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【映画感想】セプテンバー5【ネタバレなし】
総括
「セプテンバー5」観た!
楽しめたね。
大半が狭いスタジオ内でありながらも、流動的な場面転換と人の流れにより緊迫感が全体を包みながらも推進力を持ってぐんぐん進む不思議な作品だった。
また、報道側の受け取った情報の精査と放送というある意味で客観視点でのあっさりさと情報によって踊らされる過熱感も独特なあじわい。
ある意味でフラットさを維持しようと努めてることが感じ取れる作品でした。
感想
今作はティム・フェールバウム監督作。
ミュンヘンオリンピック事件を題材に、放送局による報道という視点で切り出したのが今作。
まず、基本的には放送局から画面はほぼ出ないからキャラクターたちと、観客の情報量が同じなのが非常に見やすくしてる作品。
そして、当時の時代背景も含め差別もサラッとやりつつ皮肉もシッカリ刺すような独特なバランスを保とうとしている。
あと、放送側のうごきが逐一細かく演技されるのも新鮮だったね。
今この人は、何を指示して何をしてるのかが中盤以降ははっきりと分かるようになる。
”情報”というものが、不確かなものでありながら暴力的なまでに人を惑わせるパワーっていうものがあることを今作はシッカリ描いていて。
そのパワーを精査し管理する責任を負うのがメディアというような描き方をしながらも、そのメディアもまた過熱感に浮かされて情報に飲み込まれるような感覚に陥らされる展開もあったね。
そして、面白い温度感だったのは、どんなに惨劇が起きても明日は来る。というような冷たくも観客側がどう持ち帰るのかを問うような仕上がりにもなっていたね。
正直、スクープをすっぱ抜く!みたいな爽快感は今作はないですし、何かを暴くようなものでもない。
ただ、事件と惨劇が起こり、それを第一線で放送出来てしまった人たちの映像であり、選択の物語になってるのでメディアのあり方というのを観る感じでいくのが齟齬が生まれないかなと思いました。
(68点/100点満点中)