ネット広告について
データがあるときっと今よりすごいことができる、と色々なところで言われているし会社の上司などに「もっとデータを使え」と言われることも多いのだと思う。
一方で上記の問いに対し尺度をコストとリターンを踏まえてデータを使うほうが良いかどうかを判断できる人は少ない。
広告市場ではネットがTVを抜いたという。しかし、昔からネットをやっていた身としてはバナー広告ぐらいは許せてもGoogleのリスティング広告は画面スクロールを強いられるのでめんどくさいし、Yahooのブランド広告でも画面一面を使ったものが突然表示されると鬱陶しい。
一方でビジネスユーザーは多額な広告費をビジネスの結果につなげることが求められる。広告の評価は大抵が出稿先から提供されるインプレッション数(広告表示数)、クリック数(広告がクリックされた率)、CV数(バナーからのリンク先の「申し込む」ボタンを押すなど企業側で設定する)等だ。
この広告の評価が問題で自社でコストをかけておきながら、実際に相手に表示されたかなどを集計するのは出稿先の数字を信じるしかない。勿論GoogleAnalyticsで自社メディア側でも計測できるようにするためにパラメータ等の調整はしておくべきだが、インプレッションは自社では測りようがない。
従来のメディアでは、テレビも誰がみているかわからないという点については同様の問題を抱えていたはずだ。だからこそテレビ番組にタイアップしての提供であり、子供向け番組には必ずマクドナルドのハッピーセットのCMが出てくるように番組の人気や内容・話題性にターゲティングしてCMを打つという事が出来た。
ネット広告(バナー)は一般的にはGoogle等の広告主がネットユーザーの大まかな属性を把握しており、当初は性別や年代などの大まかな属性でターゲティングしている。更には広告の運用成績に応じて独自のデータの中のこの広告を見てくれそう/クリックしてくれそうな人に広告運用中に媒体側のロジックで最適化していく。基本的には条件だけ指定して運用を広告主に託すのだが、ターゲットリストをある程度拵えて入稿するというのもできる。
経験上、自社でターゲティングした上でリストを入稿するのと、完全にメディア側に任せるのとで大きく反応率が変わったことは少ないし、むしろリスト入稿は条件が決まっている分母集団が少なくなり、メディア側での運用最適化が進みにくかったり、入札に負けてしまいがちになりCPA等が悪化する事も多い。
上記のような話を伝えても、入稿用のターゲティングリストを作ってほしいという要望がビジネス部門からは絶えず、押し問答になることも多い。勿論社内にあるデータを活用したい!という意図はわかる。自社のデータの方が正確なのではないか、コストを下げられるんじゃないかと思うのもわかる。しかし、ある程度ターゲティング案を描けていればよいが、「どんなデータがあるかわからない」為、こちらは「ターゲティングに用いれるのはどんなデータか、過去の事例は」等を紹介したりすることから始めなければならない事もある。
これだけでも一苦労だが、それでもターゲティングデータを作成するとなったときは、必ずABテストを実施してもらうよう案内する。入稿リストの広告運用と媒体に任せての運用を両方行ってもらい、次回以降の参考にするようにしてもらうようにしている。
その上で次回の参考にしてもらうのだが、今度は商材や時期も違うので!と同じような話をまた頼まれたりする。。。ただでさえ自分が表示されたら面倒だと思っている広告の話なのでついつい話はそれてしまった。
最近は広告をクリックをされないとメディア側もお金を取りずらいためか、画面内の強制表示広告も増え、見る気をなくすアプリやサイトも増えてきたと思う。
テレビの広告は家族で会ったり同じ番組を見ている者同士の共通の話題になることができたので更なる波及効果があったと思われるがWeb上の広告だと「同じものを見た」もの同士の会話は発生しないし、SNSに「〇〇の広告がでた!素晴らしい」のような拡散を期待できるほどのメッセージを込めるのも難しい。
ある種サブリミナル的な効果はあるので、リターゲティング(一度商品サイトを訪れたり広告を踏んだりした人に広告を表示する)はバナー広告の用途としてマッチしていると思う。
精度の高いターゲティングを行うのが目的なのかより多くのお客様に届けたいのか、認知を高めたいのか刈り取りをしたいのか。その上でそれぞれにかけるコストを考える事をきちんと考えるようになってほしい。
WEBの広告とTVのCMを直接比較するものではないし、目的も違うものだが、WEBの広告で「心に残ったもの」って少ない。TVのCMは映像だけではなく音声もあるし、番組の余韻などと相まって不思議に記憶に残るものになったりする。
EC等への送客はネットが強いだろうし、両者を比較するのは目的が違うので野暮なものなのだが、「記憶に残る広告」でなければTVは戦っていけないのかもしれない。
余談ですがうちの息子は最近東出何某さんの関連で話題になった方が出演していたソニー損保のCMが大好きでした。