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三鷹歌能書　２６２１－２６４０

三鷹歌農書
秋空を受けてホップの毱花のみどり土色バラの実の赤
三鷹歌農書（二六二一）
深みゆく秋に抗ふごときなりナーベラー一つ太るをやめず
三鷹歌農書（二六二二）
ナーベラーと豆腐が共に崩れつつ味噌ひと色に染まりてゆくを
三鷹歌農書（二六二三）
ナーベラーの輪切り煮込みを碗に盛りシークァーサーを割りて添へたり
三鷹歌農書（二六二四）
全身を紅葉と化すにブラックベリー咲いて実を覗かせるを見つく
三鷹歌農書（二六二五）
八つ頭の茎を連ねて底なしの空へ献ずる力士の下がり
三鷹歌農書（二六二六）
ヤーコンを掘らむと刈れば混植の島カボチャわれを待ちてをるなり
三鷹歌農書（二六二七）
土中から蛸の鋳物を取り出さむヤーコンまるごと掘りあげんとす
三鷹歌農書（二六二八）
俎板もステージなればヤーコンとシロゴチョウとが集団見合
三鷹歌農書（二六二九）
天と地をささつと和へて白胡蝶（セスバニア・グランディフローラ）とヤーコンのサラダ
三鷹歌農書（二六三○）
ポケモンのむしタイプではないのかと股根ダイコン問ふ若き母
三鷹歌農書（二六三一）
妖精の御隠居かとも脚組んで丸太に座る股根ダイコン
三鷹歌農書（二六三二）
米に刃の籾の先なる禾の槍わが手のひらに一つ刺されり
三鷹歌農書（二六三三）
勾玉を風にみがかせシロゴチョウ霜月もなほ蕾を垂らし
三鷹歌農書（二六三四）
試し掘りのヤーコンと出会ふシロゴチョウ咲き残りゐてサラダの皿に
三鷹歌農書（二六三五）
インゲンの五線譜に置くシロゴチョウこの胡麻和へはプレリュード付き
三鷹歌農書（二六三六）
どう死ぬかなどと想ふは驕りならんメグスリノキの紅葉まばゆし
三鷹歌農書（二六三七）
傷の無き落ちさうなるを見定めてジャンプ　かりんの実を手に取りぬ
三鷹歌農書（二六三八）
駅伝はわが農園の新嘗祭刈り取る前のかんむり作り
三鷹歌農書（二六三九）
駅伝も次へ繋いでまた次へ農の作業は見えぬ襷を
三鷹歌農書（二六四○）


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