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三鷹歌農書　２６８１－２７００

三鷹歌農書
薔薇園を眺めキク科のコーヒーを土の旨味をチコリにもらふ
三鷹歌農書（二六八一）
バレンシアの西のワインとクイーン・オブ・神代の香が同じだなんて
三鷹歌農書（二六八二）
最果ての銀河のやうな斑点を翅にハラビロ薔（さうび）にあそぶ
三鷹歌農書（二六八三）
一首詠み一歩deathから遠ざかるdeadlineを守らぬダリア
三鷹歌農書（二六八四）
「十月まで夏だつた」年の殿（しんがり）の一文字菊師走を飾る
三鷹歌農書（二六八五）
見終はりて見捨つる罪は菊もまた一つ二つは酢の物にせむ
三鷹歌農書（二六八六）
転生を願ひまるごと鍋に入れ厚物菊の湯立ての神事
三鷹歌農書（二六八七）
ひと口に中韓日をいただかむ五花肉（うーふぁーろう）にキムチと菊を
三鷹歌農書（二六八八）
ホールアースカタログにKudzu（葛）の項ありて嬉し半球編むやうに編む
三鷹歌農書（二六八九）
整へて篩にかけてパティシエの手もて仕上げる黒土の畝
三鷹歌農書（二六九○）
十二月つて言はれてもねえマンズナルと金時草とがみどりをきそふ
三鷹歌農書（二六九一）
端つまみ芋茎の皮を剝きながら秋も思ひも澄みゆく心地
三鷹歌農書（二六九二）
既得権を夏が主張し引き継がずヒモのやうなるサツマイモなり
三鷹歌農書（二六九三）
ボディービル大会秋の野菜部門ファイナリストのトロンボンチーノ
三鷹歌農書（二六九四）
トロンボンチーノを叩き潰ししは白以外ダイコンと認めぬ輩ども
三鷹歌農書（二六九五）
尻に皺ほどよく生じ食べごろにキウイ紅妃を天からもらふ
三鷹歌農書（二六九六）
サクラジマは地を覆はんとモリグチは天を突かんと大根は葉を
三鷹歌農書（二六九七）
求愛のオスの孔雀は羽根ひろげサクラジマダイコン葉を伸ばすなり
三鷹歌農書（二六九八）
モリグチの畝に紛れてしまひたればサクラジマダイコン防波堤なり
三鷹歌農書（二六九九）
白秋に味短歌紅くるり桃ほつぺ青長（あをなが）もあるダイコン宇宙
三鷹歌農書（二七○○）


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