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ベンチャー留学で期待できる効果 #3/所属元企業へのロイヤルティが高まる効果/人材育成の話(卒業生のインタビュー)

みなさん、こんにちは。
ベンチャー留学「Next Stage」事務局です。
今回は、2023年度にベンチャー留学に参加した卒業生(Next Stageの経験者を私たちは卒業生と呼ばせていただいてます)のひとり、農林中央金庫のKさんにインタビュー。留学のキッカケや活動中に学んだことなどお伺いしました。Next Stageに参加することでどのような事が学べるのか、当時の心境なども一緒に語ってくださいました。
Next Stageの導入効果の一つである「人材育成」にも絡めて、卒業生のインタビューからスタートアップ留学を導入することで、どのように意識が変化し、学びを得て成長するのかを考えたいと思います。


Next Stageで期待できる効果

あらためて「Next Stage」の事業内容については以前こちらのnoteでご紹介させていただきました。

人材育成や組織開発を進めるうえで、これまでの研修やセミナーとは違う、新しいアプローチでイノベーション人材を育成するのがNext Stageです。Next Stageを導入することで、主にこちらの効果が期待できると私たちは考えています。

・新規事業のプロセスと、それに挑戦するスタートアップ企業の熱量を体感することで変革する【人材育成】
・ホームとアウェイを行き来する越境学習によって、異なる文化や多様な働き方の体験が、所属元企業の中の変革の種火となる【組織開発】
・留学先スタートアップ企業と所属元企業との連携や、サービス開発、対外ネットワークの構築に繋がる【事業シナジー】

卒業生へのインタビュー

キャリアに悩んで参加を決意

とても柔らかい雰囲気が印象的なKさん。ゆっくりと穏やかに話す言葉の中にも、強さを感じる方でした。Kさんは2023年の9月から半年間、植物残渣から生まれた超吸水性ポリマーを開発・製造するEF Polymerに留学されました。

インタビューをさせていただいた卒業生

事務局:
今日は、よろしくお願いします。まず、Next Stageに参加されたキッカケを教えていただけますか?

Kさん:
ある程度キャリアを重ねてきて、今後のどうしようかな、と思っていた時期でした。今後のキャリアについて少し不安に感じていたんだと思います。社内でNext Stage参加者募集の告知を見て、自分から参加しようと応募しました。

事務局:
参加してみて、どうでしたか?

Kさん:
とても楽しかったですし、ひとまずやってみることが大事だと学びました。
スタートアップでの業務を経験して、改めて自分のキャリアパスが狭かったことに気が付きました。
あと、Next Stageの事務局の方が”オススメの本”や”こういう思考がある”というような共有をしてくれたのがとても心強かったです。Slack (※Next Stageでは留学生とのやり取りをSlackで行っています)でのちょっとしたつぶやきに反応してくれたり、活動中もここで悩みや考えていることを話しても良いんだという居場所を感じることができました。

本当のダイバーシティを経験

事務局:
半年間の活動中はどのような事をしていましたか?

Kさん:
活動中は本当に色々な事を経験させていただきました。スタートアップは変化が速いので、当初、私が担当する予定だった仕事が保留となって別の業務をすることになったのですが、結果的に色々な事が経験できました。
農林中央金庫(以下・農林中金)で同僚から教わったエクセルスキルを使って収支のシミュレーション資料を自分で作り留学先で提案すると、すぐに活用してもらえて。その時は嬉しかったですし、本職の知識が活かされる実感がありました。
活動の後半は組織運営やメンバーの育成について考えることが多かったですね。農林中金、EF Polymer、それぞれにおける組織運営の課題を話しました。その中で、私が農林中金で実践していることを伝えながら、お互いの悩みを共有しつつ、一緒に解決策を探っていける時間を持てたのは、お互いの組織にとって相乗効果があったと思います。

事務局:
留学先のEF Polymerは本当に多様なバックグラウンドの方が集まっている印象ですが、そのあたりは活動中にどのように感じましたか?

Kさん:
私が入社した当時の農林中金は、学歴や性別、年齢構成など同質性が高い環境にありました。そのような環境で私は異質にとらえられることが多く、マイノリティ的ポジションに位置づけられていると感じていました。
でもEF Polymerに留学して、一緒に働くメンバーは医療系出身の方や現役の大学生だったり、創業者はインドの方というのも魅力で。本当に色々なバックグラウンドを持っている方がいる外の世界に触れて、そういう環境だと自分も同質性の一部であったと気づきました。
”こんな事やっちゃうんだ”、”こんな世界もあるんだ”ということの連続で本当のダイバーシティを経験できた感じがします

事務局:
留学中に共有していただいていたレポートに、マネジメントについても書かれていました。組織運営やメンバーの育成なども含め、そのあたりも学びはありましたか?

Kさん:
そうですね。マネジメントの学びはとても多かったです。部下の意欲を引き出して働いてもらうには、普段からポジティブなフィードバックや声かけが大切だと感じました。相手(メンバー、部下に)が、自分はこの会社や仕事で役に立っているという実感を持ってもらうことが大事で、そういう声かけをEF Polymerでは実践していました。
具体的には「あなたには、こういうことを期待している」というひとことや、メンバーが出した提案をキッカケにみんなで議論を深めるなど。ひとりひとりがこの会社に貢献できているということが、感じられるような働きかけがマネジメントのうえで必要であり大事なんだと学ぶことができました。

留学することで得られた業務の俯瞰視点

事務局:
他にも活動中に”会議の進め方”についてレポートされていたことが印象的です。

Kさん:
はい、私が普段、農林中金で当たり前にやっていた会議までの準備やビジネスフローが、スタートアップではお手本になると言われました。色々なバックグラウンドの方がいるので、そういった所作やマナーみたいなものが教材になると。

事務局:
そうなんですね。反対に会議の進め方で、留学先から学ばれたことはありましたか?

Kさん:
そうですね、時間管理です。会議の時間を効率的に使うために、会議の目標、ゴールを必ず決めること学びました。例えば会議の最後に「残り時間3分だけど、ここまでは決めようね」とか。

事務局:
そのやり方を学んで、所属元企業に戻って今はどうですか?

Kさん:
その場で決まっていくことが多いのがスタートアップならではだと思うので、その流れに沿って色々な決め方があるんだと思います。農林中金では何度も会議を重ねて、会議の準備を慎重に行うことが多いです。大きな組織という特性上、そういったやり方が必要な時もあると思います。一概にスタートアップのやり方が全部の企業に当てはまるというわけではないということも感じました。

事務局:
スタートアップのやり方をそのまま所属先で展開するのではなく、Kさんの中で業務に対する視点が変わったということでしょうか?

Kさん:
スタートアップに留学する前は、農林中金の会議の多さや慎重な部分をストレスに感じることもありましたが、外の世界や他の企業のやり方を知ることで、それぞれの会社に合った方法やスキームがあるということが分かりました。新しい事にどんどんチャレンジしてスピード感を持って次に進むというスタートアップのやり方は、それはそれで合理的だと思います。ただ、農林中金のような系統組織は全国に波及される影響がとても大きいです。大きな会社でビジネス判断をするのはもっと慎重に進めないといけないと改めて感じました。
だからと言って改善の余地がないということではないのですが、客観的にそういうスキームになっているということを感じることができて、自分の業務を俯瞰して見れるようになりました。外を知らなければ選択肢を知らないですので、そのやり方が当たり前だと思っていました。今は外を知ることができたので農林中金での会議の進め方やスキームにストレスを感じることも少なくなりました。

マイペースにチャレンジし続けること

事務局:
スタートアップに留学したことで今の業務で活かされていることはありますか?

Kさん:
私でもまだ新しい事にチャレンジできる、という想いを持てるようになりました。「あの時、Next Stageに挑戦できたから、これからもチャレンジできる」という気持ちになれました。本当に活動中は楽しくて、色々な経験を積むことができました。この経験があったから、これからも諦めることはないと思います。

事務局:
最後にNext Stageのおすすめ度は?

Kさん:
何段階ですか?(笑)(事務局:10段階です!)
おススメ度は10です!
一定のキャリアを重ねてきた人にも挑戦してほしいです。日常的に仕事がこなせているけど「これで良いのかな?」と思っている人や、自分を成長させたいという目的で参加しても良いかなと思います。
今回の経験が私にとってこれからのキャリアに影響したと思います。自分のペースでも良いからこれからも、日々チャレンジしていこうと思います。

留学中は「とても楽しかった」と何度も口にしていました

最後に

Next Stageに参加して得られる効果として人材育成があります。人材育成と聞いてイメージされるのは、「能力を高める」「生産性を向上させる」などがあげられます。もちろん、このような効果も期待できるひとつではあると思いますが、今回のような個人の業務にフォーカスした業務の視点改革、マインド変更などもひとつの効果でもあります。
スタートアップに留学することで、所属元企業を退職してしまうのではないかと懸念されている担当者もいらっしゃると思います。しかし今回のように外の世界を知ることで、所属元企業の業務理解の深化が進み、会社全体を俯瞰してみることができるようになったことで、所属元企業へのロイヤルティが高まる効果が得られることがあります。そしてその結果、仕事に対する意識が変わり、業務改革や改善などが進み自社への効果としてあらわれてくるのではないでしょうか。

今回も読んでいただき、ありがとうございます。次回は留学生を受け入れていただいているスタートアップへのインタビューをご紹介します。



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