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「インスタ映え」って言うな、クソダサい。
旅行メディアの記事タイトルで「インスタ映えスポット15選」っていうのはまだいい。
「インスタ映え」という、これまで適当な表現がなかった概念を表した言葉として、戦略的に使っているのだろうから。
どこか旅行に行きたいけど、特にこれと言って行きたいところがないときの参考にもなるし。
でも「写真をインスタ映えさせるコツ」は許せない。
インスタ映えは結果的にそのように評価されるものであって、狙うものではない。
もしそれを狙ってする人がいるとすれば、それは本当のインスタ映えではない。
正確には、みんながいいね!を押したくなるような素敵な写真ではない、と言ったほうが正しいか。
メーカーのウェブサイトでやっていそうな「インスタ映え写真をとってSNSにアップしよう!」なんていう、インスタなのかその他のSNSなのか分からない広告企画は、おじさんが考えているに違いない。
いや、実際に考えてつくっているのは若手かもしれない。
ではその若手が「インスタ映え」のニュアンスを理解していないのか。
違う。社内承認をえるときにおじさんマネージャーたちも聞いたことのある「インスタ映え」というキーワードを使ったほうが都合がいいのである。
担当の若者は、企画主体者自らが「インスタ映え」をうたっていくことに違和感を感じているに違いない。
しかし社内承認をえるときにどうしてもそのキーワードを入れたほうが分かりやすいのである。おそらく入社5年くらいのその担当者たちはそんなジレンマを抱えながら、「インスタ映え写真をとってSNSにアップしよう!」企画は生み出されているのではないかと思う。
「インスタ映えする写真を撮ろう!」と投げかけるのは、大人が子供にむかって「いい恋しろよ!」と言うくらい的を得ず、野暮で厚かましいものなのである。
もちろん、いい恋になるよう努力はするかもしれないが、いい恋するために恋をするわけではない。
いい恋も、結果としてそうなるものだ。
共感いただけるだろうか。会社で「写真はいかに映えているかが重要なんだ」と40代の男性社員が発言するたびに、ゾワッとするのである。
そういうことではないし、仮にその発言が正しいとしても、その「映え」という表現はもう古いから使わないでほしい。むずむずする。