営農型太陽光発電が急成長/22年度の設置許可件数が過去最多を記録

営農型太陽光発電(通称:ソーラーシェアリング)の導入が、全国で加速しています。この仕組みは、農地の上部空間に太陽光パネルを設置しながら、その下で従来通りの農業を継続するという、新しい営農形態です。2022年度の新規設置許可件数は952件を記録し、累積では5,351件に達しています。


東日本を中心に普及拡大

地域別の導入状況を見ると、特に東日本での普及が顕著です。千葉県、静岡県、群馬県などが導入をリードしており、震災復興との相乗効果も見られます。一方で、富山県、石川県、鳥取県、山口県などでは、まだ普及の余地が残されている状況です。

適切なソーラーシェアリング普及へと導く制度の設計

ソーラーシェアリングの設置が農林水産省から認められた2013年3月以降、政府は適切なソーラーシェアリングを普及させるための規制の見直しを継続的に行っています。2018年には一定要件を満たす場合には、農地の一時転用期間が最長10年まで延長できることとなり、昨年3月からは一部の荒廃農地での営農型太陽光発電事業において、従来求められていた「周辺農地と比較した収穫量基準(8割以上)」が撤廃されました。これにより、荒廃農地の利活用と事業者の長期的な設備投資が容易になっています。

また、昨年4月には、令和6年4月1日施行の農地法施行規則の改正により、ソーラーシェアリングの許可基準が法制化されました。これに伴って新たに制定・施行されたガイドラインでは、設備下部での農業事業の継続性といった観点も許可判断の基準に加わることとなりました。発電事業を優先し、農業を疎かにするような事業の拡大を防ぎ、ソーラーシェアリングを本来の形に立ち返らせる試みと言ってよいと思います。

日本のソーラーシェアリングをベトナムへ

当社は、独立行政法人国際協力機構(JICA)の「中小企業・SDGsビジネス化実証事業」を活用したベトナムでのソーラーシェアリング事業化可能性調査の一環として、昨年7月にベトナム農業農村開発省の政務職員2名とベトナム国家農業大学の教員2名を日本へお招きし、各地のソーラーシェアリング設備見学や農林水産省との意見交換を含む、研修ツアーを実施しました。

https://solar-sharing.farm/report/coverage/1557/

その際にも、ソーラーシェアリングを取り巻く日本の制度については、「営農と発電の両立へ導くよう適切に整備されている」と大変好評でした。

昨年12月に採択を受けた経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業」に基づく実証事業を通じ、当社は、日本で育まれてきた「適切なソーラーシェアリング」をベトナム、さらには世界へ普及させるため、今後も取り組んで参ります。



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