終わる日記(2024/10/25)
2024/10/25
同期とキャンパスを歩いた。エノコログサをにぎにぎしている。ペロペロキャンディどうぞと言うとそれは前にもやられたと言った。そんなに見えないからと言う。前のほうが反応は渋かったと思う。ここは柿が食べられるところだと言うと汚いと言う。鳥がついばんでいて、あれは目白だろうか。器用に食べる。赤切れみたいに手で簡単にぱっくり割れて、じゅくじゅくしていて味も甘い。干し柿にするならもっと青臭いやつだと同期が言うので拾うと、寒空のもと干したいものだとけんたみたいに言った。
ひらけた場所にでる。こんなに広いとなんでもできるなと同期が言った。だだっ広い緑で、雑草がこれ見よがしに刈り込まれていて、雑草による2次元的なトピアリーが一面に展開されている。方角を確認するとこっちが南でこっちが北だから、ということは、こっちは西だと同期が言った。石橋阪大前はどこかと言うとそこだと言う。広がった先にはいくつかコンクリートブロックが積んであって、階段みたいに上れるようになっている。上ると、目の前の家の屋根を乗り越えて街がみえた。遠くに山がみえて、かつて同期がドライブに行ったという展望台があるところがあれなのだろうかと思ってそれを言って、しかしそれを除けば見たところ緑はもうなくて、緑がなさすぎるんじゃないかと言うと緑はここだと同期が言った。
雀が民家の屋根に集まっている。ちゅんちゅん鳴いている。あらためて雀は美しいと思う。羽をみるときめ細かい茶色のモザイクで、その点カラスは真っ黒だし白鳥は真っ白だしでおもしろくないが、微に入り細を穿った雀のそれは美しく、寄木細工にも似ている。目白押しならぬ雀押しという感じで、稠密に一列に並んでいる。しかしなぜ両隣の屋根にはいないのにあの家にだけ寄って集って整列しているんだろうか。そんなになにを見ることがあるのかと同期が言うので跳ねているのを見ているのだと言った。あんなにぷっくりしているくせにあんなに軽やかに跳ねられるのはたしかに不思議なことだと同期が言う。ふくら雀。両足を揃えて器用にぴょこぴょこ飛び跳ねていてくちばしでなにかを拾い集めながら小刻みに震えている。燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんやとは言うが、ベタ塗りの白鳥にあれほどきめ細やかな雀のことがわかっているとはとうてい思えないし、雀がどういう気持ちでどうやって飛び跳ねているのかなど、大きな白鳥にはとうていわかりっこないだろうと思った。