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三鷹歌農書 2821-2840(花祭・中在家)

山峡の茶畑の向かう榾火(ほたび)見え鬼ひと共にあそぶ舞庭(まひど)へ
三鷹歌農書(二八二一)
太陽の弱まりたれば花祭夜を舞ひ舞ひて甦らせむ
三鷹歌農書(二八二二)
稲藁を摑み捻りて締めて結ふ生まれ清まりの湯を飛ばす束
三鷹歌農書(二八二三)
真白なる紙を切り抜き日月のざぜち飾れり一夜かがよふ
三鷹歌農書(二八二四)
赤鬼が鉞振るに庭燎衆(せいと)から「そんな手振りぢや嬶が嘆く」
三鷹歌農書(二八二五)
をみならも歌ぐらうたふやうになり歌ぐら合唱団生まれしと聞く
三鷹歌農書(二八二六)
各地区の鉞さばき箒もて見せ合ふらし中学も統合となり
三鷹歌農書(二八二七)
榊鬼舞ふを囲むは各地区の榊鬼仲間山越えて来し
三鷹歌農書(二八二八)
鉞を舞庭の視線あつめつつ振りて竈の白山ひらく
三鷹歌農書(二八二九)
オニごつこ元は鬼事若きらが通過儀礼の鬼を舞ふなり
三鷹歌農書(二八三○)
白山と熊野の修験融けこみし三河の山の祭に浸る
三鷹歌農書(二八三一)
朝鬼が地を踏み鳴らし踏み鎮む森厳なり菰のうへなる反閇(へんべ)
三鷹歌農書(二八三二)
真似て舞ひまなび継ぎゆく花祭子らのためとぞミニ湯束(ゆたぶさ)は
三鷹歌農書(二八三三)
高まりてテーホヘテホへこゑの波舞庭(まひど)一つに舞を舞はせり
三鷹歌農書(二八三四)
身ぬちよりテホトへテホへわがこゑもテーホヘテホへ夜の更けゆく
三鷹歌農書(二八三五)
八百万の神が湯立の湯にあそび湯たぶさ振りて撒く少年ら
三鷹歌農書(二八三六)
湯束(ゆたぶさ)を獅子に噛ませる竈の前天と地結び直さるを見つ
三鷹歌農書(二八三七)
噛みつかれるまへに捕まへやうと子ら舞ひ出す獅子の尻にひつつく
三鷹歌農書(二八三八)
獅子尻に村の子供ら連ねたる尾をふりながら天竺に消ゆ
三鷹歌農書(二八三九)
神送り終へて白蓋(びやつけ)を地に降ろし舞ひをさめつつ舞庭(まひど)を去れり
三鷹歌農書(二八四○)


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