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営農とポッドキャスト 2023年10月号

 北海道に来て、農業を始めてから、果てしなくラジオやポッドキャストを聴いています。
 「ラジオ、ラジオはTBS、ぼくの一日のBGM」と歌ってもいいくらいにはヘビーなTBSラジオリスナーです。
 同社のポッドキャストもアホほど聴いています。Radikoが始まってからはプレミアでわざわざ都内の天気や乗ることのない路線の交通情報などいらない情報を右から左に流しつつ、様々な番組を聴いています。
 最近になってから「ど、どうしたの…?」というくらいTBSからのポッドキャストがアホほど配信されるようになっていて、嬉しい悲鳴というか、ほんとうだったらもっとちゃんと面白がったり触れられたりしたような番組を右から左に受け流さざるを得ない量の番組が出ています。
 今回は、そんな大量に出ているTBSのポッドキャストのなかから、聴いてるものについて、思ってることを書いていきます。
 相変わらず、一方的な愛の発露なので、本人に届かなければいいな、推しに認知されたくないな、という思いで書いております。まかり間違って読まれても、怒られたり、不快に思われない程度にしようとは思ってるのですが大丈夫でしょうか。いつも不安でなりません。

工藤郁子✕山本ぽてと「働き者ラジオ」

 TBSラジオ文化系トークラジオLifeの「番組ポッドキャスト内ポッドキャスト」という、箱番組ならぬ箱ポッドキャスト。
 激務から逃れてミッドキャリアサバティカルをしている工藤郁子さんと、日々締め切りに追われるライターの山本ぽてとさんのコンビで「働くこと」をテーマに雑談をするという内容です。
 お二人の膨大な人文系インプットに裏打ちされた、打てば響く文化系トークに、納得感のあるパワーワードもたくさん出るのにどことなく「ゆるい」のが魅力です。
 工藤さんの激務明けから来る余裕なのか、山本さん生来の喋り方が起因してるのか、三日くらい考えてみて「テンポ」かな?と私は思っています。わたしはこの「ゆるさ」が好きで聴いている側面があるので、これが壊れないと良いなと常々思ってます。
 ぜったいに、前準備とか、少なくともトークテーマに即したレジュメとか作ってると思うのだけど、その存在が曖昧に感じられる「ゆるさ」はこの二人の組み合わせの妙というか、マジックというか、そんなものが現れていると思っています。

どうやって見つけた?

 もともとLifeを聴くためにフォローしていたら、突然始まり、それ以来、聴いてます。他の箱ポッドキャスト(ポトフも、ゆるLifeも、バナナも好きです)も聴いてるけれども、この箱ポッドキャストがとりわけ好きです。

どの回がおすすめ?

 反省を促すのも、するのも技術がいるよね、というのを元コンサルファームの工藤さんに聞いていく回。「言い訳が増えるのは心理的安全性が損なわれているから」というのは、弊社もそんな感じなので、とても心に刺さります。

 愚痴を上手に出すにはどうしたら良いのかを、二人で話し合う回。ライフハックとしても、とても参考になりました。

となりの雑談

 TBSラジオの昼の顔、ジェーン・スーさんと、「雑談をする」というお仕事「も」されている桜林直子さんことサクちゃんの雑談を聴くポッドキャスト。
 特徴的なのは、説明についてはすべてナレーションにし、OPとエンディングの曲が長い。余韻が長い。
 そして、番組でお便りの呼び込みを一切しないのが地味にすごい。「となりの雑談」を聞いてるだけだから、そもそもお便りや反応が来たって「あなた、誰ですか?急に話しかけないでください!」って言われるのが当たり前なのだけど、ポッドキャストとして、そんなことをしなくても話題になると考えてるあたり「強いなー」と思います。とてもコンセプチュアルで、良いと思います。
 実際、お話は二人で完結しているので、リスナーの反応なんて見なくても良いのかもしれません。
 これは、ポッドキャストの理想的な形だと思います。
 SNSの反応を恐れ、アクセス数に一喜一憂し、ぐちゃぐちゃポッドキャストの内容をいじってしまう私は、この形がすごく羨ましくみえます。
 それと、雑談の内容は二人がただ雑談をしていくのだけれど、そのほとんどが、人生訓というか人間観というか、そんなような話をしている。聞く人によったら「暗い」と一言で済まされてしまいそうな、後ろ向きな人生訓をサクちゃんが話し、スーさんがそれを聴く、というものになってます。
 私はこの雑談が、すごく、沁みる。
 これは、サクちゃんの言葉でいう、土グループに私も属しているからなんでしょうか。
 ジェーン・スーさんは、堀井美香さんとやっているポッドキャスト「オーバー・ザ・サン」や、昼のラジオのほうを聴いてる印象からアッパーな、というか、Voicyとかを聴いてそうなビジネスパースン的なアッパーさを感じるのだけど、この番組ではそこをサクちゃんに合わせてるせいか、すごく親しみやすく感じます。
 サクちゃん自身も、根性のひと、というか、諦めなかったひと、というか、そういった生き残った結果、強くなったひとのように感じられるので、気軽に共感してしまうのもなんか気が違うのでしょうが。

どうやって見つけたか?

 Appleの「見つける」タブにて。珍しく「見つかったな」と思ったポッドキャスト。あそこを管理してるAppleの中の人とは、ポッドキャストの趣味が合わないな、って見るたびに思うのですが、たまに合います。数打ってるしね…。

どのエピソードが良いか?

 嫌なこと自慢、というか、嫌なことをぶつけ合うのが何故かをポガティブに話し合う回。わたしの方がつらい、と言い合ってしまうのは何故かの表現が「世界一嫌な相撲」というのがふるってる。毎回のワードセンスの良さがすごい。

 どうして嫌なことを叶えるようなことを考えてしまうのか、逆をやればうまくやれるのでは?というのを話し合う回。私もそう思うけど、まったく出来る気がしない。とりたてて解決は見えないけれど、ことばにして解明するだけでも、意味はあるなと感じる回。

川村亜未 午前1時のシンデレラ

 TBSラジオのオーディションプログラムで抜擢され、ちょっとだけ地上波のパーソナリティをやったあと、ほそぼそと7分のオーディオエッセイを続けている川村亜未さんのひとり語りポッドキャスト。
 どういった座組で、どういう予算というか、どういったひとがバッグについて続けられている番組なのか、制作状況はさっぱりわからないけれど、TBSポッドキャストやラジオクラウドでずっと続いています。速水健朗さんの「これはニュースではない」みたいに、TBSの名前と場所だけ借りて個人配信のような形式でやってるのでしょうか?
 おとぎばなしで、魔法がかかる時のようなSEのあと、「こんばんは、川村です」から始まって7分できちっとまとまる話を、不定期とはいえ、2012年から10年以上続いていることに、私はとてもすごいなと感じています。
 ちなみに、私が「営農とサブカル」という、ポッドキャストを一緒に収録してくれるお友達がいなくなってしまい、やむなく独りで配信をするとなった段に、もっとも参考にしていたポッドキャストがこの番組でした。
 川村さんのラジオ愛溢れる、ラジオのサンプリング加減が、共感しやすく、私にとって真似がしやすかったのかもしれません。

どうやって見つけた?

 ラジオクラウドで漁り聴きをしていた際に発見。以来、アプリを替えつつ地道に聴いています。

どのエピソードがおすすめ?

 と、言われると困ってしまう。
 とりあえず、5週間ほど前の回から時系列順に聞いてみたら良いと思います。
 突出してコレというのがないのですが一定して面白い。聞けてしまう。
 白米は毎食食べるけれど、どの日が美味しかったか?と聴かれても、だいたい同じだよ!と思うのと同じように、エピソードでバラつきがない。
 これは、すごいことで、わたしが全くできないことの一つです。期待されてることを期待されてる量で飽きずに続けるというのがいかに大変か。リスナーに期待されたことができず、期待されないことばかりしている私は羨ましい限りです。
 聴き方自体、わたしは適当な日付でザッピングしてそこから10本くらい連続して聞く、というやり方で聞いています。
 エピソードは独立しているようでいて、収録した日で前後関係があるようです。そこは振り返ったり戻ったりしながら聞くのが吉です。

終わりに

 TBSラジオも日本放送も、あちこちのラジオ局がポッドキャスト配信するようになって、追いきれないほどポッドキャスト増えています。これだけプロによる配信がされてるなら、私のような素人はもうポッドキャストやってなくても良いのでは?と思っちゃうほど。
 けれど、なぜかそんなところに紛れ込んでいる個人っぽい番組をみると応援したくなります。(となりの雑談は個人っぽくはないけど)
 わたしは「ポッドキャストはアマチュアのもの」という思いがどうしてもあるので、その牙城を崩されたくないでしょうね。

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