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のんびり地学基礎 #26 変成岩①「接触変成岩」

変成岩ってイメージが
沸きにくい石かと思います。

もともとあった岩石が、
熱や圧力を受けることにより
再結晶したりして、
組織が変わってしまうことを
変成作用といいます。

岩石を構成している小さな結晶が
大きく太って成長したり
マグマからの物質と化学反応をして
別の鉱物に変わってしまいます。
そのような岩石が変成岩です。

変成作用は主に
2タイプに分かれます。

接触変成作用
広域変成作用、です。
それぞれの作用によって
できた岩石を
接触変成岩
広域変成岩と呼びます。

今回は
接触変成岩について学びます。

接触変成岩《熱変成岩》

マグマやマグマから出る熱水が直に原岩を焼く


岩石の中を直接
マグマが貫入する時に、
マグマの熱が岩石を
直火焼きするような形で
変成させたものを
接触変成岩といいます。

圧力は関係なく、
熱だけで変成するので
熱変成岩ともいいます。

マグマに接触している部分が
変成作用を受けるので、
現れる範囲としては
極めて局所的といえます。

変成する前の
もともとの岩石を
原岩と言います。

どんな原岩かによって、
できる変成岩も変わります。

例えば、砂岩泥岩
ざらつきがあって、
風化に弱くもろい岩石です。
変成作用を受けると
ホルンフェルスという、
硬くて光沢がある
丈夫な岩石に変わります。

山口県萩市、須佐ホルンフェルス

石灰岩が原岩の場合。
何度か紹介しましたが、
接触変成作用によって
非常になめらかな
大理石になります。

SiO₂が主成分のチャートは
もともと硬いのですが、
変成作用を受けることによって
SiO₂の結晶が大きくなり
珪岩けいがん(クォーツァイト)になります。

天の岩戸伝説最南端、(クマヤ洞窟・伊平屋層珪岩)

接触交代鉱床(スカルン)

接触変成作用には
結晶が大きくなる再結晶の他に、
交代作用というものがあります。

石灰岩などの原岩に
花崗岩のマグマが貫入したとき、
熱水を通して
マグマから原岩に
金属元素などが移動をして、
原岩とは別の化学組成に
置き換わってしまう。
そうしてできた接触変成岩を
スカルンといいます。

石灰岩などの炭酸塩岩からは
輝石、柘榴石ざくろいしなどに
置き換わることがあります。

柘榴石

スカルンの酸化帯には、
孔雀石(銅の炭酸塩鉱物)という
綺麗な石もできます。

孔雀石

接触交代作用により、
鉄や銅、亜鉛、鉛などの
有用な金属が
酸化物や硫化物の形で
一緒に沈殿します。
大規模な鉱床となれば、そこは
重要な鉱山資源となるでしょう。
(スカルン鉱床)

山口県、秋吉台国定公園
(秋吉台長登地区のスカルン銅山は日本最古の国営銅山です)

次回は、
「変成岩②」
広域変成岩です。


謝辞~星屑の子供たちへ~

クォーツァイトのクォーツは、水晶の英語名です。クォーツ時計と言われるものは、水晶の振動子を使って時間を測っています。水晶振動子に電気を加えるとに固有の振動を刻むので、その周波数を数えることで正確に時間を測れるのだそうです。時計の心臓部でSiO₂が働いていたとは!

Geo Radio「のんびり地学基礎#26「変成岩①」

変成作用には、隕石の衝突による衝撃変成作用、断層運動による動力変成作用、埋没変成作用、海洋底変成作用(熱水変成作用)、など他にもいろいろあるってよ。
がっつり地学09「変成作用」


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