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日本旅行地理検定上級(第57回)を1ヶ月の勉強で合格した話

※受けた試験は2024年6月に実施された第57回日本旅行地理検定上級です。2026年以降に受験される方は、必ず最新の情報をもとに対策を行ってください。



1. はじめに

筆者は2024年6月に実施された第57回日本旅行地理検定上級に合格しました。なお、中級も受験しており、その結果は下記の画像の通りです。

実際に表示された、試験結果(2024年7月)


合格率。リピーター勢もいる中で、上位10人に入れたのはとてもうれしい。


上級は62点、中級は89点でした。自己採点とほぼ近い数字なので、おそらく得点調整などはされておらず、上級に関しては合格点を公式アナウンスの70%から10%ほど下げているのかと思われます。

勉強期間については、5月3日に情報セキュリティマネジメントを受験し、GW明けの一週間後ぐらいに勉強を開始したので、おそらく1ヶ月~40日程度の期間です。ちなみに、筆者は日本旅行をほとんどしたことがなく、訪れた都道府県は合計しても10にも及びません。一方、合格率は15%と難関試験となっております。

このような状況から、一体どのようにして合格することができたのか、説明します。(※中級をほぼ無勉で89点で合格していることから、中級は85%以上出来ていることが基本条件となります。中級までは過去問を徹底してやれば9割近い点数が取れますので、それまでの説明は割愛します。)

ちなみに、1ヶ月といっても骨の折れる作業の連続です。勉強途中だけではなく試験中も、ずっと溜息ばかりついていました。ストレスのことも考慮すると、勉強目安としては3ヶ月~半年程度を見ておくとよいと思います。

2. 使用した勉強教材と対策法

  1. 旅行地理検定の過去問題集(第20回~第56回)+旅行地理プラクティカル

  2. 第55~56回の傾向をもとにした観光関係のサイト

  3. ご当地駅メロディー資料館 (リンク先:ご当地駅メロディー資料館

  4. 日本の絶景を取り扱った本

  5. Geoguesserの離島マップ、温泉マップなど

この試験に関しては情報量が少なく、過去の受験者(合格者)が語った勉強法では「過去問2回分と通訳案内士地理の書籍だけ」と言っていた方がいましたが、現在(第57回)ではそれは不可能と断言してもいいと思います。その理由は、地勢問題の難易度が急上昇している上に、時事問題に対するウェイトが高くなっているからです。事実、私も受験当時、地勢問題や意味不明な問題の連続を見て愕然とし、絶望したことを今でも昨日のように思い出すことができます。

では、1から順に説明しましょう。

1. 旅行地理検定の過去問題集(第20回~第56回)

過去問は言うまでもなく重要です。しかし、現在、過去問題集はなかなか手に入れることができません。探すのも大変でしたが、下記の手段を駆使し、なんとかほぼすべて手に入れることができました。

  1. メルカリの中古品(旅行地理検定の古い年度の問題集が今でも売られています)

  2. 国立国会図書館の複写サービス(これを使えば概ねすべて手に入ります)

  3. 旅行地理検定の公式サイト(直接のリンクはありませんが、うまく検索すると見つかることもあります)

  4. 旅行地理検定のアプリ(第49回、第50回の問題集はアプリで購入しました)

集めるだけでも大変ですので、個人的な所感を申し上げると、第25回ぐらいから現在までの過去問を揃えることが重要かと思います。予算が厳しければ第40回以降でも構いません。これら過去問総数1~3千問程度を把握してから、本番に臨みます。把握といっても難しいことはありません。問題に答えを蛍光ペンでつけていくだけの簡単な作業です。これだけでも意外と頭に入るものです。これを一週間ぐらいかけてやりました。

実際の記入風景

しかし、実はこの過去問全部を押さえても、全体の10%程度しか得点できません。第15回から第50回までの過去問を一通り終わらせ、第56回の問題を見たときに感じた絶望はかなり心に来ました。

+旅行地理プラクティカルと書きましたが、これはおまけです。最近の試験では、ここから出題されることはほとんどありません。

実際に筆者が取り組んだ過去問題集

2. 第55~56回の傾向をもとにした観光関係のサイト

旅行地理検定の最近の出題内容は以下のようになっています。

日本旅行地理検定第51回~56回までの出題内容まとめ

第56回では、2022年に新規登録された「糸魚川ジオパーク」や、NHKドラマ、ユネスコ無形文化財の風流踊(2021年新規登録)が出題されました。ここから、特に直近数回は時事問題が多く出題されていることが分かります。したがって、「過去問数千問をベースにした知識をもとに」時事ネタを仕入れていく必要があります。特に、これら傾向から、出題の前年6月から12月あたりまでに新規で追加されたラムサール湿地やNHK大河ドラマなど、そういう時事問題が出題されることが予想され、さらに、その問題数は年々増加傾向にあります。したがって、予想をしっかり行った上で対策をしなければ、合格することは不可能だと考えました。ただし、予想は思ったよりも簡単で、過去の出題内容から推理していけば割と当たるのではないかと思います。例えば、私は今年の試験で「白山手取川ジオパーク」「紫式部」を予想し、見事的中することができましたが、それは最近の傾向から予想することができたからです。合格率15%の背景には、この準備を怠った受験者が多数いたことが原因ではないかと考えます。おそらく時事系の問題だけでも全体の2~3割ぐらいは出題されていたのではないかと思います。

予想的中した、2023新ジオパーク「白山手取山ジオパーク」について。
ピンクからは出なかったが、青字のところで4問当てている。

受験後に気づきましたが…過去問だけではなく、ニュースからも出題対象になっていたようです。第57回では、航空自衛隊基地の施設整備が馬毛島(まげしま)で行われていたことについて聞かれました。また、写真問題に当たっては、能登地震からか、石川県の観光地が複数出題されていました。

このように、2023年後半から2024年初頭にかけて起こったメジャーなニュースや観光地理ニュース(ジオパーク、国立公園、ラムサールなど)は特にチェックしたほうがよいでしょう。

3. ご当地駅メロディー資料館

上記サイト(http://7-pref.com/gotochi_gotochi.htm)は大変重宝しました。このサイトがなければ、合格することができなかったかもしれません。日本旅行地理検定は、駅メロディーや副名駅といった駅に関する出題を毎回5問程度出題してきます。副名駅はある程度調べた上で、メロディーに関しても調べました。すると上記サイトにほぼすべて載っているではありませんか!?第57回試験においても、ここからほぼすべて出題されました。ただし、すべて覚える必要はなく、「童謡や唱歌」「日本のJ-POPで有名な曲」あたりが出る傾向にあるので、(ここで過去問数千問見た知識が活きます)抑えましょう。

4. 日本の絶景を取り扱った本

第56回ぐらいから、「インスタ映え」の影響からか、絶景スポットを扱った場所が5問程度出題されるようになりました。しかし、この傾向は新傾向のため、予想するしかありません。そのため、私は「今、行きたい! 日本の絶景大事典1000」(朝日新聞出版)を読み対策しました。第56回では滝について扱っていたことから、受験回では浜関係が出るのではないかと予想しましたが…見事的中!ただ、短期間での対策だったため全部きちんと覚えられず、慶野松原と父母ヶ浜を答えられなかったのは痛かった…(もちろん上記本には載っていました)。

5. Geoguesserの離島マップ、温泉マップなど

勉強につかれたら、Geoguesserをやりましょう。Geoguesserの日本離島マップや温泉マップをやると新しい発見ができます。実は、このゲームのおかげで本番の問題でも3問ほど正解することができました。宇陀市はたまたま日本マップをやっていたおかげです。(磯部温泉、青ヶ島、宇陀市(問54の室生湖→室生寺→宇陀市の連想))

ただ、上記対策を行っていても、父母ヶ浜のように本番では忘れてしまっていたり、対策が追い付かず間違えた問題もあります。そんな中、合格できたのは最後はメタ読みが利いたからだと思います。メタ読みの作戦については、次の章で触れます。

3. 本番で考えたこと

※ここで登場する問番号は、実際の日本旅行地理検定上級の問題(第57回)と対応しています。直接の問題は著作権の関係上公開できませんので、問題内容を知りたい方は実際に問題を手に入れて確認してください。

① 地勢問題

本番では、開始早々いきなり地勢問題で躓きました。なぜかというと、全然知らないからです。思わず「終わったわ…」と思い、泣いてしまいました。開始早々、数分間マウスを動かせなかったのはつらかったです。過去問でもこのような出題形式(マイナーな山を数個挙げ、所在する山峰を選択させる問題)はなく、やられた…と思いました。

しかし、過去の傾向から「答えは大体メジャーな山」だったので、あてずっぽうで知名度がありそうな山を選びました。(知名度があるかどうかの判断が、過去問で活きました。やはり過去問は伊達ではありません。)結局、この作戦が功を奏し、5~6問程度正解することができました。

逆に、出題者が考える引っ掛けにとらわれないことも重要です。「製氷海岸」と聞いて、北海道の海岸かと思いきや、実は小笠原諸島の海岸だった、とかそういう例もあります。そういうのは随時過去問の問題と答えから推測するのも試験においては結構重要だと思います。

② 知らない問題が来ても諦めない

お祭りの問題で「ルミナリエ」(問63)が出てきました。正直このお祭りは知らなかったのですが、「震災後、1995年~…」という文言で神戸市だとわかりました。お祭りそのものは知らずとも、一般常識で解くことも可能でした。

また、「Free!」の聖地について、「岩鳶駅のモデル」(問76)を聞かれ、たじろぎました。しかし、基本的にアニメの聖地は実際の地名をもじることが多いため、「岩〇駅や、〇鳶駅のようなものが答えだろう」と予想し、見事正解の岩美駅を当てました。ちなみに、「Free!」は今年でアニメ10周年で、その関係で出題されたようです。いや、知らんわ。

このように、知らない問題が来ても最後まで諦めない精神で、数問当てたことも大きかったです。

4. まとめ、その他

要約すると、こんな感じになります。

  1. 過去問10年分ぐらいは完璧に(ただし、問題にはあまり正解できない。あくまで知識ベース)

  2. 時事問題がかなりのウエイトを占めるので、過去問題から予想し、当てに行くこと

  3. わからない問題にぶち当たっても、過去問題やその答えから類推すること

また、私は対策できませんでしたが、今後試験を受けるのであれば、個人的には日本100〇〇(山、城など)は押さえておくべきだと思います。実際の試験でも変化球として、日本100名城から出題されたので、特に有名なところは押さえておくべきかと。

62点での合格はそんなに誇れるものではありませんが、短期間ながらも諦めずに最後までやったことの成果は得られたので、最後まで諦めなくて本当に良かったと思います。

ちなみに、旅行地理検定協会公式で「参考資料」としている2冊(「国内旅行地理 プラクティカル」「旅行業実務シリーズ4 国内旅行実務 – 国内観光資源」、についてですが、実はほとんど使い物になりません。(中級までは使えるのですが…)
「旅行業実務シリーズ4 国内旅行実務 – 国内観光資源」のほうの巻末資料は、ある程度使えるといった感じでしょうか。第57回であれば、お祭りのところから出ているのでその点では役に立ちます。ただし、「本当に参考程度」という感じです。

最後に、合格したことの証明として、合格証をアップして終わります。
(名前欄は私のXアカウント名で伏せています)

届いた合格証


こんなのもあった

8月追記:「旅行地理検定最高得点賞」について

(ここからは、8月下旬追記分になります)
旅行地理検定の最高点は、公式では非公開ですが、第57回の「旅行地理検定最高得点」の保持者をX日本・世界ともにX上で確認できました。

旅行地理検定は、日本・世界別に、各回の「上級」の最高得点者を「旅行地理検定最高得点賞」として表彰する制度があるため、表彰された方の点数が最高点だとわかる仕組みになっています。

名前等は伏せますが、とりあえずこんな感じのようです。

  • 日本・・・75点(3年連続)

  • 世界・・・93点(5年連続)

どちらも連続しての受賞なので、相当レベルが高いです。日本と世界で得点が大きく異なるのは、日本よりも世界のほうが時事問題の割合が少なく、且つ参考書等からの出題割合が多いので、点数が取れやすいからだと思います。(といっても、9割は至難の業ですが・・・)

私はとても挑戦する気にはなれませんが、もしご興味がある方は挑戦してみてはいかがでしょうか。


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