Vol.3もっと中国のお客さまのお役に立つために。。。チームの問題点は何だろう?
皆さん、こんにちは!
3回目の投稿になります。
小売グループ企業に勤めて25年、そのうち9年は中国で勤務です。
現在は物流機能子会社の社長として北京駐在2年目となります。
1回、2回目では私の中国駐在でのミッションやミッションに対する想い、会社のメンバーご紹介と身近な解決すべき業務課題についてお話させていただきました。
👆1回目、2回目の投稿です。よろしければお付き合いください!
社長として海外に赴任したからには、変革をしよう!と意気込んではみたものの、何かを成し遂げたいという想いは、高い目標になればなるほど、メンバーみんなの思いとひとつになって初めて実現できるものですよね。。。
いったい今、チームのみんなはどんな想いを持っているのか、抱えている・気になっている問題点は何なのか?自社の目指す方向性についてどう考えているのか?
今回は、いつもお話して営業面ではなく、営業を支える人事・総務・財務経理などバックオフィス業務を担当している管理系メンバーにヒアリングをし、私の想い・方向性とのズレを確認をしてみることにしました!
1.「想い」は思っているより伝わらない?
私がこの会社でどんなことを目指すのか、そのために何をするのか。各メンバーには年度の会社政策方針、毎月の昼礼、毎週の幹部ミーティングなどことあるごとに、語り掛けてきた、はずです。が、一抹の不安を感じたので、ヒアリングをする前に、まずは過去2回のブログで綴った「想い」を読んでもらうことにしました(ここは半ば強制的にお願いしました)。
ブログの内容を踏まえた上で、変革を目指していくこと、その前にまずは身近な困りごとをアジャイルで解決していくこと、その繰り返しの中で、改善の動きを大きくしていくことで、変革へのマインドを醸成していくこと、そして、2025年は自社のDX元年とするために、今秋には作成する次年度政策・予算はDX元年を踏まえて策定する予定であることなど、再度熱い「想い」を説明しました。
「こんなこと考えていたんですね」「勉強になりました」。。。「えっ!」
全然伝わってませんでした。。。
2.困りごとは何ですか?
気を取り直して、ヒアリングです。事業として考えていることを実現するために、今バックオフィス業務で抱える困りごとは何か?
Tさん:「実は着任以来、ずっと書き溜めていたのがあるんですよー。」
Gさん:「私はだいたいTさんと一緒です。」
3.どうやって解決する?
私:「たくさん問題点が出たようなので、一旦整理しましょう。問題点を大項目でくくるとおよそ3つに整理できそうです。」
・マネジメントに関する問題
・法令・規程に関する問題
・組織・人事に関する問題
私:「整理に違和感がないようでしたら、この整理の上で、どうやったら解決できそうか、話し合いましょう。」
・マネジメントに関する問題
私:「まずはマネジメントに関する問題、数値管理の問題と進捗管理の問題について。これは期中に営業数値や経費の進捗が出来ないためマネジメントになっていないという理解でよいですか?」
Tさん:「その通りです。売場をしていた時は日々数値の進捗管理をしていました。ここにきて分かったのは、月末の締めが終わって初めて前月の実績がわかります。進捗管理が後追いになっているので数値に関するマネジメントが出来ません。までよく理解できていないのですが、何か方法はないのでしょうか?」
私:「同じ議論は日本でも中国でもされていますが、結論、売上の構造が複雑なため、売上進捗管理をしくみとしてつくるのは難しいと思います。一方我々の売上に直接影響を与える取り扱い物量については日々管理可能です。物量≒実績と捉えて管理をすることは可能だと思います。そのためBIツール※を約1年前から導入し、KPI化しようとしていますが、実運用にいたっていません。」
Tさん:「BIツールで物量進捗が管理可能ならばそれを利用して実施したらどうでしょうか。経費進捗管理はどうでしょうか。」
私:「同様にBIツールで可視化が可能だと思います。そもそもBIツール導入計画をしたときの導入第1ステップは営業の進捗管理として、第2ステップは経費の進捗管理でした。条件は整っていますが、実行に遅れが出ています。」
Tさん:「ではBIツールの導入を再度進めることで解決できそうです。BIツールは誰が導入をすすめていますか?」
私:「ITマネージャーのCさんです。」
Tさん:「これもCさんですか。」
私:「本来システムの開発などをCさんにはして欲しいのですが、いつのまにかPC周りは全てCさんに依頼、のような形になってしまい、雑務的な業務が増えてしまっています。アプリのインストールのような簡単な作業は各自でできるようにリテラシーを上げる必要もあります。」
Tさん:「組織の業務分担の問題も入ってくるわけですね」
※BIツール:自社でマイクロソフト Power BIを利用して物量実績をリアルタイム管理しているツール
・法令・規程に関する問題
Tさん:「一般的には法令については主管部署があって、人事は人事関連の、財務は財務関連の法令にキャッチアップをするというやり方が主流。当社ではそれが全く出来ていません。」
私:「主管部署は決めていないし、できていませんね。当社の規模感で専任はつけられないので、主管部署を決めた上で、人事・総務・財務などのグループとして共通の項目はグループ内のリソースを活用するようにする。当社固有の物流の部分についてはどう考えたらよいでしょうか。」
Tさん:「いくつかのチャネルを考えたらよいと思います。JETROや商工会などや、他の物流企業からの情報を得るようにするなど」
私:「政府主管部署のホームページの巡回も必要ですね。」
Tさん:「必要です。」
私:「それは巡回先ホームページが特定できていれば自動で巡回、書き出しできそうです。では情報チャネルの開発と、ホームページの巡回による情報取得を進めましょう!」
私:「もうひとつの会社法で規定される会議の内容が固定化されていないというのは、『董事会』※のことですね。」
Tさん:「そうです。法律で規定されている内容に従って実施をする必要があります。過去の議事録を見ると問題なさそうですが、必要な項目に従って実施しているというようでもありません。法定議案の決議漏れは法律違反になる恐れがあり、大きなリスクがあります。」
私:「わかりました。では、董事会の実施のフレームを作成しましょう。」
※董事会:日本の取締役会に当たる会議体。法律で実施の頻度・内容が規定されています。
・組織・人事に関する問題
Tさん:「一番の問題はその人がいなくなったら、業務がわからなくなる、というような人が複数いることです。」
私:「○○部や□□部のことですね」
Tさん:「大きなリスクだと思いますが、どうしたらよいか、良いアイデアがありません。」
私:「どんな人がやめてもそれなりのダメージはありますが、最小限にするためにはできるだけ、業務が可視化され、標準化されていることが重要だと思います。つまり業務が個人についてしまっていてマニュアル化もされていないことが問題ではないでしょうか。ですが、マニュアル化をするにしても当人がマニュアル化をすることが苦手なために今の状況を生み出しているいるわけで、単純にマニュアル作ってというようなことを言ったところで意味がありません。そこで、ヒアリングをしながらマニュアルを作成できる人をあてがってみたらどうでしょうか?」
Tさん:「そうですね、マニュアル化するのが良いと思います。適切な人はいますでしょうか?」
私:「△△さんはどうでしょうか?○○部の業務内容についてもよく理解しているでしょうし、本人にとっても業務をより良く理解する上でも良い機会になるかと思います。」
Tさん:「わかりました。その方向で進めてみます。」
4.メンバー間の意識のギャップ
ヒアリングは約1時間半を使い実施しました。ヒアリングをした2名に、困りごととして挙がった11点のうち、今すぐ優先的に取り組むべき3点について選んでもらいました。
1,「代替人員が育成できていない」については3名共通の認識でした。すぐに手を打つべき大きな問題です。まずは業務ヒアリング、マニュアルから進め、暗黙知の形式知化を行います!
2,「規程・マニュアルの徹底度が低い」は2名が選択しました。また、代替人員対応策の打ち手としてもマニュアルの作成が上がっています。こちらも最重要課題の一つです。
マニュアルがあっても運用されなければ意味がありません。Webでの管理、検索、閲覧など各メンバーがアクセスしやすい環境構築をしてマニュアル利用のストレスを下げていきます。
・その他に3項目ついてはそれぞれ1名が選択しました。それぞれの困りごとについて、様々な手段とツールを組み合わせて解決を図ります!
立場の違いや業務の習熟度によって問題の見え方が異なるのは当然として、あまり財務会計業務を抱える管理業務担当メンバーが業績数値にコミットメントしていないのは意外でもあり、これもある意味困りごとの一つではと感じています。
5.困りごとを見つけることはチャンスを見つけること!
今回は、変革をすすめる先鋒である営業面はなく、営業を支える人事・総務・財務経理などバックオフィス業務を担当しているメンバーと私の想い・方向性のギャップについてヒアリングを通じて確認をしてみることにしました。このヒアリングを通じて私の感想は以下の2点です。
1,困りごとに対する考え方はほぼ同じであったが、それぞれの立場の背景の違いが考え方の違いになっている
2,営業を支えるという見方はあっても、思っていたより会社の業績に対する問題意識はなかった
バックオフィス業務担当のメンバーは基本的に規律を重んじ、リスク回避を視点に考察するのかな、という感想です。一方私は、変革業務に邁進するためにはバックオフィスの安定的な運営が不可欠であるため、その視点でバックオフィスの困りごとは何か?という考察をしていました。
そのため、業績視点での困りごとへの意識の差が現れてしまったと考えています。言い換えれば縦割り意識の芽生えとでも言うべき危うさを感じています。
さて一方で、これから学んだデジタルスキルでこまりごと解決をどんどんしていこう!という血気盛んな私にとって、今回のヒアリングは大きな学びになりました。困りごとを解決できないツールは“クソゲー”と一緒です。苦労して作ったとしても、浴びせられるのは罵声ばかりです(面と向かって言うかは別にして)。
できるだけ直接面談する機会を設けて大小さまざまな困りごとを常に探し続けることを習慣にし、その困りごとに正面から向き合いたいと思います。
困りごとを一つ見つければ、それは改善、変革への道が一つ開けたようなもの。
デジタルスキルを学ぶこと、プロトタイプを作成し、各メンバーと議論し、業務のあらゆる面で実運用化のアイデアを出し、実践する過程を高速で繰り返し体験することでDX政策を磨き、結果として変革の実現により近づいていくことができると信じています。
ちょっとハードルが高めな課題も、ChatGPTや中国バイドゥのAIの力を借りつつどんどんトライをしていきたいと思っています!
自社のみだけでなく、当社メンバーの行動が、グループ全体に影響力を持ち、まずは小さな改善から始め、変革をリードする姿を見る日が来ることを期待し、日々の努力を積み重ねていきたいと思います。
駄文おつきあいいただきありがとうございました!