業務用野菜の動向~業務用にんじんについて~
こんにちは。アグリペディアの村山です。
アグリペディア株式会社では、今後日本の農業を担っていく大・中規模農家にフォーカスした支援事業を行っています。
現在は「販売先のマッチング事業」を主に行っており、業務用野菜の生産者様の支援の一環として、本ブログを開設いたしました。
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今回も引き続き、カット野菜の動向について簡単ではありますが解説していきたいと思います。
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今回は、業務用野菜の国産化が期待される品目のうち、にんじんの栽培について解説していきます。
業務用にんじんについて
にんじんは業務用としてサラダなどの生食用、おでんやシチューの具などの加熱調理用、ジュース用のペーストなど、様々な用途で使われています。
にんじんの国内生産量は約51万t、輸入量は約10万tです。
うち6割が業務用として使われており、業務用の5割は輸入に依存しています。輸入の9割が中国からのものとなっています。
ペーストなどの濃縮原料として輸入されることが多くなっています。
業務用野菜の特性
下の表に生食用野菜と業務用野菜の特性の違いについてまとめました。
今回はこの表をもとに、業務用にんじんについて説明していきます。
業務用にんじんの商品形態について
形質
橙紅色が鮮やかなものが求められる傾向にあります。
多少の傷は許容されますが、割れ・二股などは異物混入の恐れがあるため不適となります。
規格
業務用にんじんは他の業務用野菜と同じく大型規格が求められます。生食用がM程度であるのに対し、業務用では2L以上が基本です。
カット用ではカットした際に一定の大きさとなるよう、円柱形で一定の太さのものが求められます。
業務用にんじんの価格について
業務用にんじんは、生食用の64%の価格で取引されており、業務用と生食用の差が大きいことが特徴です。
輸入品の価格は約43円/kgと国産品に比べて安い傾向にあります。
業務用野菜は生食用よりも安い傾向にありますが、省力化により反収は高くなります。
反収については以前のブログで詳しく解説しているので、こちらをご覧ください。
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業務用にんじんの栽培について
栽培方法
大型規格のものを栽培するためには、適正な栽植密度にすることが求められます。
青果用では10aあたり約4万株のところ、加工業務用では約3万株とすることで、大型規格での栽培を目指します。
機械化一貫体系が確立されているため、栽培コストがかかりにくく、水田からの転作が進んでいる品目でもあります。
4・5月には大型にんじんが不足することから、この時期に安定的に供給できる品種や栽培方法の確立が急がれています。
品種選定
肥大化しやすく、形状の良い品種を選定することが重要となります。
しかし、肥大化しやすい品種では裂根が起こることがあるため、降雨後の排水管理が重要となります。
ベータリッチ(サカタのタネ)
紅うらら(住化農業資材)
まとめ
今回紹介した業務用きゅうりの特性について簡単にまとめていきます。
業務用野菜は歩留りが重視されており、大型規格が求められている
特ににんじんであれば、先細りせず、2L以上のもの
鮮紅色の品種を選定する
業務用にんじんは生食用と比べ、高い反収が見込める
機械化による省力化でさらに高い反収も見込める
次回の連載もお楽しみに!
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参考文献
フードシステムの革新と業務・加工用野菜 坂知樹
加工・業務用野菜をめぐる現状(H25.4) 農林水産省
加工・業務用野菜をめぐる現状(R3.4) 農林水産省
加工・業務用野菜需要への取り組みに向けた『品目別・用途別ガイドライン』 野菜ビジネス協議会
加工・業務用野菜の実需者ニーズに関する意識・意向調査結果 農林水産省
にんじん現地検討会 野菜流通カット協議会
野菜情報2021春夏 サカタのタネ