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終わる日記(2024/10/21)

2024/10/21

踏切が鳴っていることがイヤホン越しにも伝わってきて、前まではそれをストレスとしか感じていなかったのに踏切で強制的に寸時止められることを不思議と快く受け入れるようになった。横断歩道とかよりもよっぽど。

通学路に踏切がある。生活圏内に踏切が入ってきたのはここに来てからだ。松江にはなかった。阪急。踏切がかんかん鳴り出してから滑り込むように駆け足でわたるかわたらないかは日によって違っていて、その日の気分によっていずれかを選ぶ。右向きの矢印で止められているところに追加で左の矢印が出てくると、話が違うでしょうみたいな話をしながらおしっこを我慢しているみたいにモジモジしはじめる。両方向の電車が通過して踏切が上がると、上がり切る前の上がっている途中の段階で頭をぶつけながら、吐き出されるように速やかに拡散されていく。踏切をわたる前は、自動車では窓を開けて警報音が鳴っていないか確認するが、歩行者であってもできることならイヤホンを外して周囲を確認したほうがいい。イヤホン越しにもそれを感じているとはいえ。小休止。踏切待ちの時間は調整の時間。踵から落ちている靴下をあげて、下がっているパンツをあげて、ポケットティッシュで鼻水を吸って、長ティーの裾で眼鏡についたごみを拭き取る。

授業。ノーベル賞についての話。今年の物理学賞は「人工ニューラルネットワークを用いた機械学習を可能にする基礎的発見と発明」に贈られて、それはこの授業とも深い関係があり、それと関連してついこの前ノーベル賞の即時解説に駆り出されたのだという話をした。正式な発表があるその前に少しリークがあって、〇〇先生が受賞されるかもしれないですと電話があったが結局受賞せず、その先生はノーベル賞委員会の発表した文献に名前があり今回の物理学賞のニューラルネットワークの受賞内容に大きな貢献があったわけだが、聞いてからなんの準備期間も与えられないままにそれについての即時解説を報道陣の前で即興でやらされたと言った。電話が鳴って突然やってくれと言われて車で連れ出されて〇〇教授に解説していただきますと言われ、なにかしらしゃべって質疑応答もしろと言われたからたいへんだった。まあなんとかなりましたけどねと言った。

網膜剥離があったら視野欠損とか飛蚊症とかで、基本的には片目だけだが、視界がこうなったら直ちに眼科検診を受けてください、緊急手術の可能性がありますと写真を見せながら言った。かくいう自分もそれで手術したことがあって、私はそれをよく知っていたので、気づいて午前中のうちに阪大病院に相談しにいったらその日の午後にはもう手術をしますと言われてと言った。手術は全身麻酔ではなく局所麻酔でやって、手術中は手術室でのやりとりがぜんぶ筒抜けで、上から目をほじくられていたらがらがらがっしゃんとかいってなにかが床に落ちた音が聞こえて、なにかと思ったら装置を落としたらしくそれはレーザーらしいのだが、交換して別のところから持ってきた新たなレーザーに苦戦していて、どうやら電源がつかないらしくあれつかないとか言っていてやばいなあとかの声もぜんぶ聞こえてきて、ちょっといよいよだからメーカーに電話してくれとなって、進行形でメーカーに電話で使い方を聞きながら手術が進行していったと言った。

結局再起動したら直って、その後も問題なく進み手術は無事終わったということだった。いまもこの通り問題なく見えていますと言う。だいたいの装置は再起動すれば直るものですと言った。

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