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終わる日記(2024/10/22)

2024/10/22

商店街のパン屋に行って、4種のチーズのベーコンフランスと瀬戸内レモンデニッシュをとる。ベーコンフランスはいつも買って、いつも坂を上りながら食べている。いつも同じ味。

去年のこの時期、いつものようにベーコンフランスをかじりながら坂を歩いていたらとなりに編入同期がいて、どうして歩きながら食べているのかと言われた。商店街のところに立ち食いパンのパン屋さんがあって、いつもこうして歩きながら食べているのだと言った。僕は歩きながらベーコンフランスを食べているのだし、僕はベーコンフランスを食べながら歩いているのだ、と言うこともできる。なんやそれきみだけやろと編入同期が言った。

会計に進むとお持ち帰りの袋はお持ちでしょうかとレジ係が言うのではいありますと言った。お持ち帰りの袋はいかがなさいますか、ではなく、お持ちでしょうか。こちらが持っている前提の言い方。お会計430円になりますと言われ、言ったものの袋はあったんだっけと思って、でもなかったとしてもリュックに入れればいいんだしそれで後からやっぱりとか言い出してもいいはずで、それで許してもらえないはずもないだろうと思っていたら忘れてしまって、手元の電卓の表示には340円と出ているがそんなわけはないとすぐにわかるが、とはいっても後ろが迫っているし、ひとまず1000円でと言って1000円札を出して続けざまにポイントカードもとなりに出す。それはぜんぶ埋まっていたのだとそこで思い出すが、それを手短に伝えるための言葉を瞬時に構成できず、すぐ後ろも迫っているし、これ、これ、これですと言ってカードを2度も滑らせた後に開いて中を見せた。すみませんこちらお釣りでないんですよと言われる。こちらお釣りでないんですよ。なるほど? 何度か繰り返してみて、ややあって、そうですかと言った。つまりレジ係は、500円に達していないから今日は損にしかならないですよと忠告してくれたわけだ。では新しいものをお作りしますねと言うのでお願いしますと言うと来年の5月まではお使いいただけますのでと言われ、僕からすれば、そこでは「来年の5月」の部分を過剰に強調して言われているみたいで、そうなんですか、それならぜんぜんまだまだですねと、この場合、「ぜんぜん」と「まだまだ」の部分を強調して言ったほうがいいと思ってそう言った。しかし強調して言われたというのはあくまで僕の解釈で、それはたんなる僕の解釈でしかなく、彼女からすればたんに重要な期限を強調したに過ぎないかもしれなくて、本当に高々それだけのことだったのかもしれず、安心してくださいねというメッセージを僕の勝手な解釈で過剰に受け取って答えたとしたら間違えていたと思った。とはいえカードを折り返してまで「ぜんぜんまだまだ」のニュアンスを織り込んで伝えたげなのは伝わったわけで、それは表情的にも声色的にもたしかに乗っかっていたはずで、だからそれに呼応したことはそんなに不自然なことではなかったと思う。

と思っていたら、すみませんが430円いただいてもよろしいですかとレジ係に言われた。それで1000円札をいつの間にか財布に戻していたことに気づく。おそらくカードを取り出す時に入れ違いで戻してしまったんだろう。すみませんと言ってすぐに戻して、あのとき真面目に聞き返していればこんな出し方はしなかったがそれもやぼな話だと思った。お会計430円になります、とあのときレジ係は言った。お釣り570円になりますと言われるので受け取って、手元の小銭入れを見ると10円玉がちゃんと3枚あって、よく見たら100円玉がちょうど4枚あったこともわかって、でもそれもやぼな話だったんだと鎮めた。後ろも迫っている。また500円以上のときお使いくださいとレジ係が言ったとき、リュックのどの部分にどうやって詰めればパンが潰れないだろうかと僕は考えていた。

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