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三鷹歌農書 2701-2720

蜜蜂の小春日和の冬支度巣箱巣枠の数をととのふ
三鷹歌農書(二七○一)
燻煙器のけむりのどかに蜂の世話霜月に霜降りしは昔
三鷹歌農書(二七○二)
減らすべき巣枠のあれば盗蜜をさせて掃除をしてもらふなり
三鷹歌農書(二七○三)
秋の気を染み込ますなりスズメ蜂捕獲器洗ひ積みあげ晒す
三鷹歌農書(二七○四)
大猟を祝ふといふにあらねどもスズメバチ酒のヌーボーを嘗む
三鷹歌農書(二七○五)
太陽の角度下がりて短調に蜂の羽音も弱まりゆけり
三鷹歌農書(二七○六)
大麦の芽生え確かめ真菰の葉わうごんいろに枯れてゆくなり
三鷹歌農書(二七○七)
花つけてをるにウコンを掘りあげたり秋野菜のカレーに間に合はすべく
三鷹歌農書(二七○八)
ぬるま湯にサフランの蕊泳がすやサフラン色に染まりゆく鍋
三鷹歌農書(二七○九)
わうごんの滝を垂らせばしろがねの飛沫サフランライスを炊かむ
三鷹歌農書(二七一○)
気持ち良く回遊せよとサフランの蕊追ふ木箆コメ炊く鍋に
三鷹歌農書(二七一一)
蓋とれば香りの噴火鉄鍋にサフランライス炊いて蒸らして
三鷹歌農書(二七一二)
ヒマラヤの岩塩を碾き調合すターメリックの山覆ふべく
三鷹歌農書(二七一三)
करी पत्ता(カリパッタ)கறிவேப்பிலை(カリヴェッピライ)කරපිංච(カラピンチャ)大葉月橘は三鷹の地にも
三鷹歌農書(二七一四)
カレーリーフを熱き油に包みこみ三鷹カレーのインドへの道
三鷹歌農書(二七一五)
スパイスの精を油に抜き取りてテンパリングはカレーの仕上げ
三鷹歌農書(二七一六)
トウモロコシ芋茎ニンニク使はるる度に冬へと竿に寄り合ふ
三鷹歌農書(二七一七)
香の弱き順にバラの実クズの花ターメリックを粉にせる作業
三鷹歌農書(二七一八)
酸つぱいシーカレーは子らの好みにて熟れしキウイを刻んで鍋に
三鷹歌農書(二七一九)
昨年の山ソービニオンを陽に翳す紫濃くもなほ澄むいのち
三鷹歌農書(二七二○)


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