で500mの走路をバイクで競走するレースです。距離については6周が一般的ですが、グレードが高くなるほど長くなり、最長で10周になります。

 面白いのはレースに使われる競走車です。スズキ謹製(選手には不評)の600ccのエンジンを使っていますが、この通り実に不思議な形をしています。

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 ハンドルの形に注目です。左右非対称の前衛的な形をしています。これは左回りのオーバルコースを回る為に、コーナーで水平になるように工夫されているのです。

 また、これは競輪の自転車もそうですがブレーキがありません。それでサラブレッドの2倍の150キロで走るのです。

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 しかも、こんなに密集して左足で火花を飛び散らせながら押し合いへし合いです。海外のレーサーが見たら「クレイジーだ」と一様に驚くそうです。そりゃあもうエキサイティングです。

ハンデはオートの華

 そして、オートレースを象徴するのが「ハンデ」です。競馬では斤量でハンデを付けますが、オートレースでは距離でハンデを付けます。

 これは川口オートレース場の空撮写真です。ご覧の通り、走路に10メートル刻みで白線が引いてあります。この線からそれぞれ選手はスタートを切るのです。


 ハンデは近走成績でも変わってきますが、その中でもトップグループを「最重ハン」と称し、再重ハンの選手より10メートルハンデの付く選手を「10前」、更に「20前」「30前」等と称します。

 一番ハンデの軽い選手を0メートルラインに並べ、10メートル刻みでそれぞれのハンデに応じて並んでスタートを切ります。つまり、強い選手ほど後ろからスタートするわけです。

 一般的なモータースポーツでは強い選手ほど前ですから、オートレースは全く逆を行っているのです。

 これがオートレースをエキサイティングなものにします。ハンデの重い選手はそれでも勝つからハンデが重いわけです。従って次々と前の選手を追い抜く展開になります。軽ハンの選手はどうにか逃げ切ろうとし、重ハンの選手はそれに迫る。この同時進行がオートレースの醍醐味なのです。


内枠外枠

 さて、オートレーサーは400人程居て、競走成績に応じて上位48位までがS級、280位までがA級、それ以下がB級とランクされます。

 原則としてS級はA級より、A級はB級より常に後ろ、あるいは外枠に置かれることになっています。この内枠外枠というのが大事で、同じハンデでも何台並んでいるかで話が変わってきます。

 例えば全車0メートルラインに並ぶ"0オープン"だと枠の有利不利はあまりなく、むしろ選手の好みが問題になってきます。

 外枠は確かに不利ではありますが、外の選手にスタートを決められると内枠は包まれて行き場を失う危険があり、センター枠を好む選手というのが少なくありません。

 これが全車10メートルラインの"10オープン"となると大きく話が変わってきます。ハンデがどうあれ1コーナー最内にいの一番に突っ込むのが展開を作る上でも有利なわけですが、10メートルラインに並ぶと外枠は角度が付いてしまい、明らかに不利を被ってしまうのです。

 そして、この距離の不利はハンデが重くなればなるほど大きくなります。例えば同ハンに3車並ぶ場合、0ハンなら殆ど有利不利を無視していいレベルですが、30メートルあたりになると大外は露骨に不利です。

 これが30メートルに5車並んだりすると大外はかなり割り引いて考えないといけません。そういう事も慣れたら考えるようにしましょう。


オートはスタートが半分

 かくしてハンデに応じて並べられた各選手は、レース場に備え付けられた大時計に合わせてスタートを切ります。

 現代のオートレースではこのスタートが大きく勝敗を分ける要素になっています。ただし、オートレースで言うスタートとは単に発進するタイミングの事ではなく、第2コーナーを抜けてバックに出るまでの挙動を指します。

 このスタートで軽ハンは少しでも後続を離してセーフティーリードを取る事を狙い、重ハンは1車でも多く内側や前の車を捌いてしまう事を狙います。

 トップ選手がスタートを決めると最重ハン大外から4車も5車も捌いてしまいます。スタートとはそれだけ差の付く要衝なのです。

選手特長一覧表

 とにかく、どちらにしても選手の癖を知る事が第一です。スタートが速いか遅いか?インコースとアウトコースどちらが得意か?追い込みに強いのか?独走で力を見せるのか?選手がどういう勝ちパターンを持っているか知らなければなりません。

 そのために役立つ『選手特長一覧表』というのが公式サイトに掲載されています。スタート力、独走力、、追込力、雨での強さが5段階評価で採点され、インとアウトどちらのコースが得意かが掲載されています。

 本当はもっと細かい数字も欲しい所ですが、信ぴょう性はまあそれなりです。

 当然総合点が高いほど強い為ハンデも重くなります。しかし、重ハンと軽ハンではそれぞれの力の用途が違ってきます。その辺を説明しておきましょう。


追う奴の力

スタート力
 重ハン選手はとにかくスタートが決まらないと始まりません。ダークな話をすれば、オール5やそれに近い選手でも、スタートに失敗したら露骨に不貞腐れて追うのをやめてちんたら走る(ドライブなどと呼ぶ)不届きな選手も居るのです。

 つまり、本当に強い選手はスタート力があるのが大前提になってきます。スタートで3番手くらいに付けてしまえばもう半分勝ったも同然です。


独走力
 独走力は高いレベルのレースで重要になってきます。高いレベルのレース程他の相手も強く、また距離が長くなるので追い込みが決まりやすいのです。

 重ハン選手にとって追込力は攻撃力で、独走力は防御力と言い換えてもいいでしょう。

 逆に言えば、独走力を武器に勝つ選手はスタートが決まらないとお手上げです。ドライブの危険があります。本命に推した選手にドライブされる程腹の立つ話はありません。


追込力
 追込力が高いということはそれだけ前の車を捌いて行けるという事であり、また、長い距離のレースではこれが有利に働きます。

 しかし、追込というのは展開に大きく成否を左右されます。前が渋滞して車が密集していると追込力が発揮できません。

 スタート立ち遅れて渋滞に巻き込まれているうちに先頭に立った選手が逃げ切ってしまうという展開が起こりえます。

逃げる奴の力

スタート力
 軽ハンの選手は当然地力で劣るわけですが、何故劣るかによって話が変わってきます。やはり第一はスタート力の有無です。

 スタートが駄目なせいで弱いという場合と、スタート悪くないのにすぐ裁かれてしまう場合、あるいはどっちも駄目な筋金入りの駄目選手も居ます。

 いずれにしても、逃げる車が勝つには後ろがもつれる必要があります。


独走力
 逃げ切るにはこの独走力が重要になってきます。スタートを決めて大きくリードを取った場合には特にこの独走力がカギになります。

 というのも、オートレースは常に後ろから抜かれる危険を想定しないといけません。迂闊にインコースを開ければインに潜り込まれて万事休すです。

 これが大きなリードを取った場合は、多少隙を見せても全速で走ってリードを広げに行くという戦術が取れます。地力で劣っても、他の車がもたもたしている間に逃げた軽ハンが全速でリードを広げて、気が付いたらもう後ろは手遅れという事はままあります。


追込力
 逃げるのは常に1番車とは限りません。スタート決めた車が前の数車を捌いて逃げに入る展開も十分に考えられます。

 この時に追込力が物を言います。先頭に立つなら早く立つほど有利なので、数車を早く捌ける追込力があれば軽ハンでも十分な勝機が見込めます。

 結局のところ、すべての要素に強みを見せる選手が一番有利であるという単純な結論に帰結しますが、勝負はそう単純ではないのでギャンブルとして成立するのです。


得意コース

 得意コースには面白い特徴があります。軽ハン選手の得意コースは大抵インです。これはつまり、インを締めて後ろに抜かせないようにしないと勝てないからです。

 逆にインでもアウトでもという自在選手は殆どが高得点です。強くてもイン一本アウト一本という選手もいますが、こういう選手は展開に左右されがちでもあります。

 つまり、インを得意とする選手はアウトからの捲りに弱く、アウト走法の選手は後ろからインに潜り込まれるリスクを負います。

 また、イン走法はアウトを走る程のタイムは出ませんので、強いイン走法の選手の後ろは渋滞気味になり、追い込む選手には不利になります。

 逆にアウト走法の選手が前を行く場合、インに潜り込むにしてもどうやってそこまで行くかという問題にぶち当たります。

 この辺の詳しい話と、雨については次回以降に譲って、同時に車券の買い方についても説明させていただきます。

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阿愛@BL的映画レビュー
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