【映画感想】シン・ウルトラマン【ネタバレなし】

総括

「シン・ウルトラマン」観た！
個人的には楽しめたが、おそらく否は少ないだろうがシン・ゴジラほどエンタメ性を伴っていない。
そのため、熱狂する人は初代ウルトラマンを知っている人だけになりそう。
ただ退屈な時間は一切ない。むしろあっという間。
自分自身は幼少の頃にレンタルビデオで観た「ウルトラマン」の記憶を強制的に呼び起こされる体験をさせられてしまったね。
鑑賞後過去に思いを馳せてしまったので、メッセージ性のあるよく出来た作品だったと思います。

感想

今作は、初代ウルトラマンのリブート作品。
ユニバース化してる気は一切しないが、「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース」の作品になります。
「シン・ゴジラ」「シン・エヴァンゲリオン劇場版」に続いて3作目！とか言い始めたけど後づけやろがい！！！
どちらかというと庵野秀明参加！実写三部作とかにどうせ将来くくられるやろがい！！！
さて今作はエヴァンゲリオンで有名な"庵野監督作品"ではございません！！！(結構重要)
庵野秀明は主要メンバーであり総監修してるので一員ではありますが監督は樋口真嗣監督作品になります。
悪意満載でいうと実写版「進撃の巨人」の監督です。(ただ実写進撃も巨人シーンは素晴らしい出来だったし前編は良かったけど後編がクソだったよね。)
樋口真嗣監督作でいうと「ローレライ」は好き。

今作の感想を書く上で・・・庵野秀明監督と樋口真嗣監督への言及は必要だと思うんだよね。
あまりに性質が違うことを言及しないと「シン・ウルトラマン」を語れない気がする。
庵野秀明監督は自分の趣味に従順な方です。夢想家っぽい。
生粋のオタクであり細部にまでこだわりを持っていると思います。
そして、特異な技能として、自身のこだわりの気持ちよさと大衆が求める気持ちいいエンタメ感がリンクする稀有な監督だと思っています。
樋口真嗣監督は器用です。現実空想家かなぁ。
特撮周りの戦闘の演出は天下一品。
ただストーリーをフラットに描きがち。
要所に強いこだわりがあるものの、全体を観ると節々に甘さであったり、興味の無さが出る監督だと思ってます。
庵野さんはデフォルメしがちで、樋口さんは過不足なく描くことに努めると言い換えてもいいかもしれない。
どちらも良し悪しがあるんだけれど、今作は樋口真嗣監督作品です。（重要なのでry
なのでシン・ゴジラとの比較は正しさもあるけれど、違うところもあるので安易に庵野監督という大きい看板だけで語るのはもったいないと個人的には思ったりしている。
今作は樋口監督の悪癖しっかりと出てます・・・。

余談が長くなりました、ではちゃんと感想に入ります。
1966年にテレビで放映された特撮ドラマのリブートの今作。
大筋は初代を踏襲しつつ、設定も含め現代に落とし込まれたことで変更されたことが大量にあるので、ウルトラマンが知っている人は別ユニバースとして楽しめるし、初見の人は新たな物語として楽しめる形になっています。
特に初代を知ってる人は、サービスのオンパレードよ。
映像から何から初代を想起させるものが散りばめられすぎてクラクラする。
その映像が現代ナイズされているのに過去の自分の記憶と勝手に紐づいて引っ張り出してくるの！！
新鮮すぎる感覚だったわ。無理やり引き出されて、初めて見る映像なのに懐かしいの。
じゃぁ初代を知る人だけの作品と聞かれればそうではないと断言できる。
設定が非常に巧みで、唸らされたね。"人類"という設定をガッツリしたことでぐうの音も出ないほど説得力をまとってるのよ。
コレは本当に素晴らしい。
あと、今作が初めての「(初代)ウルトラマン」との出会いができる人が多くいるっていうのも個人的には非常にエモい環境だと思うわ。
期待していたとおりに戦闘描写は素晴らしかった、ウルトラマンだからこそ出来る重量感演出。
初代を引用する効果音等も素晴らしかったよね。
また、チープっぽいところも、ウルトラマンの醍醐味として飲み込み。
設定で補ったのも個人的には英断だったと思うね。
ストーリーも納得感が強くて良かったなぁ。

斎藤工が本当に素晴らしかった。実在感があるのに少し無機質で独特な存在感を生み出してたのは凄まじいの一言。
個人的に最低だった「大怪獣のあとしまつ」という映画がありまして・・・その映画の設定の役職に近いところに同じ俳優さんが起用されてまして・・・。
その演技が素晴らしかった分、本当に「大怪獣のあとしまつ」がただただひどかったんだなって再認識しちゃったよね。
東映と松竹協力であれかよ。マジで反省しろ。

良いところいっぱいあるんだけど、全体的にテンポが早すぎる。
全部を平等に扱ってるんだけど、その分あっさり感がつよい。
観終わった感じも満足感よりも少し肩透かしのような、あれ？おわっちゃったみたいな印象が強かったよ。
平等に扱ったせいで、どうでもいいシーンがクドい状態になってるところも少なくなかったかな。

思い出補正もあるのでフラットに感想かけてる気がしないわ。
傑作ではないものの、良作だったと思います。
いやでも貶せる点はめっちゃあるし、長澤まさみの描写がイマイチってのもあるし中の上かな。
深掘りできるオタクにとっては最上の傑作になっている気配もする(自分はウルトラマンにわか
ウルトラマンを観ずに育った人の感想が見たいな。
次はシン・仮面ライダーだね！
今作の予告でも特報流れたしコッチは庵野秀明監督なのでガッツリ比較して観たいね。

（71点/100点満点中）