生き物には、直接触れ合わないとわからない
ウサギは可愛いと人は言う。ウサギは寂しいと死んでしまう、繊細な生き物だと酒井紀子は言う。
頭が持っていたそんな知識は、先日いとも簡単にぶち壊されました。
服を買いに来た筈の駅ビルに、動物ふれあいコーナーの看板を見つけてしまい、数分後、スマホを片手に25歳のかなりでかい男性がウサギちゅわん達を追いかけ回していたのでした。
しかし、捕食者並みの大きさのホモサピエンスを見たウサギちゅわん達は蜘蛛の子を散らすように逃げていきました。寄ってきてくれるのは好奇心の強いウサギちゅわんくらい…
悲しくなった僕は、おやつ(ウサギ用)を購入しますが、後に起こる悲喜劇をまだ知りませんでした。
キャベツや小松菜の葉っぱを持っているのを見ると、ウサギちゅわんたちは7、8匹で押しかけてきました。画面越しで見ると、まるくて柔らかそうで可愛らしいのに…
指噛みちぎるんじゃないかって勢いでキャベツを貪り、僕が餌をもっているとわかると凄い勢いで体当たりしてくるし、爪が当たるとそれなりに痛いし…
おっきなウサギは小柄なウサギが食べているキャベツを横取りし、野菜がある冷蔵庫の前に行ってご飯を探したりしていました。
どこが可愛い生き物やねん!
僕の少し後に入ってきた親子連れにもわらわらと寄って行って子どもを泣かせるし。。。足の甲に乗ってくると、ツメ?が当たって痛いし…
そんな光景を見ながら、妙に納得もしました。
僕はウサギたちは決して可愛いだけの生き物じゃないことを知っていたじゃないか。彼らのご先祖から受け継いだ、捕食者から生き延びるための術を持つファイターだってことを。
小学5年生?くらいの頃ウサギ小屋の掃除をした記憶です。小屋の外の囲いの中へウサギを放し、掃除や水の交換が済んでからウサギを小屋に戻すのが僕の仕事でした。
ウサギたちは久しぶりに手にした自由を謳歌するように、囲いの中を走り回ります。掃除が終わったからとことこと小屋へ戻ってくれたり、大人しく捕まってはくれません。
とんでもない逃げ足の早さ、捕まえられない事実に途方に暮れたことを思い出しました。
だいぶ懐いてくれたウサギ達を撫でながらそんなことを思い出しました。
そして、ギャン泣きしている女の子の声を聞きながら、この子はこれからウサギを見たらどんなことを考えるようになるか、なんてことに思いを馳せていました。
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