業務・加工用キャベツに向く品種とは?~収穫期毎に紹介~
業務・加工用キャベツを栽培されている方、
これから業務・加工用キャベツを栽培しようとされている方、
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日本の農業の大規模化を加速させることを目標としています!
現在は、中・大規模生産者と食品加工工場とをつなげ、業務用・加工用野菜の流通を構築することで目標の達成を目指しています!
ぜひ、私たちAgripediaと一緒に日本の農業を牽引していきましょう!
本記事では、業務・加工用キャベツに向く品種を収穫時期に分けて紹介していきます!
業務・加工用キャベツを作りたいけど、
どの品種が業務・加工用に適しているか分からない方、
業務・加工用キャベツを作っており、品種を変えることを検討している方、業務・加工用キャベツの品種がまとまっている表を見たい方は
ぜひ本記事をご一読ください!本記事を読めば次の行動が決まること間違いなしです!
そもそも業務・加工用キャベツはどう作る?
業務・加工用キャベツを作る上で、確認したいことは星の数ほどあるのではないでしょうか?そこで、業務・加工用キャベツに向く品種を紹介する前に、まずは業務・加工用キャベツに求められる品質・規格、業務・加工用キャベツの作り方について確認しましょう!
品質・規格
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語句解説①
寒玉系
形は扁平で葉が比較的硬く、巻きがしっかりしており、加熱してもくずれにくく業務・加工用としても多く利用されます
春系
円球に近い形で葉の巻きがゆるく、やわらかくてジューシーなのでサラダなどの生食に向きます。
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業務・加工用キャベツでは、
巻きが硬く葉質がしっかりしていて、水分含有率の低い
寒玉系品種
が求められます。寒玉系品種を用いることで加工する際切りやすく
形が崩れにくくなります。一方、家計消費用キャベツでは、巻きがゆるく葉質が柔らかで、水分含有率が高い春系品種が求められます。春系品種を用いることで、サラダなどの生食用に使いやすくなります。
そして、業務・加工用に向いている規格は、
大玉キャベツ
です。具体的には、10kg詰めのコンテナに対し6玉程度入る大きさのキャベツが向いています。これは、キャベツが大きければ大きいほど、芯や一番外側の葉などの不可食部に対し、可食部の割合が高くなるからです。
いつ種まきをして、いつ収穫するか
4月中旬~5月中旬収穫の場合
秋まきトンネル栽培、秋まきべたがけ栽培
10月~11月に種まきし、トンネルやべたがけ(不織布で植物体に直接被覆)で保温することで、商品性を損なう花芽ができるのを遅らせて収穫します。
5月下旬~6月収穫の場合
秋/春まき露地栽培
生育の早い品種を10月中旬〜11月中旬に種まきし、5月下旬〜6月前半に収穫します。また、玉が大きくなっても割れにくい品種を1月中旬に種まきし、6月後半に収穫します。
11月~4月上旬収穫の場合
夏まき露地栽培
生育期間が違う品種を8月に種まきすることで、長期間継続して収穫します。
どのような方法で栽培するか
JA岡山の場合
生育期間を生食用に比べて1週間から10日間延ばしたり、10a(アール)あたりの株数を減らし、株間を広げます。
JAゆうき青森の場合
定植時の苗間隔は株間38〜40cm とし、慣行栽培(30〜35cm)より広く確保しています。
研究成果(岡山県)の場合
大玉が要望される加工・業務用キャベツ栽培では、株間40cmで定植すると揃いが良く、1.7㎏以上の大玉が9割程度収穫できます。また、10a当たり8tを上回る収量が得られるとともに、慣行株間の30㎝と比較して定植苗数が25%削減できます。
業務・加工用野菜を作るメリット
ここでは業務・加工用野菜を作るメリットについて紹介したいと思います!
と、その前に生食用野菜と業務・加工用野菜との商品的性格の違いについて紹介します。次の表をご覧ください!
上の表を参照しながら、業務・加工用野菜を作るメリットについて紹介したいと思います!
業務・加工用野菜を作るメリットは大きく3つに分けられます。
①経営安定効果
取引方法が産地と企業間の長期契約取引のため、販売価格が一定で
経営を安定させることが可能であること
②作業軽減効果
作業を軽減させることが可能であること
③費用削減効果
箱代などの梱包費が不要のため経営費用が削減されること
①、②、③のそれぞれについて詳しく説明していきます!
①経営安定効果
業務・加工用野菜を作っている農家さんは、食品工場さんと直接契約をすることで作った野菜を取引しています。この契約取引には、農家の収入が安定するという大きなメリットがあります。農産物の特徴として天候の影響を受けて生産量が年によって異なり、これを市場でせり取引を行うため価格が高騰したり、暴落したりします。しかし一般に農産物の需要は大きく変わらないため、豊作の年は価格が下がりつつ消費はそれほど伸びず、豊作貧乏となります。このように野菜の経済性により、農家の生活は常に不安定であり、計画的な経営も難しく、規模拡大の障壁となっています。しかし、契約取引をすると予め取引価格や量が決められているので、収益をある程度計算でき、農家は安心して栽培をすることができ、計画的な経営と規模拡大が比較的容易にできます。
②作業軽減効果
通常、生食用野菜を出荷する際は、収穫後に選果や包装をしなければなりません。キャベツの栽培労働時間の内、半分以上の時間を収穫・調整・出荷に費やしています。しかし、業務・加工用野菜は加工されるため、包装する必要がなく、荷姿も箱詰めではなくコンテナのまま出荷できます。そして個数ではなく重量出荷のため、大きさを揃えなくてよいので選果もする必要がありません。このように業務・加工用野菜は出荷作業を簡略化できます。
③費用削減効果
少々古いデータではありますが、平成17年度岡山県農林水産部「農業経営指導指標」によると、10a当たりの荷造・梱包費は、キャベツは4万9800円、トマトだと37万5000円も発生します。しかし、業務・加工用野菜の場合、コンテナで出荷できるため、これらの荷造・梱包費の削減が可能になります!
以上3つのメリットを紹介させていただきました!農業を主としてやっていきたい方にとってはとても魅力的に映ったのではないでしょうか?もちろん3つのメリットはとても魅力的に映りますが、それだけではなく中食・外食需要の拡大により、
農業において業務・加工用野菜への需要が伸びている
という事実も見逃せません。次のグラフをご覧になってください。
農林水産政策研究所が作ったグラフ(縦軸は国内消費に占める業務・加工用消費の割合)ですが、はくさいを除く全ての野菜で、業務・加工用野菜への需要が伸びていることが分かります。また次の表をご覧になってください。
各品目で、加工原料用と業務用の伸び率を比べると、加工原料用の需要が大きく伸びていることが分かります。
このように業務・加工用野菜の需要が伸びていることも業務・加工用野菜を作るメリットと言えるでしょう。
業務・加工用キャベツの品種はどのようなものがある?~暖地での収穫期別に紹介~
では、最後に皆様お待ちかねの、業務・加工用キャベツの品種紹介です!これまでのお話で業務・加工用キャベツを作っているご自身を想像できたのではないでしょうか?そのご想像を現実のものとするための第一歩として皆様が育てたい業務・加工用キャベツの品種を以下の表を用いて決定しましょう!以下の表では、暖地での収穫期を基準に2月から収穫できる品種を一番上に、12月から収穫できる品種を一番下になるよう品種が並べられています。
以下の表の見方は次の通りです!
①どの時期にキャベツを収穫したいかを考える
②「暖地での収穫期」の縦列から①で考えた時期に当たる品種を見る
③②で選んだ品種の横行を見て、どの価格帯でどの特徴を持つ
キャベツを作りたいか考える
以下の表を見て、作りたいキャベツがございましたらそれぞれの品種名を
種子の通販サイトにて購入していただけたらと思います!
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語句解説②
暖地
年平均気温15~18℃の地域。四国・九州の大部分
および関東・東海・中国の一部
在圃性(ざいほ)
畑に置いていても品質などに問題がなく、収穫期が長く続く性質
晩抽性(ばんちゅう)
植物の茎の先端に花芽ができるのにより長い低温期間、長い日長を必要とする性質
早生(わせ)
定植後60~65日で収穫可能
中早生(なかわせ)
定植後65~70日で収穫可能
中生(なかて)
定植後70~80日で収穫可能
中晩生(なかおくて)
定植後80~150日で収穫可能
晩生(おくて)
定植後180日で収穫可能
10aあたりの播種量
5300~7000粒
萎黄病(いおう)
かびにより葉の半分が衰え奇形化し枯死する病気
黒腐病(くろぐされ)
細菌によりキャベツが黄化・黒変し枯死する病気
根こぶ病
かびにより発育が妨げられ食味が落ちる病気
べと病
裏面に汚白色、霜状のカビが生じる病気
石灰欠乏症
カルシウムが欠乏することで葉先が腐る病気
バーティシリウム萎凋病
かびにより発育が妨げられ落葉する病気
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2月~6月の間収穫できる寒玉系キャベツの品種
5月~7月の間収穫できる寒玉系キャベツの品種
6月~7月の間収穫できる寒玉系キャベツの品種
9月~2月の間収穫できる寒玉系キャベツの品種
12月~2月の間収穫できる寒玉系キャベツの品種
まとめ
本記事では、業務・加工用キャベツの作り方から業務・加工用キャベツに向く品種まで、多岐にわたって紹介しました。業務・加工用キャベツに対する知見を深めることはできたでしょうか?本記事を読んで、業務・加工用キャベツを作ってみたいと思った方はぜひ、Agripediaにお問い合わせください。
最後まで読んでいただきありがとうございます!今後ともよろしくお願い致します!