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「親父に人生初の相談をする」辻家の人々・第27話/文:辻ヤスシ

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辻家の人々 第27話
「親父に人生初の相談をする」


僕が高校へ入学し、最初の春の大会が終わった。我が川越商業高校(現・市立川越高校)は、埼玉県の準決勝で強豪・花咲徳栄高校に勝利するも、決勝では関東NO.1との呼び声も高いピッチャーを擁する春日部共栄高校に敗北(0-1)。埼玉県内では2位の成績となったわけだが、関東大会進出への切符は手にしている。

関東大会では横浜高校(僕が高校野球を始めるきっかけとなった松坂大輔投手の母校だ)相手に7-8で敗れた。県大会での敗北と関東大会での敗北、この2つの敗北は、結果として我が野球部の士気を大きく上げるものとなった。2戦ともに強豪相手に1点差ゲームである。夏の甲子園出場は決して夢ではない、手の届くところにある――部員の誰もがそう思っていた。

チームの中心選手は、コントロール抜群の3年生エース、攻守の要の2年生二遊間、そしてプロのスカウトが注目するほどのバッティング技術を持った3年生キャプテン――と、充実の布陣といってよかった。僕はといえば、春の大会の時点ではベンチ外だったが、大会終了後はサードの控え選手として一軍に帯同していた。なお、サードのレギュラー選手は前述の3年生キャプテンである。つまり、これから迎える夏の大会に、控え選手である僕が出る可能性はほぼゼロだった。よほどのことがない限り。

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