【映画感想】エルヴィス【ネタバレなし】
総括
「エルヴィス」観た!
想像していなかったぐらい社会派作品だったわ。
音楽の素晴らしさもすごいでてたけれどエルヴィスを語る上で欠かせないバックボーンをすべて詰め込んでいるため、エルヴィスを通してみる差別問題、そして社会情勢の変化と圧力、またビジネスの持つドロドロした側面を描き切ります。
よく出来ていたけれど、「ボヘミアン・ラプソディ」や「ロケットマン」とかを想像しながら鑑賞に行くとちょっと求めているものとは違う印象を受けるかもしれないね。
個人的には、非常に勉強になりました。
感想
今作は、「ムーラン・ルージュ」や「華麗なるギャッツビー」のバズ・ラーマンが監督。
鮮やかでゴージャスな映画を撮らせたら天下一品の監督だよね。
そんな監督がエルヴィス・プレスリーの伝記映画を撮るんだから見に行かなきゃだよね。
今作、様々な面で非常に勉強になったのよ。
そもそも音楽に疎めなので、エルヴィス・プレスリーという人物がキング・オブ・ロックンロールと呼ばれているというのと監獄ロックぐらいしかシラなかったんだよね。
だからね。面白かった。この時代を語るツールとして非常に有用な人物だったんだね。
黒人音楽から影響を受けたという人物は多くいるけど、家が貧乏だから黒人が住む地域で暮らしたことでR&Bに触れ、ゴスペルに触れ、そしてダンスに触れる事で育った幼少期。
その後、肌の色で音楽さえ区別されていた時代に、自身のアイデンティティをもとに育った環境のR&Bの歌唱法とリズム、そこに白人が好むカントリーの音を合わせた画期的なことをした人物だったんだね。
肌は白くありながらも、心の安息はR&Bにあるという人物を描くことでその時代をうまく際立たせてるのよ。
非常に見事だった。
キング牧師、ケネディ大統領と同じ時代にこの人物がいて、この背景を保つ意味というのを映画でもしっかり描いていたよね。
個人的に、ふとおもいだしてしまったのは黒人のラップと音楽が社会に影響を強く及ぼしたことが描かれた「ストレイト・アウタ・コンプトン」をどうしても思い出してしまったよね。
どっか名画座で「エルヴィス」と「ストレイト・アウタ・コンプトン」を2本抱き合わせて見せてほしいなぁ。
軽快ながらも、しっかりと今に続く黒人差別問題を学べると思うんだよね。
もっと悲惨な差別を伝える事のできる映画はあるんだけど、エンタメをたもちながら楽しみつつも社会問題を伝える上でこの2本素晴らしい作品だなって思うんだよね。
だいぶ脱線しちゃった。
正直自分が無知で申し訳ないんだけど、主役のエルヴィス役のオースティン・バトラーがめっちゃいい演技してる。
マジで声もいいし、不意に写真でしか観たことのないエルヴィス・プレスリーにちゃんと見えるんだよねぇ。
あとザック・エフロンか!?っておもったらストレンジャー・シングスでビリー役だったデイカー・モンゴメリーだったわ。すまん。
素晴らしい演技だったよ。
残念だった・・・というか自分が求めているものが違ったからなんだけど、気持ちのいいエンタメ映画ではなく・・・社会派な映画だと思います。
ビジネスっていう視点でトム・ハンクスが非常にいい味だしてるんだけど、いい味出し過ぎて気持ちよさが消え失せて気分が悪くなるのよね(褒めてる)
いい映画だよ。だけどちょっと吟味して見に行ったほうがいいかもしれません。「ボヘミアン・ラプソディ」、「ロケットマン」とかのエンタメ色のつよい伝記映画を求めていくとがっかり・・・というより疲れる映画なのでおもろいけど・・・注意が必要かな。
エルヴィスファンは間違いなく観に行ったほうがいいです。
どでかい音量で聞く音楽はしみるよ。
(71点/100点満点中)