「農業のための自作IoTツール製作ガイド」(第1回:灌水用貯水槽の遠隔水位監視システム_概要編)

1. 全体像の紹介

  • 目的
    スプリンクラーによる灌水時、貯水槽の水の残量をスマホで通知することで、残量確認のための移動時間を削減し作業の効率化を目指します。

  • システムの概要
    下図の通り、マイクロコンピューターであるラズベリーパイ、フロートスイッチを用いることでスマホに水の残量を通知する仕組みです。

図1.システム概要図

フロートスイッチは、水位の変化に伴って浮きの向きが変わり、これによって電気信号を送ります。
この信号をラズベリーパイが受け取り、水位がどの程度かを判断します。
そして、ラズベリーパイが判断した水位情報を基に、スマートフォンに通知を送る仕組みです。
通知にはLINEの公式サービス『LINE Notify』を利用しており、事前に設定されたLINEアカウントにメッセージが送られるため、手軽に水の残量を確認できるシステムです。

  • 活用事例
    導入事例として、ぶどうの夏の灌水作業において活用しました。これまで水位の確認は直売所と畑を何度も往復しながら行う必要があり、移動に多くの時間が取られていました。しかし、このシステムを導入することで、スマートフォンを通じて水位をリアルタイムで確認できるようになり、畑と直売所を行き来する移動時間を大幅に削減することができました。

2. 必要な資材の整理

  • 製作に必要な資材
    フロートスイッチ(新明和工業 MS21-6)
    ②ブレッドボードにフロートスイッチを繋ぐための端子
    ③ラズベリーパイ(Raspberry Pi 4 Model B RAM 2GB)
    ④ラズベリーパイを保護するための箱(モデル番号)
    ⑤ラズベリーパイ対応のリボンケーブルとT型拡張ボード
    ⑥ブレッドボード
    ※ラズベリーパイはネットのSDカードや充電ケーブルなどのセット購入がおすすめです。「ラズベリーパイ セット」などで検索すると出てきます。ただ、自前で用意できるものも含まれているので検索の上ご判断下さいませ。

  • 使用において必要な環境
    wi-fi環境
    100Vの電源

3. 具体的な作成の流れ

  • ハードウェアの組み立て
    完成図は以下の通りで、手順を順番に記載いたします。
    ※手順は
    ①ラズパイとリボンケーブルの接続
    ②リボンケーブルとT型拡張ボード/ブレッドボードを接続する
    ③フロートスイッチとフロートスイッチをブレッドボードに繋ぐための端子を接続する
    ④フロートスイッチをブレッドボートに接続する

図2.実際の構成図
  • ソフトウェアの設定
    ラズパイを「通い農業支援システム」の第3章を参考にセットアップ。  以下のコードを実行することで水位に応じてLINEに通知が送られます。※LINE notifyの設定やトークンの確認は「通い農業支援システム」の
    第2 章を参照してください。

4. 追加すると更に便利に活用できるカスタマイズ方法

  • スマホで測定を開始するタイミングなどを遠隔操作するために
    MQTTブローカーという技術を活用するとスマホでラズパイの電源をつけて畑においておくだけで、プログラムの実行/停止を指示することができます。後ほどそちらのノウハウも公開します。

最後までお読みいただき誠にありがとうございます。追加でほしい情報などがございましたらお気軽にお申し付けください!!
次回の記事もお読みいただけると嬉しいです!

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